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御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
間章 陥陣営
124/185

その四

 兵気を隠し、なるべく音を立てずに近寄れば、奇襲は無理でも相手の態勢が完全に整う前に仕掛ける事ぐらい、兵四郎ならば楽にやってのけるだろう。

 兵数、戦力共に立て篭もっている事も鑑みて、間違いなく【義挙】の側の方が上である。

 その事実を知らずに攻め込んできたのか、それとも何も考えずに突っ込んできたのか、判断に迷うところであった。

 だからといって放置して良いはずも無く、手筈通りに本陣に知らせをやり、守りを固めた。

 如何に陥陣営であろうとこの門がある限り足止めされる。

 そう考えているからこそ、余裕を持って行動していた。

 もしここに兵四郎が居たら雷が落ちただろう。

 敵が最悪手を打とうとも、自陣営が最善手を打たなければ何が起こるか分からない。

 態々敵に塩を送る必要などどこにも無い。

 戦場の空気を知る者ならば、決してこの様な真似をさせなかった。

 そう、戦場の空気を知る者が居るならば。

 玉光明鏡流は素肌剣術であり、使い手は戦場に出るよりも平時の治安維持や要人警護といった後方での任に当たっていた。

 戦場に出る者など、余程の奇人か、それこそ東大公家の兵が足りなくなった時のみ。

 誰もが戦場の流儀など知るはずも無く、平崎兵四郎の恐ろしさを理解出来ている者はいなかった。

 強いて言えば、五月雨流の兵法者ならば分かっていただろうが、当主不在の上、【義挙】に乗り気でないものが多い為、積極的に手伝う気が無かった。

 聞かれれば答えただろうが、纏め役不在が響いていた。

 従って、そのまま門に躊躇無く突っ込んできた様を見て、玉光明鏡流の者達は大いに慌てたのである。

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