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魔王討伐  作者: 甘党辛好
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牛と鬼

ピッピッピッ




一定のリズムを保っている、機会音で目が覚める。


幾度か瞬きをする。


(僕は....生きているのか?)


心臓に手を置き、心音を感じ、自身が生きている事を実感し涙が流れる。


体を起こし周囲を確認する、するとウーさんとスィが、僕の右手と左手を、それぞれ握って眠っていた。




ガチャ




扉が開く音がする。




セリナさんだ


飲み物が入っているであろうマグカップが二つ、お盆の上に乗せられていた。


恐らく、僕を看病してくれていた二人への差し入れだろう。


セリナさんは僕が起きたことを確認する。


すると、セリナさんは微笑み、僕に向かって話す。




「起きたか」


「はい、生きてたみたいです」


「あまり心配を掛けるな」




怒られながらも顔は微笑んでおり、セリナさんが喜んでくれてるのが分かる。




「今、飲み物を持ってこよう」


お盆に乗っていた、二つのマグカップを机に置く。




置いた時の音で、スィとウーさんが起きたようだ。




まず、対面していた二人が顔を合わし、寝ぼけた顔で僕の方を見る。


その後、もう一度二人で顔を見合わし、僕の方を2度見し、起きた事を理解し涙を流す。




「ライト様!?」




ウーさんとスィが僕が起きたことを確認すると、同時に抱き付いてくる。




「よがっだでず~」


「じんだがどおぼみまじだ~」


スィとウーさんは涙ながりに、僕が生きていたことを喜んでくれている。


二人の様子を見たセリナさんは、フッと笑って扉を開け外を出ていく。




「ウーさん、痛い、死んじゃう」


ウーさんの愛情は伝わるが、腕力が強すぎて骨が折れそうだ。


「もうはなじまぜん!」


「ばだじもでず」


「放してくれないと死んじゃうって」


「じゃあ、俺の腕でじんでくだざい」


それを泣きながら、冗談なのか本気なのか分からないトーンで言うと、スィの涙が引き、「え?」と引いた目でウーさんを見る。


「いや、冗談だぞ」


と、それに気付いたウーさんがスィに説明する。


それを見ていた僕は思った。




それにしても、二人とも変わり身が早すぎないか?




と思っているのは内緒だ。




「そういえばスィは大丈夫なのか?」


「?....大丈夫ですよ!」


スィが、元気よく豪語する。


この明るく元気な声で、僕が生きていたを実感させ、心が震える。


「スライム族は基本的に、再生速度が他の魔族より速いしコスト無しに再生するので、死を彷徨うなんてこと無いんですよね、生きてる場合はすぐに回復するんですよ、だから即回復か即死かの二択しか無いんですよ~」


と威張ったような表情をしながら胸を叩く。


今にも「エッヘン!」という擬音後が出そうな顔つきだ。


だが僕は思う


(威張るようなものじゃないと思うぞ)と


心の中で笑いながら思う。




「まぁ、無事で良かったよ」


「ライト様もご無事で何よりです!」


お互い、生きてることを喜び会話が弾む




そんな会話をしていると....




ガチャ


また扉が開く。




腕から部屋に入ってきた人物は、ウーさんと同じサイズの腕の大きさをしており、ウーさん同様、その体が巨体だということを示している。




「おぉ~生きてたか」


腕の次は体が見え、その次に角が生えている頭が見え、その人物の全体像が分かる。


「餓鬼さん!」




「久々だな!ライト!」




この人は 餓鬼さん 鬼だ。


怪族(あやかしぞく)最後の生き残りで、ウーさんと同時期に先代魔王に拾われたらしい。


ちなみに、ウーさんも種族的に最後の生き残りだと言っていた。


拾われた後は、先代魔王と僕の父から力を付けてもらい、その強さと、信頼、実績から先代魔王の近衛兵を任せられるようになった。


しかし、ウーさん曰く、祖父が人間に対し友好的だったのもあり、近衛兵の仕事よりも、基本的には僕の世話をしていたと、ウーさんは言っていた。




僕に師匠は二人おり、一人はウーさん、もう一人は餓鬼さんだ。




餓鬼さんは、戦闘をする上での考え方や、剣術、洞察力といった基礎的な事を教えてくれた。


ウーさんは、餓鬼さんから教わったことの応用をしてくれ、どちらも僕にとって大切な存在であり、越えるべき壁である。




「餓鬼さんはどうしてここに?」


――――――――――――――――――――




餓鬼さんは先代魔王である、僕の祖父が死んだ後、旅に出た。


理由は、




人間社会の情報


さらなる力の向上


狭間の位置を探ること


以上の三つが主な理由とのこと




旅に出る際、餓鬼さんは僕に涙ながらに言っていた


「俺が未熟なばかりに、先代魔王様とお前の祖父を死なせちまった、俺は自身の力を過信しすぎたんだ」


尊敬していた人が、初めて目の前で泣いていた。


幼い僕にとって、それはとてつもなく印象に残っている。


そして僕に約束したのだ




「奴らを止めるため、強くなって帰ってきます」





そう約束し、餓鬼さんは旅に出た。


――――――――




「餓鬼さんはどうしてここに?」


僕は疑問を訪ねる。


「お前らに顔を会わせようと思ってな、そしたら....」


「そしたら?」


「ここからは真剣な話だ、ライト」


空気が一変する。




(新キャラですね、餓鬼さんはそこそこ好きです、さて次回は明日の3月1日に更新します。ご意見、ご感想の程よろしくお願いいたします)

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