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まほろばベンチ

作者: 檸檬
掲載日:2026/02/01

藤の蕾は


白月の爪 無口なままに伸びて手繰り寄せる春を


落ちる一雫の一瞬が咲きゆく指先から 


優しげな薄紫の風香る日を待つ まほろばに


梅の蕾は


あの子のキュッとつむる


口元想わせてひとつふたつ綻ぶさまの愛らしさ


スッと伸びた先の水仙黄色の副花冠


風が吹くあの口笛からの香水を 


胸ポケットに焚きしめて歩く


曇天の合間を咲いて


雲が薪のように紅いオレンジ


冬の学生ふたり 厚着した恋のシルエットが腰掛けるベンチ 


その向こう冬空に映るふたつの体温は寒さに煙も立てずに透きとおってゆくみたい





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― 新着の感想 ―
最後の文章で二人の想いが焚き火のように見えて素敵でした。凍える冬の日の、暖かいと感じる瞬間を切り取ったかのようです。とても大好きです!!ありがとうございます!!
とても瑞々しくて素敵な詩を本当に有難うございます。 咲き待ちの蕾の美しさ、冬の花が魅せる確かな輝きを香りと共に感じられたようで読み終えて大満足でした。 冬は水仙の香りが思い出に根強く紐づいていて、とて…
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