その弐拾五
「喧しい、ヒヨッコが! 勝ち目もないのに無駄に粘るな! 目障りなのだよ!」
苛立ちをそのままぶつける罵声を発し、与次郎は最高の一撃を叩き付ける。
「チッ!?」
強い舌打ちをすると、慶一郎はその一撃を必死の思いで受け流した。
「フン、今度こそ貰ったぞ!」
その結果、大きく体勢を崩した慶一郎にこれまでとばかりに如何様にも避けられない追い討ちを与次郎は叩き込んだ。
「ガハッ!」
肺腑より空気を無理矢理一気に叩き出されながらも、力に逆らわず慶一郎は素直に後ろに吹き飛ぶ。「……そうそう上手くは行かないか。全く、相棒ぐらい気の制御が上手ければここまで苦労しなかったんだがな……」
「何?」
気になる言葉を耳にし、与次郎は思わず聞き返した。
「おや、未だに気が付いていなかったので、耄碌爺? 俺がさっきから何に悪戦苦闘していたのか?」
「何が云いたい?」
時間稼ぎをさせてはならないと直感が告げていたが、胸の内にある違和感を解消する為、与次郎は慶一郎の誘いに乗った。
「【刃気一体】。さっきからこいつに気を叩き込んでいるんですよ、俺は」
にやにや笑いながら、弭槍を掲げて慶一郎は与次郎の問いに答える。「仁兵衛は生まれついてかどうかは知りませんがね、気の制御が異常に上手いんですよ。だから、気の伝わりが極端に悪い金剛製の太刀であろうと、一瞬で【刃気一体】の境地にたどり着ける。あいつの【刃気一体】が異様に大きいのはね、玉鋼製の太刀ではなく、金剛製の太刀を使っているからですよ。まあ、流石に溜め込めるだけ溜め込むわけではなく、我々が玉鋼製の太刀で行う【刃気一体】より多少気を余分に溜めている程度ですませているみたいですがね」




