銃兄弟
「もう一人獣人がいたろ?」
腕を抑えている人物に近づき、ローブを引き剥がす。
「どこへ行った?なぁ…ライト」
ローブを引き剥がすと、やはり正体は…
ライトであった。
「知らないよ」
絶望的状況、しかし、ライトは目の輝きを失っておらず、こちらを挑発するように笑っていた。
(…この状況で何故笑っていられるんだ?)
「…そうか」
「まぁ、いいさ」
「ライト…忠告しておくぞ?」
「今から何が起きても、スキルの発動はしないほうが良い…お前の心臓にある魔結晶を、弟がスナイパーで狙っている」
「わかったな?」
銃兄弟、兄がそう言うと、銃兄弟、兄はミールの方へと向かう。
「弟との戦闘を遠くで見ていたが…お前は強かった」
「じゃあな」
発砲音と共に、ミールの頭に銃弾が撃たれる。
一発だけではなく、ニ発、三発と…。
「もうやめろ!」
ライトは怒りを顕にする。
「落ち着けよ…ライト…お前がスキルを発動した瞬間に、弟がお前を撃ち抜く」
「勿論、スキルの暴発も駄目だぞ?」
「変な行動はしないほうが良い…それがお前の身のためだ」
銃弾を補充をしながら、銃兄弟、兄は話す。
銃弾を撃たれたミールの目から、光が消えてく。
そして…息をしなくなった。
銃兄弟、兄はミールの目を確認し、ミールの瞳に光が宿っておらず、生気が無いことを確認する。
「死んだな」
ーーーー銃兄弟視点
(妙だな…)
銃兄弟、兄はライトの異変に気付く。
(仲間を殺されたのに顔色一つ変えてない)
(…何か狙っているのか?)
銃兄弟、兄は思考を巡らせる。
そして、巡らせた結果、行き着いた先は…
「…………後ろか」
自身の後ろにある路地裏から、全身がローブで覆われた奴が出てくる。
しかし、銃兄弟、兄はそれを銃を構え、冷静に対処し麻袋をかぶった奴を撃ち抜く。
発砲音と共に、麻袋を被った奴はその場で倒れる。
「成る程なぁ、ライト、これが狙いだったか…しかし、残念だったな」
「このローブを被った奴は、獣人の男のほうだろう?」「後ろから切ってくるのは良いが…余りにもタイミングが遅すぎるな…3体1の戦い方は…習ってないのか?」
「ライト、お前の狙っていた事は、すべて無駄になった」
銃兄弟、兄はライトの方を向くがライトはまだ、顔色一つ変えていない。
正確に言えば、目の奥にある光が消えていない。
(ライトのあの余裕…一体なんだというのだ?)
(もしや、あのローブのやつに何かあるのか?)
「弟よ、聞こえるか?」
銃兄弟、兄は耳にかけてある無線機で弟に話しかける。
「どうしたの?兄貴」
「ちゃんとライトの心臓部を狙っておけよ」
「うん、任せといて」
銃兄弟、兄は、弟にそう告げると後ろを向き、麻袋の人物の顔を、念の為確認しようとする。
ローブを被った人物の、麻袋を取ろうとした瞬間。
「ごめん兄貴、やられた」
弟から無線機で、そう伝えられる。
その言葉に銃兄弟、兄は驚き、すぐにローブを取る。
そこには…
何もなかった
誰もいなかったのだ。
(…まさか!)
銃兄弟、兄はすぐに後ろを振り向く。
そこに広がっていた光景は…。
「僕達の勝ちだな」
「ええ、私達の大勝利です!」
ミールとライトが自身の首元に剣を突き立てている光景であった。
「…どうやった?」
銃兄弟、兄は悔しそうなそれでいて、負けを認めるような表情でライトたちを見つめながら話す。
「…うーん、一言で言うなら…お前を信用した」
「…信用は人を弱くするぞ」
「しかし、人間は”他者を信用して“進化してきただろ?」
ーーーー1時間前、ライト達視点
「さて、これは…今いる地点の地図だ」
ライトは魔法で、地面に地図を描く。
「作戦を説明していくぞ、まず、銃兄弟、兄の考える事として…弟をスナイパーとして活用する点だ」
「でもライト様、その場合俺らと直接的に戦うのは1人って事になっちゃうぞ?」
「あぁ、恐らくそうなる」
「それでは相手からして勝率が低いのでは?」
「いや、弟の方のスナイパーの実力は相当なものだった、直接戦ったお前らがよく分かるだろ?」
「はい」
「ただ奴は、近接はそこまでだった」
「それなら…僕だったらスナイパーとして援護してもらうために直接戦わせるよりも…後ろの…そうだなこの辺りかな」
ライトは、扉に続く大通りの反対側にある山を、指差した。
「成る程な」
「それに、弟の方は足を怪我している、応急処置はすると思うが…まともに戦えるまでの治療はできないだろうな」
「…成る程」
「最後に僕らが手負いであるという点だ、魔力もない、怪我もしているのが敵となると、味方に援護させたほうが勝率が高い」
「理由は分かりました」
「じゃあ1対3になるから勝負を仕掛けるってことか?」
「いや、さっきも言ったが僕達には作戦勝ち以外に勝てる方法がない」
「これは申し訳ない話だが、銃兄弟、兄には目立った怪我すらさせることはできなかった」
「と、なると相手は、いくつもの実践を乗り越えてきた人物だ、そんなやつがほぼ万全な状態で来たら…手負いの僕らじゃ勝てる確率は0に近い」
「じゃあ、どうするんだ?」
「モカ達の戦闘を見ているときに考え抜いた作戦があるんだ!」
ライトは自信満々に作戦を言おうとするが、それに対し、モカが、
「ん?」
と発してしまう。
ライトも思わず、
「ん?」
と返してしまう。
「待ってくれライト様…俺と姉ちゃんが頑張って戦っていたとき、ライト様はそれを見ていたってことか?」
「…すぅー」
ライトはそれを聞き目を泳がせる。
「いや…その…死にそうだったら助けに行こうと思ってたんだ…それまでは魔力のない僕が言っても足手まといだろうし、作戦を練りながら回復に努めようと…」
「ライト様って…そういう人だったんだ〜」
モカのこの一言に大ダメージを受けるライト。
本当にショックを受けたように、壁際に行き、地面をなぞる。
「こら!モカ」
「誰から、あんな言葉教わったの」
「いや、まって…もしかして山月さん?」
「うん!」
「…意味わかって言ってた?」
「ライト様がいないときに頑張ったら、ライト様に言うといいよって教えてもらった」
「…ん〜じゃあ、肝心のライト様は今どうなってる?」
「傷付いてる」
「じゃあ、これが言っちゃいけない言葉だってわかったわね」
「うん、兄貴(山月)にもそう伝えておくよ!」
「はい、じゃあ今後使っちゃいけない言葉だって分かった所で、慰めてきて」
「うん…ライト様…ごめんなさい」
「はぁ、モカが山月さんに毒されてきている…」
ーーーー気を取り直して
「んで、どういう作戦なんだ?」
「あぁ、まずあの兄弟二人にモカを救出する瞬間に幻術を掛けた」
「どうやって掛けたんですか?」
「片腕無かったろ?」
「はい」
「あの切断されてる方の片腕に魔法陣を貼ったんだ」
「あぁ〜、成る程です」
「どういう幻術なんだ?」
「魔力もなかったから、高度な幻術は貼れなかったが…単純に言うとミールは僕に見えて、僕がミールに見える魔法だ」
「へぇ…俺は?」
「モカは、銃兄弟、兄との戦闘には参加せず代わりに、この山にいるであろう弟の方を頼む」
「分かった」
「恐らく、弟の方は…この辺りで戦闘が起きたとして…」
ライトは様々な計算を始める。
「ここら辺かな」
ライトは計算を終えると、山の一部をまるで囲み指差す。
「この円の中の何処かに、奴は居るだろうな」
「なるほど!分かった!」
「そして、ミールと僕の方だが…勝てればいいがほぼ無いだろうな、だからこそ、あえて負けよう」
「あえて負けるんですか?」
「あぁ、こんな事をリーダーである僕が、仲間に言うのも何だが…」
「…はい」
「恐らく奴らの獲物は僕だ」
「それ以外の二人…モカとミールのことは、銃兄弟の戦い方を見るに、“極力生かしながら、最悪死んでしまったら、それはそれで良い”、というのが奴らの思考だろう」
「その証拠に、凄腕のスナイパーである弟の方は、モカの急所を外しながらも、大量出血させるまでモカを撃っていた」
「確かにそうですね…」
「だからこそ、僕は殺さない…となると、あいつ等からして僕に見えているミールのことは殺さない可能性が高い」
「ちょっと待って下さい?」
「ということは、私に見えてるライト様のことは殺しにくる可能性があるってことじゃないですか?」
「あぁだが、その場合兄の方は頭を狙うだろうな、心臓よりも早く、楽に死ねるから」
「戦ったからこそ分かるが、奴は自分の仕事にプライドのある人物だ、だからこそ獲物を早急に殺し、獲物が苦しまず、楽に死ねるために即死である頭を狙うはずだ」
「つまり、私を殺すために頭を撃ち抜いてくるけど、それは私に見せたライト様で、ライト様は魔結晶が頭にないから、頭を打たれても動ける…ってことですか?」
「あぁ、大正解だ」
「うん?つまりどういうことだ?」
「まぁ…とにかく、上手く行けば勝ちってことだ」
「成る程な!」
「弟の方は、僕に見えてるミールの心臓部を狙うだろうな」
「位置を特定されないよう、基本的に撃たずな」
「まぁ、言うことを聞かせるためだろう」
「だから変な事をしないようにするんだ、そうすれば撃たれない」
「分かりました」
「ライト様は撃たれたあと…どうするんですか?」
「奥に…さっき作ったローブを設置しておいて、僕が撃たれたあとにそれを操作して、魔法で大通りに流す」
「そして、ローブの中に誰か居るかのように見せたい」
「成る程」
「ということは、また…」
「あぁ、幻術をかけたい」
「だからこそ、全身に魔法陣を仕掛ける」
「…じゃあ、やっぱり目とかどうだ?」
「いいな」
「手とかもいいと思います」
「たしかに!」
ーーー全身に魔法陣を仕掛け中
「よし!奴は注意深いやつだ、だからこそミール…に見えている僕の生死を確認するために体の何処かを確認するだろう」
「そこでこの仕掛けた魔法陣を見せ」
「その後、設置したローブを魔法で動かし、撃ってもらう」
「さっきも言った通り、奴は注意深い奴だ」
「きっとローブの中も確認してくれる」
「その間に、俺が弟の方を捕まえれば良いんだな」
「あぁ、殺気を消しながら背後から近付くんだ」
「分かった!」
「服装も変える必要がある、copyでミールと僕の服をコピーした、着よう」
「はい!」
「後、さっき作ったローブだ、これを着て…やつにあえて服装が別々だと気付かせるんだ」
「…何でだ?」
「服装以外は変えていないと思わせる為だ」
「成る程な」
「生物は、勝ちを確信したとき最も油断しやすいんだ…だからこそ奴らも油断してくれる」
「いくら注意深い奴らといえど、魔力の残り少なく手負いの僕達であれば服装以外は変えられていないと思ってくれれば、この幻術により気づかれにくくなるだろしな」
「そうだ!ミール、モカに視認阻害魔法を、後でかけてやってくれ」
「はい…でも15分ほどしか掛けれません」
「いや、充分だ…そうだろモカ?」
「うん、任せといて下さい!」
ーーー
「でも、ライト様…そう簡単にいくかな?」
「私もです、そう簡単に上手くいくとは…」
「いや、上手く行かせなくちゃ“いけない”んだ」
「そうしなくちゃ、僕らが殺られる」
「僕も用があるから対象に入ってないだけで、用済みなれば殺される」
「だからこそ、この作戦を成功させなくちゃ“いけない”んだ」
「それにさ…戦ったから分かるんだよ、きっとあいつはこの動きをしてくれるって、俺はあいつを信用してるんだ」
その言葉を聞いても、ミールとモカは不安そうな顔をする。
「それでも不安なら…僕に全部預けてくれ!」
「二人の恐怖感も、不安も、命も、責任感も、全部だ!」
「僕が…いや、俺がなんとかしてみせるよ、絶対に」
「…うん!ライト様に全部預ける」
「…私も苦言を呈しましたが…最終的にはライト様の意見に付き添います、だって、私はライト様の従者で…仲間ですから!」
「よし、やってやろう!」
「はい!」
ーーーーーーーーー現在に戻る
弟を確保したモカと合流する。
そして、銃兄弟の二人を縛り上げる。
「ライト様…これを」
ミールが、ライトから借りていた剣を、ライトに返す。
「…あぁ、ありがとう」
「なぁ、ライト…頼みがある」
銃兄弟、兄は、何かを察したような顔でライトの顔を見る。
「俺は苦しんで死んでもいいから…こいつだけは…弟だけは潔く楽に殺してやってくんねぇか?」
この期に及んで、銃兄弟、兄地震もどちらも助かるとは思ってないようだった。
どちらも殺されるのを察し、だからこそこの願いをした。
だが、ライトは驚いた顔をする。
まさしく、鳩が豆鉄砲を食らったような顔だ。
「…何いってんだ?殺すわけ無いだろ?」
その一言を聞いたミールが驚く。
「ライト様!?」
「なぁ、そんなことよりさ…僕るの仲間になんねぇか?」
ライトは銃兄弟に手を差し伸べる。
「は?」
銃兄弟は二人共、正気の沙汰じゃないといった表情をライトに向ける。
「そりゃ、は?ですよ!ライト様!」
ミールも同様の感情らしい。
「いや、だってな、どちらも凄腕の銃使い」
「となれば仲間にしたいし、最後以外は極力僕らを殺さないようにしてる訳だ、じゃあ別に大丈夫じゃないか?」
「うーん、でも最後には結局俺と姉ちゃん殺そうとしたし…俺は反対だな」
「確かにな、モカの言う通りだ」
「それに、僕を最後まで生かしていた理由も知りたい…」
「じゃあ、その2つ教えてもらおうか?」
「…理由は兄貴が…」
弟がなにか言いかけた途端、兄が割って入る
「滾ってたんだよ…お前らが強かったから」
「まずライトからだが…少し昔話をしたい…いいか?」
「あぁ」
「昔、俺の母と父は、凄腕の2文字じゃ言い表せないほどの、プロの殺し屋だった…その二人を俺は誇らしく思っていた」
「その2人はある日、魔王の討伐依頼を受けた」
「討伐の仲間も大勢いたらしくな、新しくなった魔王を討伐しようとなったらしい」
「でもな…負けたんだ…全滅した」
「父と母は、死ぬとわかっていたのか…討伐前に弟にお守りと、俺には言伝をくれた」
「殺しのプロになりなさい、あなたに教えた事を守り続けるの」
「殺しのプロ…つまりはプライド的な話で、気高く、逞しく戦場を潜り抜け、情に流されず、淡々と殺しをする…強き者…それに父と母はなりたかったらしい」
「そして、死期を悟った父と母はその願いを俺に託した」
「自分達はなりたくてもなれなかったからって言っていた」
「何故なれなかったのか…話はしていたが…幼かったらそこだけ思い出せないんだ」
「まぁ大方、今までの殺しで情に流されてしまったり、戦闘中に敗北してしまったり…辺りの理由だろうな」
「両親が死んだ後、魔王に引き取られた…敵の子を引き取るなんて何を考えているのか知らんが、俺もおかしくなったのか恩を感じたんだ」
「親の仇のやつとはいえ、拾われ、ここまで育った…だからこそ恩を感じたんだろうな」
「だからこそ、恩を感じたからこそ奴の仕事を手伝った、何人も…何百人も殺してきた…魔物も含めてな」
「さて、ここからお前らの疑問の答えに入るが…俺がライトに情をかけたのは、それが殺しのプロの心情の一つだからだ」
「殺す必要の無いものは殺さない」
「他にもいくつがあるがそのうちの一つにこれがある」
「だからこそ殺さなかった」
「と、いうことは…魔王は俺を殺せとは命じてないってことか?」
「あぁ、内容は言えん…そこは仕事に対するプライドが許さん…ただ殺せとは命じていなかった」
「…まぁ、だけらこそ、お前らに情をかけたんだよ…結果俺は負けた、情をかけた敵に負けたんだよ」
「しかしな、まだやり直せると思った…ライトと一対一をして、正々堂々、なんの緊張感もなくお前を倒せれば…まだなれると思ったんだよ」
「だから生け捕りにしようとしたんだ」
「プライドや心情なんてものは、自分が決めることだ、負けていても負けていないと押し通せば、そいつからしたら負けてないことになる…俺は負けて、もう殺しのプロにはなれないと心で分かっていた…」
「だからライトと最終的に一対一をした所で…もう殺しのプロにはなれないと分かっていたハズだが…感情がそれを否定していたんだ」
「…じゃあ、この二人を殺したかった理由は?」
「…強かったからだ、思っている以上にな」
「だから、殺そうとした…そういうやつには敬意を払わなくちゃいけないと思ったからだ」
「分かった…なぁ、所で…プロってなんだ?」
「え!ライト様知らないんですか!?…プロってなんだ?」
「え!姉ちゃんもライト様も知らないの!?プロってなんだ?」
「……お前ら大丈夫か?」
「なぁ、兄貴…プロってなんだ?」
「お前が一番言っちゃいけんだろ」
「冗談だよ、ちょっと暗かったからな場を和ませようと…」
「じゃあ、プロってなんだ?」
銃兄弟、兄はライトに問いただす。
「プロってなんだ?」
「あれだろ、その職業で食ってる人ーみたいなやつだろ?」
「…まぁ、何となく分かっているならいい」
「良かった、まぁ、なにはともあれ…やっぱり仲間にしたい」
「俺は良いぞ!理由聞けたし!納得できる!」
「私は…ライト様に従います…でも怪しい動きを2人がした瞬間…すぐに魔法で木っ端微塵にします」
「うぉ〜、怖っ!だってさ兄貴」
「…所でライト様」
「なんだ?モカ」
「後ろやばいよ」
「え!マジか!もう崩壊始まってる」
「…俺等、時間無いから、この世界から出るまでに決めといてくれ」
ライト達はそう言うと、この世界の脱出口の扉まで向かう。
ライトたちが扉から出ようとした瞬間。
「待ってくれ!ライト…」
「ん?」
「報酬は何だ?」
銃兄弟、兄はニヤリと笑う。
「あんたら…命まで助けてもらったのに報酬まで望むき!?」
「そりゃそうだろ、殺し合った仲なんだ…報酬っていう鎖がなくちゃ、俺等何するかわからんぞ…それにお前らだって、鎖があれば安心だろ?」
ミールが腰にかけてある、短剣を抜き出そうとする。
「…待てミール」
「でも、ライト様!」
「良いんだ…契約期間から良いか?」
「あぁ、構わない」
「契約期間は…僕が魔王を倒し、魔王になるまで」
「報酬は?」
「お前らの望むもの…なんでも一つやろう、俺の命が欲しけりゃくれてやるよ、ただ、条件がある」
「条件?」
「あぁ、お前らが僕の命以外の…仲間の命がほしいって言ったときは…全力で抵抗させてもらう」
「だってさ…兄貴」
銃兄弟、弟は兄の方を見る。
「フッ…ハハハッ!」
銃兄弟、兄は、ライトの条件をそれを聞いた途端、爆笑する。
「あ〜面白い…いいな気に入ったよ」
「胸元に契約書が入っている、取り出して書いてくれ」
「でも、世界崩壊してるんですけど…」
「大丈夫だよ、まだ後10分ある」
ーーー
「なぁ、こんな事になって悪いんだとさ…いいのか?一様魔王に恩を感じてたんだろ?」
「あぁ、でもな…あの人の仕事を何回、何十回、何百回とこなしてきた…だからこそもう恩は返せたと思う」
「それに、この仕事で一旦魔王との契約も切れる予定だった…丁度良かったよ」
「分かった………書けたぞ」
「おう、説明したい…ロープ切ってくれ」
「あぁ」
「ライト様切っちゃうんですか!?」
「うん」
「でも、何してくるか分かんないですよ!?」
「確かにそうだが、こいつが何かしてくることは無いだろうな…僕には分かるんだよ」
「それにこれから、大切な“仲間”になるからな」
「嬉しいねぇ〜そう言ってもらえて、な、兄貴」
「あぁ〜、大切な”ビジネスパートナー“だからな」
ーーーー
銃兄弟、兄は契約書を半分に切り片方をライト達に渡してくる。
「この契約書は?」
「文字があるだろ?」
「あぁ」
「その文字を火の魔法でも何でも良い、火でなぞってくれ」
ライトは指に火の魔法を灯し、文字をなぞる。
「…なぞったら、こっちの紙に通知が来るんだ」
「おぉ、すげえ!」
モカが目を輝かせながら言う。
「念じながらなぞると、その念じた内容も反映される」
「分かった」
「俺等が必要になったら、この紙で呼んでくれ」
「分かった」
「移動の時間もあるから…予め呼んでくれると助かる」
「了解した」
「…後、俺等はこの仕事を終えるまでは魔王側として居させてもらう」
「そこだけはすまないな、仕事を引き受けた以上、終わるまでは新たな契約に移行できない」
「お前らが無事メルクを倒せたら、その時改めて契約成立だ」
「…了解した」
「うわ!ライト様!もう崩壊がすぐそこに」
「残り3分ってとこだな」
「ヤバいな…じゃあ僕たちはこれで」
「うん、また会おうね〜」
ライト達が扉から出ようとする瞬間、もう一度ライトに銃兄弟、兄が話しかける。
「ライト、目標が叶っとき…そん時は敵になるかもな」
「あぁ、徹底的に叩き潰してやるよ」
ーーーーライト達が、この世界から脱出する。
「信用だってさ、兄貴」
「あぁ、俺は当分…お前以外信用出来なそうだよ」
(いやぁ、時間かかってしまいましたが何とか、予定通りに投稿できました。はい、ということで銃兄弟が仲間になりました!これにて銃兄弟編終わりです!次回は3月9日に投稿予定です)




