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魔王討伐  作者: 甘党辛好
30/45

銃と兆候

「…ミール!モカ!、二人は弟の方を頼む!」


「分かりました!」


「モカは前線で、ミールはモカの援護を!お互いの事だけ心配しろ!」


「はい!」


「来るぜ!ライト様!」



「…弟よ、お前はあの獣人を頼む」


「はいよー」


「俺はライトと一騎打ちだ」


「…負けないでよ?」


「フッ…言ってろ」  


二人共煙から出てきて、ある程度の近さまで近づいてくる。


「…安心しろよ!ライトぉ!お前と俺は一対一だぜ!」


「獣人の子たち?よろしくぅ」


兄の方は殺気立っているが、弟の方はミールとモカ達に手を振る。



「第一ラウンドだぜぇ?ライトぉ!」


モカは真っ先に弟の方に、凄まじい速さで向かっていく。

弟の方がすかさず、向かってくるモカを銃撃しようとする。




3回、射撃音が聞こえる。


僕はその射撃音を聞いた途端…


奴らの方面へと走った。



「ライト様!?」


「ミール!相手とモカに集中しろ!」


「ッ…はい!」



「へぇ〜、向かってくるのか」

「やるな」


僕は、自身の剣で奴を斬りかかる。

しかし、奴はマントの下に隠していたサバイバルナイフを素早く取り出し鍔迫り合いが起こる。


「自信満々に切り掛かってきたのに…残念だったな」


正直驚いている。

対応されたことではなく、思っている以上に力が強かったからだ。


「銃を使う奴だからって鍛えてないとでも?」




「あ、あぁ…すまなかっ…」「た!」


僕は、上手く相手のナイフを捌き相手の体勢を、上の方に崩す。


「今度があったら、そん時は真剣に取り組むよ」


         「逆袈裟····ッ!」


逆袈裟斬りをしようとしていたところで、奴は膝を大きく曲げ、そこから大きな丸が現れる。

…いや、丸ではない、正確に言えば…銃口だ。


「グッバイ!ライト君!」


思わず僕は避けてしまう、銃口からは避けられた。



が、銃が撃たれることはない。



もしかして…

気付いた時には遅かった。

やはり、奴は体勢を崩しならも、手に持っていたナイフを逆手に持ち、上から…

僕の左太ももめがけて勢いよく振り投げた。


「あ゛ぁ゛!」


とてつもない痛みが全身に走る。

太ももが熱く。

太ももの刺された部分の感覚だけがない。


しかし、ここで負ければ死ぬ。


その思いから痛みや感覚がなくとも、刺された左足を使い、地面を蹴り、右足を支柱に一回転する。

そのまま、蹴った左足で遠心力と自身の出せる力全てを使い、奴の腰付近を蹴りきる。

低く体勢を崩しながらも全力ではなった一撃に、奴は吹っ飛ぶ。


奴は宙に吹っ飛び、家の壁に背中から大きく衝突する。

家の壁が脆かったのか、壁を貫通し、家の中にまで到達してしまう。


「ガハッ…!」


脆い壁が勢いよく破壊されたことにより、煙が立ち込むが家の反対側の壁に衝突したのか、奴の影が倒れるのが見える。




ここで終わっていはいけない。



殺らねば殺られる。

勝たねば死ぬ。


きっと奴はまだ動く。


ただ、その生への執念と、勝利への執念から自身で太ももに刺さっているナイフを抜き取り、素早く再生する。

やはり奴も直ぐに立ち上がり、こちらをスナイパーで狙ってくる。



「ッ…こいよぉ!ライト!痛がってんのか!」


ーーーーー銃兄弟、兄視点


来い、ライト!お前をここで殺してやる!



煙で見えなくとも、殺気がビンビンだぜ。

煙越しに黒い影がこちらに向かってくる。


(早まったなァ!ライト!)


すぐさまスナイパーを“体”から取り出し影を狙う。



「!?」


いや、違う、この影はライトじゃない。


(…ナイフ!?) 

明らかに顔を狙ってきていたナイフを。

影の正体であるナイフを顔を右にずらし、避ける。


「!」

下から何かを感じ取り、下を向く。

そこには、猛スピードで迫ってきたライトが居た。


(マズい…!)


ライトは持っていた剣を下から…俺の脇腹か上野方面に斬りかかってくる。

持っていたスナイパーで奴の持っていた剣に応戦する。


「…ハハッ!良い作戦だったが…魔力が吸い取られ、魔法が使えなければただの弱っちぃ魔人だぜ?」

「そろそろ…!きついんじゃないのか!」


「そうだ…な!」


ライトは俺のスナイパーを上に弾こうとしたのか、俺の体勢を崩そうとしたのか…どちらかは不明だが、奴は剣を使い上手く弾こうとする。

結果的に言えば、俺の体勢を崩すことには成功した。

が、奴は勢いのあまり剣を宙に投げる。


(何やってんだ…コイツ)


そして…ライトは、奴は、焦ったのか撃ち込まれた銃弾によって、魔力が吸い込まれてしまって力に入りないであろう右腕で俺の左頬を狙いパンチをしてくる。


「残念だったな!ライト!お前が何をしたかったかは知らんが、お前の力の入らない右腕の攻撃なんぞたかが知れてる!」


体勢を崩されたとはいえ、奴の力の無いパン…チ…?



宙から先程投げた剣が降ってくる。

そしてやつは、それを利用し奴自身の右腕を切断する。


(何をし…!)


すぐさま切断した腕を再生し、思いっきり俺の左頬を殴る。



ーーーーライト視点



奴は、左頬を殴られた勢いでまた先程の衝撃で出来た穴を通り、一番最初に戦っていた、道まで吹き飛ぶ。

数秒もしない内に奴は起き上がる。

奴が起き上がるのを確認し、僕はもう一度奴に向かって走り出す。

そして…

        奴に斬りかかる。


「そうか…ライト」

「じゃあ…」


        「お前の負けだ」


斬りかかる瞬間、奴の手の中にどこからともなく、爆弾のようなものが握られているのが目に入る。



「ほい、手榴弾」


その爆弾を奴は僕に向けて、下手投げをしてくる。

投げた瞬間奴は後ろにジャンプする。


僕は前に猛スピードで迫っていたため、止まれず、勿論後ろにも下がれずその爆弾が顔の真正面ギリギリに迫ったところで、爆発する瞬間を、その目で見る。


「そうだよな!ライト!木っ端微塵にされたら!魔結晶だの、再生だの意味がないもんなぁ!」



…その通りだ。

だから、避けなくてはいけない。

僕は瞬時に、右手に持っていた剣で左腕を斬る。


「bom!(爆発せよ!)」


そのまま宙に浮いた右腕を爆発させ、その爆風で後ろへと下がる。

瞬間的に腕を再生させる。

腕が爆発した瞬間に、奴の持っていた起爆仕掛けた爆弾も起爆し大爆発が起きる。


僕は思わず”死への恐怖“呆気に取られてしまう、奴はその瞬間に僕に下から、近づき首を手で取り、地面に叩きつける。

そして、叩きつけられ、そのまま奴は僕の上に跨る。


「よぉ、ライト」

襟元を掴み、銃を頭に突きつける。

「いやぁ、強かったよ」


「でも、最後の最後に油断したな」


「そうだな…」 


「死ぬ間際までその態度…舐めてんのか?」

「さっきの頭を切り落としたときだってそうだ…」


「丁度…その家が左にあるな」


奴は左を向いて確認する。


「…そうだな」


「ナメてると思うか?」


ボン。

小さい爆発音がした瞬間。

ドカァァァァンと大きな音が横から聞こえる。

左の家が爆発したのだ。


「…ッ!?」

奴は驚いていた様子だったが、何をしたのか気付いた様子で笑った

「成る程…!そうか!あの頭を爆弾にかえんだな!」

「ここまで読んだのか!」


「あぁ…だが今失敗に終わったよ…」

「完敗だ…」 

僕は“諦めた”生きることを。


「そうだな」


「だからさ…精一杯抗ってみるよ」


僕は左足を上げる。


「あ?」

すぐになにかに気付いた奴は後ろを向く。


上げた左足に光が宿る。


「一緒に死のうや」


「…ッお前!」


Laser(レーザー)


魔法でレーザーを打つ瞬間、奴は右に転がり避ける。


僕は顔を左に動かし、よける。



お互い立ち上がる。


「中々だな…互いに」


「あぁ、そうだな」

「…改めて、僕は“この戦闘で負けを認めるよ”でも、死には抗ってみようと思う、生に喰らいついてみようと思う」


「フッ…そうか」


「僕の夢は、人生で一度も負けないということではない、生きて、生きて、生きて生きて!仲間達と共に!我が一族の恨みを晴らし!魔王になることだ!」


「…ライト、お前は負けを認めるということを学んび、自身の夢、想いを再決心した…ライト、お前は、この戦闘で成長し続けているのだな…」


「あぁ、それに」

相手は、僕と互角…いや、それ以上の敵。

だからこそ正直な話、とてつもなく楽しいと感じてしまっている。


「お前と僕の実力は、拮抗…」

「いや、お前のほうが上だと思ってる、だからこそお前との戦闘はとてつもなく楽…し……」


胸が苦しくなる。


ドクッ!ドクッ!


心臓が大きく鼓動し、早くなっていることが気付く。


自身の想いを言いかけた途端、僕の意識は

          


          落ちた




(いやぁ、すみません。ログインに手間取ったのと予約投稿を完全に忘れてました。次回は10月9日の予定です。)

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