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−other eye−   作者: Alice
2/2

―ショップ―

あれから今日二人目のお客様が来た。

カランと扉に着けたベルが鳴る。扉の方を見るとピンクのカーディガンを着た若い女の人が入ってきた。彼女は店内をキョロキョロ見回す。


「……いらっしゃいませ。」


軽くお辞儀をして挨拶をする。

私はカウンター下の棚から商品カタログのファイルを取り出すとカウンターに広げそれを見る。

すると掃除をしていた二葉が私の横にやって来てこそっとしゃべりかけてきた。


「なぁ。俺も挨拶をした方がいいのか?」


「……そうね。」


「了解〜!」


ルンルンした足取りで二葉は掃除に戻る。

私もカタログを視線を戻す。

店内にはしっとりとした音楽が流れている。

しばらくすると彼女は二葉の所に近寄り話しかける。


「あのぉ…。ここって何屋さんなんですか?」


「はい。いらっしゃい!えっとゴスロリ店ですかね。」


「そぅなんですか?けどいろいろ雑貨も有るみたい…。」


「雑貨も置いてますよ!あとアクセサリーとか靴とか!」


二葉は積極的に彼女の質問に答えて、会話を続ける。二葉が居て良かったのはお客の相手をしなくてよくなったこと。人見知りであまり人と話をするのは苦手だし、人も苦手なので内心良かったと思っていた。

挨拶は八百屋みたいになっていたけど。


「すみません。これください。」


彼女は小さなアンティークオルゴールを持ってレジにやって来た。


「……はい。少々お待ちくださいませ。」


ファイルを椅子に置くと、バーコードをレジに通し画面に値段が出る。


「……860円になります。」


「あの…。…いえ何でもないです。」


彼女はお財布から千円をだし、お金を入れるトレイの中に置く。私はオルゴールをプチプチで包み、黒い袋の中に入れる。


「……お待たせいたしました。千円お預かりいたします。」


袋を彼女に渡し、千円を受けとる。レジに打ち込みお釣とレシートを渡す。


「……140円のお返しになります。ありがとうございました。」


私は軽いお辞儀をする。彼女は財布を鞄にしまうと、買ったものを持ち。私に軽く微笑みレジを後にする。二葉の横を通る瞬間にも微笑み、右手をふり挨拶をしていた。


「さようなら。」


「あ、ありがとうございました!良かったらまた来てくださいね!」


「ふふふ。はい。」


ニカッと二葉が笑うと彼女はカランとベルを鳴らし店を出ていった。きっと彼女はまた来てくれるだろう。私は二葉の顔を見る。確かに整った顔立ちだ。二葉と目が合い私の所にニコニコしながらくる。椅子に乗せたファイルを片付け座る。


「玲佳!接客って面白いな!笑うだけでお客が顔真っ赤にするんだぜ!?」


二葉はなにか間違った楽しみ方をしているような気がするが、そう。と相づちをうつ。もしかしたら客が…釣れる…?と内心少し悪いことを考えた。


「……掃除はもう終わったの?」


「バッチリだぜ!」


「……なら商品を箱詰めしてくれる?」


「!!おうっ!やるやる!!」


「……まってて。」


そう言い残して私は二階へ上がる。そして商品をもって降りて行き二葉の部屋に持っていく。


「……こっちに来て。」


二葉を部屋に呼ぶと座らせる。小物やアクセサリーを机の上にひろげた。


「……まずは小物やアクセサリーを箱詰めして。」


私は一つ、長細い小さな箱を手に取りネックレスを詰める。


「……こんな感じで。お願い…。」


ネックレスの入った箱を二葉の前に置くと二葉は了解といって作業しはじめた。私は店の方に戻り店内にディスプレイされている商品を綺麗に整えた。しばらくして、二葉の様子をこっそり見に行った。

サボる様子もなく黙々と作業をしていて。

外見が少し派手なので心配していたのだけれど安心して、私も自分の作業に戻った。


しばらくしてカウンターの、左奥の机で作業をしていると奥の部屋から二葉がしゃべりかけてくる。


「玲佳ー?玲佳ってここに住んでないんだよな?」


「……ええ。」


「どこ住んでんのー?一人暮らし?」


「……近くの実家に。」


「へぇ〜?兄弟とかいるの?」


「……弟が…ひとり。」


「弟何歳?」


「……16歳よ。高校一年生。」


「年近いんだ?いーなー俺も兄弟欲しかったよ〜。


ついでに、弟君もゴスロリな訳?」


「……ええ…。」


…急に後ろから二葉に肩をつかまれ、自分がぼーっとしていた。事に気がつく。


「……どうしたの?」


「いや、何回か呼んだのに返事ないしさ。」


「……ごめんなさい……。」


「いや、謝らなくてもいいけど、箱詰め終わった!」


「……あぁ。ありがとう。」


そう呟いて席を立つと店内のふりこ時計がポーンと鳴った。時間を見ると6時だった。

「……やだ。もうこんな時間だったなんて。」


大変と呟いて私は急いで、部屋に商品を見に行く。綺麗に詰められた小物たち。

私は商品を紙袋の中につめる。

バタバタと階段から降りて急いで店内に戻ろうとしたらゴンっと玄関の柱に頭をぶつけた。


「!!」


「お、おい。今なんか変な音が…。」


二葉が部屋から出てくる気配を感じたが私はその場にうずくまり、両手で額を押さえる。二葉は状況を理解したのか。私の後ろで爆笑している。


「……っ。ふ、二葉。お願い。入口のプレートをcloseにして来て…。」


痛みに必死に耐える私を笑いながら二葉は入口にかけてある扉のプレートを変えてきたようだ。私は痛みも大分とれ、カウンターの丸椅子に座る。


「変えてきたぜ。」


「……ありがとう。」


「大丈夫か?」


散々笑った後で大丈夫かなんて聞かれても

素直に大丈夫とは言えずキッと二葉を睨んでやった。すると二葉は思い出したのか、また笑う。


「くっくっく。ひー。もう勘弁して。」


噛み殺せてもいない笑いが店内に響き、私はなにもしていないのになにを勘弁するのだか。勝手に笑ってるくせに。と心の中で悪態をつく。


「だって。おまえ。あれ。スッゲー音だったから。」


頭の痛みがとれてくると散々笑った二葉に軽く殺意をおぼえる。


「悪いって!機嫌直してくれよー!」


はぁーとため息をつくと二葉を見据える。


「……今日の仕事はもう終わりだから。はい。」


そうつげると、二葉に茶封筒を渡す。


「これって!」


「……今日の分よ。必要でしょう?」


二葉は急いで封をあけ中身を確かめる。お金がないと言っていた彼だ。しばらくは日払いじゃないと大変だろうと思い用意していたのだった。


「…うわぁっ。初だ!初給料だ!!」


「……あらあなた、バイトしたことなかったの?」


「おぅ。」


まぁ家も家だし、なかなかしにくかったのかもしれない。時刻は7時を過ぎた。ノアが玄関先に座りにーと鳴いている。


「……じゃあ私は帰るわ。奥の部屋で着替えるから…。」


初給料にうわ〜とかうお〜とかいってる二葉に一様声をかけるとノアをつれ奥の部屋にいき襖を締める。ふぅとため息を着くと棚の横に置いたニットの長袖とオーバーオールに着替える。


「玲佳!俺、今日どうしたらいいんだ!?」


とバタバタ二葉がやって来て。襖を開けた。


「あれ?玲佳、髪型違う。」


「…………………」


まだ入っていいと言ってないとか、もし着替えてる最中だったらどうする気だったんだとか聞いてやりたかったけど、やめといた。


「……かつらなの。」


「ふーんそうなんだ?あ、眼帯も変わってる。まじで怪我してんの?」


二葉が眼帯に触ろうと手を伸ばす。私はその手を払いのけた。


「……あ、ごめんなさい…。」


「さっきもそうだけどさー。眼帯してたら危ないよ?」


「……………」


眼帯の上から右目を押さえうつむく私に二葉は心配する。


「……いいの。」


「そう?まぁいいけど。怪我早くなおるといいね。」


二葉はそういいニコニコ笑う。私は髪の毛を整える。肩につくくらい長さの髪。髪を残しながら後頭部で結び逆毛を立てて跳ねさせ残した髪と馴染ませる。いうなればパイナップルみたいな髪型だ。二葉にじっと見られ恥ずかしいので話をふる。


「……さっきはどうしたの?」


「あぁ!そうそう!俺どうしたらいい?」


「……ここに泊まるんでしょ?」


「そうだけど!晩飯とか風呂とか。」


「……スーパーは近くにあるけど…うちお風呂ないよ?」


ノアに晩ごはんのドライフードをお皿に入れてあげるとガツガツ食べていた。

私は鞄を持つと二葉と一緒に店を出る。


「いや〜。店内の電気消すとマジ怖いな。俺、今日寝れっかな〜。」


人、一人分空けて隣を歩く二葉。あの後。いろいろ問題が起きた。

晩ごはんはどうするのか。お風呂屋はないのか。学校行くときに店をどうするのかとか。

お風呂は近くにある銭湯を教えて、晩ごはんは今から買い物。学校行くときは鍵を店の入口横にあるポストに入れとくように教えた。


「猫はどうすんの?」


「……連れて帰るよ。」


「いつも、つれてかえんの?」


「……違うけど。」


「なら、置いていけよ。猫嫌いじゃないし。」


「……いいの?」


「おう。」


「……一人が怖いからか…。」


「ちげーよ!!ガキか俺は!!」


そうやって話してる間にスーパーに着いた。二葉が要らんものを籠に入れようとするのをガードして。買い物をした。


「これ絶対うまいって!」


「……アボカド牛乳………が?」


結局ちゃっかりアボカド牛乳を買っていた。店に帰ると、冷蔵庫に買ったものを入れる。ついでに二葉の今日の晩ごはんはスーパーでかったお弁当。


「……料理はできるのよね…?」


「いや?全く?」


ピシャンと雷が落ちたような衝撃が身体に走る。じゃあなんで言わなかったんだよ!とか買ってきたモノどうすんだよ!!とか色々思っていると。


「あんた作ってくれんじゃないの?」


「…………………」


カコンとコンロにフライパンを乗せて冷蔵庫の中から野菜とかを取り出す。

結論−私が作ったら問題ない−。

二葉の中では私が最初から作る予定だったらしい。

焼きそばのあら熱を取ると冷蔵庫の中に入れた。


「……じゃあ私帰るね。冷蔵庫のなかに焼きそば入ってるから。あと、押し入れの中に布団入ってるから。」


そういうと私は店を出た。

足早に家に帰る。家に帰る途中に踏み切りがあり走って通り過ぎる。

家に着いたときにはもう9時をまわっていた。

「……ただいまー。」


バタバタと騒がしく弟が二階から降りてくる。


「おかえり!玲!」


「……ただいま史人(フミヒト)。」


「おかえりなさい。今日は遅かったのね。」


母も玄関に出迎えにきてくれた。


「……ただいま。いろいろあってね。」


とみんなでリビングへと行く。リビングでは父がソファーでくつろいでいた。


「……ただいま。お父さん。」


「おかえり。玲佳。」


「ご飯食べるでしょ?」


母はキッチンに行きラップをしてあるお皿をいくつか出してくる。


「……うん。」


ダイニングのテーブルにつくと遅めの晩ごはんを食べる。母は料理上手で調理がめんどくさい物も作ってしまう。

ご飯を食べ終わるとすぐにお風呂に入り自室に向かった。両親と史人の部屋は二階にあって、私の部屋は一階の玄関をあがってすぐの所にある。


今日1日あったことを思い出す間もなく私はベットに横になると眠りにおちてしまった。


前の章の続きで店や二葉のことについて少しは書けたかとおもっています。


まだまだこれから玲佳の波乱万丈の人生の始まりです!


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