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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
間章 扶桑人
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その弐

「とりあえずその為の人員を(つの)りにやって来たんですがね。まあ、そのついでに“向こう側”にある本部に顔出しを」

「ああ、オストシュタットの【組合】本部に顔を出したのか。何か、変わった話はあったかね?」

 (いささ)か興味深そうな声色でアルは問い返す。

「特には何も。余裕がありそうだったので、これ幸いと予選を見に来たんですよ。そしたら、手伝って貰う予定の二人組みが決勝まで勝ち進みましてねえ。いやあ、計算外と云えば計算外でしたが、まるで何かに引き付けられたかのような話ですね」

「得てして、英雄なり勇者といった連中はその様な星回りの元に生きるものだよ。お陰で、私なんかは食いっぱぐれずにすむ」

「まあ、小父さんは吟遊詩人ですからねえ。僕みたいな使いっ走りとは違うでしょうよ」

「お前だって自分で動くことは無かろうに」

「どうにも人任せはイヤなんですよ。人に任せると、(ろく)な結果が出ないものでしてね」

 溜息混じりにクラウスはぼやいた。

「しっかりと後継者を作っておかなかったからだ。その点、君の御爺様や御父上、それに東大公殿は偉大と云えような」

 アルは豪快に笑い飛ばす。

「比較対象が大物過ぎますよ」

 むっつりとした表情でクラウスは答えた。

「いい加減、君もその大物の一人だということを自覚したまえ。私の仕事を全て奪い取るぐらいの気概が欲しいモノだ」

「……え? 何で小父さんの仕事までやらんとならないのですか。家族の分で手一杯なのに」

 心底嫌そうな顔付きで、クラウスはアルを見た。

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