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バンドマンになりたいコミュ障陰キャの転生先は、『バンド』の概念がない世界でした ~戦闘力0だけど、ギターで魔王に挑みます~  作者: 小雨☂


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第10話 最難関ダンジョン「フォルツァンド」

「あれがフォルツァンドよ」


 僕とアリアは、茂みに隠れながらフォルツァンドの入口を見つめていた。


「こんな近くにあるんだね……」


 王都からここまでの道のりは、30分もかからなかった。


 最難関ダンジョンといったら辿り着くのも困難な辺境の地にあるイメージだ。

 それが、思い立ったその日にふらりと行けてしまう距離にあるなんて……


 僕は、正直拍子抜けしてしまった。


「ダンジョンは基本ギルドが管理してるけど、フォルツァンドは王都からかなり近いし、他のダンジョンと違ってちょっと特殊だから王国騎士団が管理してるの」


「王国騎士団?」


「この国直属の騎士団よ。本当に何も知らないのね」


 アリアが小さくため息を付いた。


 入口の前には甲冑を着た騎士が何人も立っている。

 ダンジョンに入るには、受付が必要なようだ。


「このダンジョンはLv.70以上ないと入れないの」


「そうなの!? ……僕、全然だめじゃないか!」


 そう言えばダンジョンに着いた時、アリアはすぐに「隠れて」と言った。


 なんか、嫌な予感がする……


「そう。だから、あなたはこの中に入って」


 アリアは、長細い袋を僕に渡した。


「えぇ……これに?」


 背負ってしまえば、大剣が入っているかのように見えそうだ。

 確かに誤魔化せそうではあるが、気乗りはしない。


「入ったとしても、どうやって運ぶの? もしかして……アリア怪力!?」


「ちがうわよ! 私の風魔法で浮かせてから背負うの」


 宿屋で僕を浮かせてくれたように、今回も魔法を使うらしい。


「本当に大丈夫……? レベル制限があるってことは、それだけ危険ってことでしょ?」


「しつこいわね! 大丈夫だって言ってるでしょ!! ほら、いくわよ」


「ぐぇっ!」


 アリアは僕を袋に押し込むと、袋の紐をぎゅっと引っ張った。


「エア・リフト」


 アリアは、僕が入った袋を魔法で浮かせて背負った。

 そしてフードを被り、騎士たちの目を避けるように入口へと向かった。


「こちらで、身分証の確認をお願いします」


 アリアは自身のギルドカードを受付のお姉さんに渡した。


「はい、確認いたしました。ご存知だと思いますが、ダンジョンは命の危険を伴いますので、こちらの脱出用ブレスレットの装備をお願いします」


 その言葉を聞いて、僕は袋の中で暴れた。


 今、命の危険って言ったよね!?

 やっぱり、相当危ないんじゃ……!


 ゴスッ――


「うぐっ……」


 アリアの肘が、僕の溝落ちにクリティカルヒット。


「HPが1/10になりましたら、強制的に帰還魔法が作動します。もし、一撃で戦闘不能になるダメージを受けても、一度は耐え切れる『食いしばり』のスキルが発生します。

 ダンジョン内ではブレスレットを装備したまま、絶対外さないようお気をつけください」


 アリアはにこやかに受付を済ませ、ダンジョンの中へと入って行った。


 * * *


「はい。これ付けて」


 アリアは、ぽんっと受付でもらったブレスレットを僕に投げた。


「それがあれば、死なないから安心でしょ?」


「そうだけど………アリアの分は?」


「必要ないわ。さっ、どんどんレベル上げるわよ!」


 アリアは楽しそうに、ダンジョンの奥をぐんぐんと進んで行った。



「ギャオォォ!!」


「ひぃっ!! なにあれ!?」


 僕らの前には、赤い目をした黒くて大きい犬のような魔物が二体現れた。


「ヘルハウンドよ。あんなのなんてことないわ。ほら、演奏して!」


 アリアの言葉に、僕は慌ててギターを構えた。


 アリアなら……クラシックとか好きかな?


 僕は、前世の記憶にある上品なクラシック曲を弾き始めた。


【攻撃力+1 防御力+2 速さ+1】


 アリアのステータスに、わずかなバフがかかる。


「いい曲じゃない。なんだか気分も上がってきたわ!」


 アリアは剣を抜くと、地面を蹴って一気に魔物との距離を詰めた。


「ウィンドスラッシュ!!」


 僕の曲に合わせて、アリアが斬撃を飛ばす。


「グアァァ!」


 あっという間に、ヘルハウンド二体を倒してしまった。


「す、すごい!」


 僕が目を見開きながらつぶやくと、アリアは嬉しそうに鼻を鳴らした。


「なんてってことないって言ったでしょ! さ、先を急ぐわよ!」


 さすが最難関ダンジョンなだけあり、Lv.50 以上の魔物が続々と現れた。

 しかし、アリアはそれらを颯爽と撃破していった。


「すごい……僕のレベル、もう15だよ」


 高レベルの魔物を倒してくれるおかげで、あっという間にレベルが上がっていった。


「だからここなら手っ取り早いって言ったでしょ」


 下の階層に降りるごとに、魔物は強くなっていく。

 怖さはあるけど、確かにもらえる経験値もそれだけ多くなる。

 僕らは、四階層にたどり着いていた。


「精霊がいる最下層まで、あと少しなんじゃないかしら」


「もうそんなに!? アリアなら本当に行けちゃいそうだね」


 その言葉に、アリアは嬉しそうに口角を上げていた。


「さっ、どんどん行くわよ!」


【音魔法:解放】


「ん?」


 その時、僕のステータス画面に表示が出た。


【スキル魔法取得:レゾナンス…振動数に応じて、音を増幅させる】


【スキル魔法取得:ライヴ…特定の武器使用時に、味方のステータスを一部上昇させる】


【スキル魔法取得:スピードサウンド…移動速度が…


「何だろうこれ……」


 Lv.15になったことで、新たなスキルが解放されたみたいだけど……


「アルバート、置いてくわよ!」


 説明を読んでる途中で、アリアの急かす声が聞こえてきた。


「わっ! 置いてかないで!!」


 僕らは更なる下層へと歩みを進めた。

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