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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第六章 魔王
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その参拾六

 それを聞いてか聞かなくてか、

(まあ、【竜気】無しの足捌きでは眷属込みの魔王相手に左太刀は使えんか。それも又一興。どちらにしろ道が無ければ、突き進むほかあるまい、明火?)

 と、仁兵衛は呵々大笑する。

「我、盟約主として盟約を結びし赤竜、明火に命ず。我が気を喰らいて、盟約に応じ、我が前に()でよ」

 右手で太刀を抜くと、【刃気一体】の要領で仁兵衛は大量の気を金剛丸に送り込んだ。

 金剛丸はその気を貯める様子も無く、中にいる何者かに気を流し込まれる都度怖ろしい勢いで喰らい尽くしていく。

 仁兵衛の気を喰らえば喰らうほど、金剛丸は神々しいまでの赤気を放ち出した。

「来たれ、明火!」

 強い口調で仁兵衛が命じると同時に、当たりを赫赫と赤く辺りを照らした。

 その光は徐々に人影となり、

「盟約に従い、赤竜明火、御前に推参致しましたわ、主様」

 と、艶然とした笑みが似合う佳人が片膝を付き控えていた。

 しかし、佳人は佳人なれど異形の佳人であった。耳の後ろからは角が生えており、首筋辺りには美しく光り輝く赤い鱗が、そして全身から赫々たる焔を放ち、悠然たる態度で佇んでいた。

「盟約に基づき、我、汝に命ず。魔王を(ちゅう)せよ」

 毅然たる態度で、仁兵衛は声高らかに宣言した。

「盟約に従い、我が主の命を承りましたわ。魔王、誅すべし」

 姿形からは想像出来ない冷然たる口調で静かにその命を承り、明火は炎の塊となって金剛丸に取り憑く。「御存分に我が力を振るわれませ。……御武運を」

 大きく深呼吸をし、消耗し尽くした気を取り戻すべくゆっくりと気を練り直す。

 その間も、目は魔王の呼び出した眷属の動き、混沌より呼び出される眷属の配置、魔王の行動をじっくりと観察していた。

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