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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第三章 戦陣
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その壱拾七

「はい、おはようございます、姫様……。──姫様ッ!?」

 突如頭に掛かっていた(もや)が払われたのか、沙月は驚きの声を上げた。

 起き上がった途端、米()飛蝗(ばった)のように頭を低く叩き付け、

「申し開きようもございません、姫様ッ!」

 と、開口一番謝罪した。

「大丈夫だよ、沙月ちゃん。にーちゃがいたから、平気だったよ」

 朗らかな笑顔で、どうでも良いこととばかりに光は沙月の謝罪を聞き捨てた。

「そうは云われましても……」

「平気だよー。にーちゃがいてくれるんだもん。何があっても大丈夫なんだよ」

 縮こまる沙月を(いたわ)るように、光は自信満々に言い切る。

「おいおい、凄い信頼だなあ、相棒」

 にやにや笑いながら、慶一郎は肘で仁兵衛を突く。

「全く……。何であそこまで云い切れるものか……」

 努めて顔を厳しくすることに失敗し、顔を綻ばていた。

 床机を配下の者に手渡してきた兵四郎が戻った早々、

「姫様も、遠藤の嬢ちゃんもその辺にしておいて貰えぬかの。今は時が惜しいでな」

 と、責付(せつ)く。

 光は多少名残惜しそうに沙月の元を離れ、仁兵衛の側に歩いて行った。

「如何様にも扱い下さいませ。覚悟は出来ております」

 神妙な面持ちで、沙月は平伏した。

「別に何も取って喰おうとしておるワケではないわ。ただ素直に答えてくれればよい」

 兵四郎は居住まいを正し、「それで、何故あちらに付いた」と、厳しい口調で問い糾した。

「何を云っても言い訳になってしまいますが──」

 沙月は自分が知りうる事を大まかに全て話した。

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