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バンドマンになりたいコミュ障陰キャの転生先は、『バンド』の概念がない世界でした ~戦闘力0だけど、ギターで魔王に挑みます~  作者: 小雨☂


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第7話 パーティーに入れてください

「うおぉぉ!! サンダアアアア!!!」


 師匠がくれたMP回復の薬草をかじりながら、森を駆け抜ける。


 人がたくさんいるところなら仲間を見つけられるんじゃないか?

 そんな期待を胸に、魔物から逃げ回りながら、僕はこの国で一番大きい都市である王都を目指していた。


 そして、森を抜けると、目の前には草原が広がっていた。


「うわぁ……!」


 しばらく進むと、数キロ先に王都が見えてきた。

 立派な城壁にぐるりと囲まれた都市の中心には、これまた立派なお城がそびえ立っている。

 この距離からでも見えるほど、とても大きな都市だった。


「すごい……ゲームの世界みたいだなぁ」


 想像以上の景観に、僕の胸は高まった。


 王都の前にたどり着くと、門番の人が僕を追い回していたウルフを追い払ってくれた。



 * * *



 王都の中には、ズラリとたくさんの店が並んでいた。

 商人や冒険者、貴族や騎士など、様々な人が歩いている。

 さすが最大の都市だ。


「あった……!」


 僕は目的地の冒険者ギルドに到着した。


 いよいよ仲間探しだ……!

 バンドメンバーを探せるのが一番だけど、まずはレベル上げさせてもらえるパーティーを探そう。


 岩造りの巨大な扉の前で、僕はごくりと息を呑んだ。


 中に入ると、辺りには体育会系の強そうな人ばかり。

 僕は鞄の紐をぎゅっと握りしめ、下を向きながら受付に直行した。


「こんにちは。パーティーメンバーをお探しでしたら、こちらに情報の登録をお願いします。終わりましたら、こちらのブレスレットをお付けください」


「ブレスレット?」


 僕がぽかんとしてると、受付のお姉さんが笑顔で教えてくれた。


「こちらを付けていただくと、頭上にご自身のレベルと職業が表示されます。その表示がパーティーメンバー募集の意思表示となりますので、お互いの表示を確認して、条件の合う方をお探しください」


 周りを見渡すと、お姉さんの言うように頭上に表示のある人が多くいた。


 と言うことは……気になる人がいたら、自分から声掛けないといけないのか!?

 ハ、ハードル高いよ……!!



【職業:武器職人 Lv.5】


 言われた通りブレスレットを装備すると、頭上に表示が出た。

 我ながらレベルの低さが恥ずかしい。

 師匠が助けてくれなかったら、頭上の表示はLv.1だったんだな……

 そう思うと背筋がぞっとした。


 僕は壁際に移動し、ちらちらと辺りを見渡した。


 ぱっと見、周りはみなLv.20以上はあった。


 先ほどからチラリと僕の頭上を見ては、ぱっと目を逸らす人が何人もいた。


 和気あいあいと楽しそうに話し合っている人々の中でぽつんとひとり、気配を消すように立ち尽くしていた。


「こんにちは」


 突然声を掛けられ、僕の体が飛び跳ねた。


 振り向くと、魔法使いと思われるきれいな女の人がにこりと微笑んでいた。

 その後ろには数人の男女が一緒だった。


「武器職人って珍しいね。パーティーは何のために探してるの?」


「え、え、ええっと……!」


 まずい、めちゃくちゃどもってしまった。

 今世の僕は見た目は良いんだから、普通に話せば大丈夫……!


「ふふ、緊張しなくていいのよ。ひとりだと、最初は心細いよね」


 ガチガチになってる僕を気遣うように、優しく背中を叩いてくれた。


「武器職人なら、素材集めとか? ……にしてもレベル低いね」


「あ、別に悪いわけじゃないよ」と一緒にいる甲冑の男性が、慌てて付け加えた。


「レベルを上げたいんですけど、戦闘が全然だめで……支援魔法は使えるんですが……」


「へえ! いいね。もしかして白魔法使えるの?」


「あ、いえ……実は『音属性』の魔法が使えるみたいで」


「音属性……?」


 なんだそれ? 男性はそんな表情を浮かべている。


「こ、これ自分で作った武器なんですけど、戦闘中に演奏すると味方のステータスにバフがかけられるんです!」


 背中に掛けてたエレキギターをくるりと前に回し、皆に見せた。


「へ、へぇ……」


 話かけてくれた人たちの顔が若干引きつっている。


 あれ、なんか引かれてる……?


「戦闘中に演奏なんかされたら、気散りそうだな~」


 甲冑の男性は、頭を掻きながら苦い表情を浮かべた。

 あれ、なんかやんわり断られてる……?


「ごめんね、パーティー探しお互い頑張りましょ」


 女の人は、眉尻を少し下げながら手を振ると、仲間たちと歩いていってしまった。


 残された僕は、またひとりぽつんとその場に立ち尽くした。


 なんだろう。

 なんか、自分の存在を否定された感じして、

 精神的に、すごい、くる……!!!!


 僕は思わずガクンと膝を付き、その場に項垂れた。


「どうしよう……師匠のところに帰りたくなってきた……」


 前世でバンドへの参加を断られまくった苦い思い出が蘇る。


 そうだよな……結局僕は、僕だ。

 変わったのは見た目だけ。


 僕に、仲間なんてできないのかも。


「ねえ、そこのあなた」


 護衛してもらったときみたいに、お金を払ってレベル上げに付き合ってもらえるよう依頼した方が早いかな。


「ねえ、聞いてるの?」


 そうだ、それがいい。

 またエレンさんたちに会えたりしないかな……


「ねぇってば!!!」


 大きな声に驚いた僕が顔を上げると、

 銀髪碧眼の少女が、僕の顔を覗き込んでいた。


「うわあ!」


 驚いた拍子に尻もちをついてしまった。


「ちょっと、人の顔見てそんな驚かないでよ。失礼ね」


 軍服のような白いジャケットに、ひらりと揺れるミニスカート。

 少女は、ふんっと鼻を鳴らしながら、腰まで伸びるツインテールの長い髪をさらりと払った。


「あなた……私とパーティー組まない?」


「えっ!?」


 突然のことに、僕は目を丸くした。


 なんで僕に……

 もしかしてこの子もレベル低いとか?


 チラリと彼女の頭上に目を向けた。


 職業:剣士、レベル……


「82!?」


 レベルの高さに驚愕していると、彼女はどこか嬉しそうに鼻を鳴らした。

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