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第1話 聖剣の目覚め
天に光があり、地に命が芽吹く前、世界は神の威光で満ちていた。
神がこの世界を去るとき、世界の行く末を人に託し、その力の一端を一振りの剣に込めた。
その剣こそが、魔を切り裂き闇を滅する聖剣である。
聖剣は聖域にて眠り、人々に危機が訪れるとき、勇者の到来とともに目覚め声を上げる。
有史以来、幾度となく降りかかる災厄――
世界の理を変えた災厄、黎明の獣の襲来
この世全ての悪を生み出した災厄、終焉虫の崩壊
人と魔の運命を別つ災厄、半魔病の伝播……
――そのたびに、選ばれし者が剣を抜き、災厄を斬って終わらせた。
そして、突如訪れた災厄、世界を終わらす破滅の権化、魔王の誕生を前に、再び聖剣である俺が目覚めた。