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大ダンジョン時代ヒストリア  作者: てんたくろー


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70/210

58年目-2 戦いの果てに

本エピソードの主要な登場人物

()内は年齢


アラン・エルミード(19)

ヴァール(???)

エリス・モリガナ(53)

早瀬光太郎(47)

マリアベール・フランソワ(40)

 第五次モンスターハザードとそれに対する反抗戦は約一年、世界中で同時並行的に行われ続けた。

 ソフィア・チェーホワWSO統括理事が集めた力ある探査者達により構成された特別部隊はもちろんのこと、それぞれ現地で活動していた探査者達も総力を挙げてモンスター達と交戦。

 世界中すべての探査者が委員会の悪辣な所業から人類を守るため、力を尽くしたのだ。

 

 大ダンジョン時代100周年を迎えた現代においてもなお、間違いなく一番規模の大きな事件であったと言われているこの戦い。

 特に事件解決のために直接委員会の拠点に攻め入り、幹部陣を倒し捕縛するに至ったメンバーの何人かは世界的な名声を獲得することとなった。

 

 すなわちソフィア・チェーホワ、早瀬光太郎、マリアベール・フランソワ。そしてアラン・エルミードである。

 実際の最終局面ではここにエリス・モリガナもいたのであるが、彼女は不老体質を公にするわけにいかないため記録からは抹消されている。

 ともあれ歴史的には4人、実際には5人の英雄達をはじめとする探査者達の奮闘により、世界は一年ぶりの平和平穏を取り戻したのである。

 

 

 

 ───戦いが終わった。

 モンスターハザードを引き起こしていた委員会の本拠地を潰し、首謀者だった幹部陣を軒並み倒し。

 敵側の最後の切り札であったS級モンスター、後にバイオレンスオーガと名付けられる山より大きなモンスターを、あらゆる探査者勢力が一致団結してこれを打倒。

 第五次モンスターハザードはかくして、終結へと導かれたのである。

 

「お……終わった……?」

「ああ。終わりだエルミード。我々の、勝利だ」

 

 倒れ伏し、光の粒子へと変わっていくバイオレンスオーガの巨体を呆然と眺め、アランはつぶやいた。

 アフリカはサバンナ地帯のなだらかな草原、激闘を物語るようにあちこちにクレーターができ、多くの探査者達が疲労困憊に座り込み勝利の余韻を味わう、夜明け。


 応えるソフィア──否、ヴァールの言葉もどこか、右から左に聞き流し。

 アランは一人、黎明の空を見上げ、これまでを振り返っていた。

 

 壮絶な一年だった。

 世界中、行かなかった場所はないのではないかと思えるくらい様々な箇所を巡りスタンピードに対処し、また委員会の犯罪者達とも渡り合った。


 時にヴァール、時にエリス、時に光太郎。マリアベールやマルティナ、フローラやそれから他の勢力のあらゆる人々とも。

 その場その場で手を組み、時に対立したり和解したり、修行をつけてもらったりさえもしながら……わずか一年で大きく成長を遂げた彼は、組織の大幹部だった男さえそのスキルをもって倒しきったのだ。

 大殊勲であった。

 

「ハッハッハー、やーおつかれアランくん。新人さんがよく頑張ったよホント。もうエリスさんより強いかもだね」

「いやエリス先輩、ハードル上げすぎさねそいつは。たしかに骨のある男にゃなったがまだまだ小僧っ子、一年かそこらで私らに並んだなんて思い上がらせるのはこいつのためにならんですよ?」

「ハハハハハ!! フランソワさんの言う通りだ、エリスさん!! しかし……アランくん! 君は本当によく頑張った!! 感動するよ、正直なっ!!」

「みなさん……」

 

 偉大な先輩探査者達からの言葉。

 茶目っ気めかしたり釘を差したりストレートだったりするそれらにはすべて、アランへの信頼と友情意識が感じられる。


 世界を股にかけての戦いの中、アランが培ってきた絆。

 後年、"史上最高の探査者"と評する者が多く出るほどの大探査者となる彼の基礎、基盤は間違いなくこの一年、信頼し尊敬する彼ら彼女らによって鍛え上げられたものだった。

 ヴァールが、無表情の中にもねぎらいの感情をこめて彼に手を差し出す。

 握手の招きだ。

 

「ヴァールさん……」

「アラン・エルミード。君の健闘、そして献身に敬意を表する。この世界にいるありとあらゆる探査者すべてがワタシにとって敬意に値するのは言うまでもないが、とりわけ君の貢献は特別大きい」

「そんなこと……ありませんよ。みなさんの、おかげなんです。すべて」

 

 優しい言葉に、少年アランの涙腺が緩んだ。止めどなく流れる涙は、緊張の糸が切れたことにも、また偉大な方々に認められた喜びにも起因する。

 辛いこと、苦しいことも多かったがそれ以上に楽しい、嬉しいことにも恵まれた。すべてがこの、素晴らしい先輩達や今まで出会ってきた人達のおかげだ。

 心からの感謝とともに、アランはヴァールと握手を交わした。

 

「ありがとう……本当にありがとうございます。みなさんのおかげで僕は、人間として探査者として、大きくなれました」

「うむ。だがまだまだこれからだぞエルミード。君だけでなく、この世に生きているすべての者がみな、生きているからには発展途上なのだ」

「ハッハッハー、まあ自分のペースでねアランくん。人間、どうやったってなるようにしかならないんだよ」

「困ったら日本は中部地方、早瀬会に来ると良い! 俺達は戦友の力になるぞ、喜んでな!!」

「ま、これでユリアンの仇も打てたろ。あいつにゃよろしく言っといておくれよ、アラン。お前さんとの連携は結構楽しかったぜ、ハハハ!」


 それに返すはエリス、光太郎、マリアベール。彼女達もまた、頼もしく立派に成長した後進の姿を眩しそうに見つめる。

 第五次モンスターハザード終結。それは同時にアラン・エルミードという、大ダンジョン時代史に名を残す大探査者の歩みの始まりを示すものでもあるのだった。

 ブックマーク登録と評価のほうよろしくお願いいたしますー 


 第八次モンスターハザードの様子が描かれる「攻略! 大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─」は下記URLからご覧いただけますー

 https://ncode.syosetu.com/n8971hh/

 書籍化、コミカライズもしておりますのでそちらもよろしくお願いいたしますー

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― 新着の感想 ―
[一言] このときにアラン自身の口から師匠の仇がとれた喜びが出てこなかったのは意外でした
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