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大ダンジョン時代ヒストリア  作者: てんたくろー


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67/210

57年目-4 第五次モンスターハザード

本エピソードの主要な登場人物

()内は年齢


ヴァール(???)

エリス・モリガナ(52)

早瀬光太郎(46)

マリアベール・フランソワ(39)

アラン・エルミード(18)

 大ダンジョン時代到来から56年が経過した頃。スイスはジュネーヴ、WSO本部施設にて、かつてないほどの戦力が結集していた。


 統括理事ソフィア・チェーホワはもちろんのこと、初代聖女エリス・モリガナ。三代目聖女マルティナ・アーデルハイドおよびダンジョン聖騎士団。

 加えて早瀬会大親分早瀬光太郎にその傘下パーティ多数。S級探査者マリアベール・フランソワに、若きハザードカウンター、アラン・エルミードや次期聖女候補フローラ・ヴィルタネンなどなど──

 

 これまで世界各地のダンジョンやモンスターから人々を守ってきた者達から、これからそうしていくことになる者達まで、多くの探査者達が勢揃いしていたのだ。

 すべては第五次モンスターハザードの主謀組織、委員会に対抗するため。加えて世界規模のスタンピードに必ず対応しきるという、ソフィアとヴァールの決意の表れとも言える大招集であった。

 

 世界全土にて、かつてないほどの頻度と規模で引き起こされるスタンピード。このまま放置すれば間違いなく、世界の秩序は崩壊してしまう。

 大ダンジョン時代ひいては人の世を守り抜くための、総力戦の火蓋が切って落とされようとしていた。

 

 

 

 本部大会議室に集められた、各勢力のリーダー格、あるいは極めて強力な個人探査者達。

 それだけでも50人近くにも及ぶ彼ら彼女らは揃って円卓テーブルに座り、同じく座るソフィア・チェーホワに視線をやっていた。

 これから始まるのは初めての会議。第五次モンスターハザードに際して各勢力が一丸となって戦うための、極めて重要な話し合いである。

 

「────諸君。よくぞワタシの呼びかけに応じ、遠路はるばるジュネーヴにまでやってきてくれた。この場を借りて感謝する」

 

 視線を受けて瞳を閉じていたソフィアが瞼を開け、おもむろに切り出す。

 否、ソフィアではない。それは彼女に宿るもう一人の人格、ソフィア・チェーホワの裏の部分。

 

 ヴァール。

 ことモンスターハザードにおいては誰よりも経験が多いモンスター線のエキスパートが今、ソフィアに代わり話しかけていた。

 

「昨年より引き起こされている人為的スタンピード。その主謀組織たる委員会との戦いに際し、改めて集まってくれた各グループの代表者間での情報共有、報告や相談、連絡、および連携に向けての打ち合わせを開始する。異論はないか」

「アフリカ全探組同盟は異論ありません」

「ダンジョン聖教および騎士団も異論ありません」

「ヨーロッパ探査者友の会も異論なしです」


 呼びかけに、各人次々異論なしと答えていく。公的組織の地域的互助同盟組織の長から、宗教組織の象徴的存在から、あるいは極めて強力なだけの個人探査者達の集いの創始者まで含めて……

 老若男女も人種も性別も、公的も私的も、組織も個人も関係なく。ソフィアやヴァールがこれまでの活動の中で知り合ってきた探査者の多くがこの場にいるのだ。あるいはこれは、彼女が大ダンジョン時代で築き上げてきた功績そのものとも言える光景かもしれなかった。


「マリアベール・フランソワも文句ないですよ、ヴァールさん」

「早瀬会は早瀬光太郎、異論なし!」

「あー……え、エリス・モリガナ。異論ない、です……」

 

 次いでこれまでにおきたモンスターハザードにて大きな活躍を見せた者達が次々、異論なしと表明する。

 エリス、光太郎、マリアベール。世界初のS級探査者であるマリアベールはさておきエリスは無名、光太郎も極東の1地域におけるクランのリーダーと他の面々と比較してはかなり社会的な格は落ちるものの……

 そこはさすがに呼び寄せた張本人、ヴァールが速やかにフォローを入れた。

 

「エリス、早瀬はともに以前、ワタシの探査に同行してくれたことから信頼して呼び寄せた。エリスはマリアベールに匹敵する実力を持つし早瀬は日本における最大規模のクランの長だ。無名だから、個人だから、級が低いからと侮ることのないよう先に述べておく」

「この場にいる者にそのような真似をする輩はいませんよ」

「ヴァールさんがそこまで仰る方々ですからね……」

「部下達が侮らないようには通達しておく必要はありますが、少なくともリーダークラスは間違いなく侮りなどはしませんとも」

 

 元より少なからずソフィアやヴァールとも交友のある面々ばかりだ。

 そんな彼女がそこまで豪語するような探査者達を、そのような侮蔑の目で見るなど到底ありえない。


 それ以前に当のエリスや光太郎自身、見るからに実力派なのが伺える立ち居振る舞いなのだ──なぜかエリスについてはテーブルに着いた瞬間から、やけに緊張しているようだが──

 舐めてかかれば委員会より先に自分達がやられる。そんな思いは一同の中にたしかにあった。


「あ、アラン・エルミードも異論ありません……といいますか何故僕がこんなところに、チェーホワさん……」

「すまんが取り決めだ。君も個人参加な以上、たとえ新人であっても今後の動きに関わるこうした会議には参加してもらわねばならないのだ」

 

 そして最後に、一人の少年も緊張に震えながら、どうにか追従した。気にかけたヴァールがやはり、フォローを入れる。

 この会合の中で誰よりも若い、気迫もまだまだ未熟な少年アラン・エルミードだ。


 誰もがその場違いさを感じつつも、けれどソフィアのやることならばと同情の視線を向ける。

 しかしてこの少年こそが第五次モンスターハザードにおける、主役的な立場となるのだが……それはまだ、誰にもわからないことではあった。

 ブックマーク登録と評価のほうよろしくお願いいたしますー 


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― 新着の感想 ―
[一言] 一瞬織田が来るかと思ってしまった
[一言] 侮って食って掛かって徒に戦力を減らすのは愚行ですしね
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