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大ダンジョン時代ヒストリア  作者: てんたくろー


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27/210

28年目 ラウラ・ホルン20歳

本エピソードの主要な登場人物

()内は年齢


ソフィア・チェーホワ(???)

ラウラ・ホルン(20)

 最小規模の被害での解決に至れた第三次モンスターハザード。それ自身は大きな功績であり、ソフィア・チェーホワの名はそれまでのモンスターハザードと併せてさらなる高まりを見せることとなったことは言うまでもない。

 しかし、彼女にとってはこの時に生じていた別の問題と向き合う必要があり……はっきり言ってそれどころではなかったのも事実だ。

 

 事件の最中に出くわした、初代聖女エリス・モリガナとのやりとり。

 まさかと思っていたスキル《不老》の存在や彼女が不老体質となり、それゆえに世界各地を転々とする孤独な放浪を強いられていることを確信し、その対応を真っ先に考える必要があったのだ。

 

 まず最優先すべきは彼女の現状を、家族達に伝えるということ。

 エリスの故郷であるフィンランドの田舎、モリガナ家の者達と彼らの義娘にして第二次モンスターハザードにおいて称号《聖女》を受け継いでいた──

 

 二代目聖女ラウラ・ホルンに経緯を説明しなければならなかったのだ。

 

 

 

「────以上が第三次モンスターハザードの際、極東アジアは日本にて遭遇した御息女、エリスさんについての現状報告となります」

 

 フィンランドの片田舎に住むモリガナ家にて。

 そろそろ雪も降り始め、あっという間に積雪するだろう頃合いの季節に今、WSO統括理事たるソフィア・チェーホワはこの家の長女にして失踪中の娘、エリス・モリガナについての報告と連絡、そして相談を行っていた。

 

 第二次モンスターハザードの最終局面にて彼女が半狂乱に陥り、それからすぐに姿を晦ましてからもう5年が経つ。

 その間もソフィア筆頭に当時の仲間達が懸命の捜索を続けてきたものの、ほとんど何も手がかりが掴めずじまいのままここまで来てしまっていたのだが……事態は数ヶ月前、大きく進展した。

 第三次モンスターハザードにおいて密かに来日し、陰ながらモンスターを退治して人々を護っていたエリスとソフィアの裏人格、ヴァールが接触することに成功したのである。


 そしてその際の会話から判明した事実。

 エリス・モリガナは《不老》なるスキルを獲得したことで不老体質となり、そのために放浪の旅を続けているのだ。

 それを包み隠さず説明するために、今回こうしてソフィアが彼女の親類縁者のところへ直接出向き、説明をしていたのであった。

 

「エリス……! 生きていてくれたんだな、良かった、良かったぁ……!!」

「歳を取らなくなったなんて、そんなことどうでもいいのに、エリス……! 戻ってきて、笑ってさえくれれば……!!」

 

 モリガナ家の両親は報告を聞き、互いの身を抱き合い泣いて喜んでいる。それを見て、ソフィアは慈愛の微笑みを浮かべた。

 この夫婦は5年前、第二次モンスターハザードの際にエリス未帰還となってしまったことを告げた際も泣いて途方に暮れていたが……今回はあの時のような悲しみの涙でない、喜びと安堵の涙であってくれたことにソフィアもまた、ホッとしたものを覚えている。


 エリスの弟や妹も泣きじゃくり、言葉にできない想いをしゃくりあげながら姉の名前とともに繰り返しつぶやいている。

 家族をこんなにも泣かせるなんて、エリスちゃんはやっぱりいけない子だわ……と、改めて彼女と再会した暁には、今度はヴァールでなく自分が叱ってそれから抱きしめようと心に誓う。


 暖かな空気が流れるモリガナ家。

 そこにもう一人、今や家族の一員となって5年ほどにもなる女性が、万感の想いを込めたかのような声音でエリスの名を、呼んだ。

 

「…………エリスお姉様」


 ブラウンの髪は5年前に比べて伸びて、今では腰元にまで届くほどだ──あの頃のエリスのように。

 活発を極めていた性格も今では落ち着き、身体も丸みを帯びた女性らしいものとなっている。すっかりとしおらしい言葉遣いにもなったことから、周辺の男達からも人気らしい──あの頃のエリスのように。


 二代目聖女ラウラ・ホルン。

 第二次モンスターハザードの頃にはまだ15歳だった少女は、今や20歳を迎えた妙齢の女性に至っていた。

 身寄りのない身だったのをエリスの伝で、モリガナ家に預けられることとなり早5年。人間としても探査者としても、エリスの後継たるに相応しい立派な姿になったのである。


 しかして変わらぬものもある。5年前、自身に称号を託して一人消えてしまった最愛の姉貴分への、尽きることのない敬慕。

 あの日エリスに起きていた真実を知った今、その想いは熱い涙となって頬を伝っていた。震える声で、なおもつぶやく。


「なんて、なんてお労しい。不老となった自身を、そんなにも厭い、自らを卑下して世捨て人になってしまうなんて……」

「ラウラちゃん……」

「それでもなお、人々を守るために極東の地でもモンスターを一人、倒し続けている……! お姉様は、お姉様こそやはり聖女に相応しい方です。称号を受け継いだだけの私ではまるで、全然、比べることさえおこがましいほどに尊く、偉大で遠い御方……!!」

「……………………そ、そうかしら?」

 

 あまりに熱のこもった言葉。ひたすらにエリスを讃える言葉を放つラウラに、ソフィアはおろかモリガナ家一同も先の感動を引っ込めて若干引き気味でいる。


 二代目聖女ラウラ。

 大ダンジョン時代100年目を迎えた現代においてはダンジョン聖教の創設者として多くの人々の尊崇を集める偉大な指導者であるそんな彼女だが……


 その実、彼女こそ初代聖女を信奉し崇め奉ることに、なんの躊躇も持たない信者としての側面を持つ。

 今では歴代聖女含め一部の人間にしか伝わっていない、それは隠された真実であった。

 ブックマーク登録と評価のほうよろしくお願いいたしますー 


 世界的宗教になったダンジョン聖教も出てくる「攻略! 大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─」は下記URLからご覧いただけますー

 https://ncode.syosetu.com/n8971hh/

 書籍化、コミカライズもしておりますのでそちらもよろしくお願いいたしますー

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― 新着の感想 ―
[一言] あぁ、ソフィアさん、伝道師の経験者だったのか。
[一言] ラウラはエリスさんを狂信してはいるけど、伝道まではしてない?
[気になる点] ラウラさん…「現代の伝道師」と重なるところが多すぎるんですけど…? ※「輪廻転生」は、さすがに深読みし過ぎか…。
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