表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第六章 魔王
153/185

その弐拾壱

「お気を確かに。父上を越えてもいないのに、その二つは頂けません」

 仁兵衛は確固たる意志で返事をした。

 【鵺斬り】と【青嵐】。

 どちらも柴原神刀流の当主たる証の品にして、初代東大公雷文公の残せし遺産である。

 【鵺斬り】は扶桑の王朝伝来の神器であり、大王(おおきみ)が最も信頼した兄弟に軍権と共に預けたとされる陽緋色金(ひひいろかね)製の小太刀である。並の使い手でさえこの小太刀にて【刃気一体】を用いたならば、魔王をも屠ると言われている。柴原神刀流の当主が用いれば、六大魔王すらこの世から退散せざるを得ないとまで謳われる伝説の品である。

 一方【青嵐】は柴原神刀流の開祖たる武幻斉刃雅が愛用した鉄扇で、そのまま孫の雷文公に授け、自らは狂王と相打ちになったと言われている。ただ、今柴原神刀流に伝えられている【青嵐】はそのものではなく、山小人が作った金剛製の鉄扇である。

 どちらもその性質上、東大公が代々伝えてきているものであり、東大公の代名詞とまで言っても過言では無い国宝である。

「……俺を気遣うのは別に構わん。だが、【刃気一体】の応用で傷を塞いでいるとは云え、そうは長く保たんぞ。どちらにしろ、策に溺れた俺の責よ。お前が気にすることは無い」

 帯刀は諦念した意志を淡々とした口調で語った。

「父上がなんと云われましょうと、俺は家族を見捨てない。また、失うために腕を磨いてきたわけでは無い」

 仁兵衛は決意を定める。(明火、【竜気】を。勝負を掛ける!)

(……それが主様の決断なれば、私はどこまでもお供致しますわ)

 明火もまた、仁兵衛の決意を知りそれを後押しする。

 右手で小太刀を抜き放つと同時に気を篭めると一気に【刃気一体】を練り上げ、気合一閃、魔王の理への干渉する力を一気に断つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ