表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御前試合騒動顛末  作者: 高橋太郎
第五章 師弟
120/185

その四拾壱

 又三郎も又、それを追う事無く、仕切り直さんが為に間を取る。

 手に汗握る展開に、思わず帯刀は周りの事を忘れてその勝負を見る事に没頭していた。

 それは、帯刀が東大公位について以来初めて見せた隙であった。

 そして、その好機を見逃すほど、その男は甘くなかった。

「!?」

 脇盾(わいだて)の隙間から右脇腹を刺され、帯刀は膝を屈した。

「漸く隙を見せたな、贋者が」

 仇を見るような険しい表情で彦三郎は吐き捨てた。

「クッ、これは不覚を取ったか……」

 彦三郎から瞬時に右脇腹を刺している小太刀を奪い取り、転がり込むように間合いを取る。「俺とした事が、飛んだ間抜けだ」

「父上ッ!」

 仁兵衛は又三郎を打ち棄てて駆け寄ろうとするが、又三郎が計画を邪魔されぬ為、命懸けで足止めを決行した。

「退けェっ!」

 それこそ力任せに太刀を叩き付け、受けに回った槍の柄を中半から真っ二つに斬り裂き、その勢いの儘、刃の中半で又三郎の兜の鉢を叩き割った。

 衝撃で意識がふらついている又三郎を蹴倒し、仁兵衛は父親を救わんと真っ直ぐに突っ込む。

「素っ首、頂く」

 嘲るように笑い、抜き手で動きが取れない帯刀の首を貫かんと構えを取った。

 如何に【竜気】を使おうと仁兵衛の足では間に合いそうにもなく、最早仁兵衛に打てる手は無かった。

「父上ぇーーーーーーーーーーッ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ