表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王討伐  作者: 甘党辛好
26/45

右と左

「まぁ、ゴールつっても”このステージが“だろうけどな」


「…まぁ、ドアも2つあるしな」


両扉のドアが右と左に、それぞれ一つずつある。


「あいつは、様々なステージをクリアしろって言ってたして、即死するようなトラップはねぇだろうけど…」


山月が話している最中であったが、ミールが割って入る。



「そんな事無いのでは?用心するべきかと」


「いやぁ、ミールちゃんの意見ももっともだけど…あの手はタイプは物語のストーリー的に、即死トラップは置かないね」


「それ、言っても大丈夫なのか?」


「何が?」


「いや…大丈夫そうなら良いんだ」



「取り敢えず、クジ作ったので皆で引きましょー!」


スィは、あんな事があった矢先ではあったが、自分のペースを取り戻しており、いつもの元気なスィが戻っていた。


「へぇ、器用だな」


「スライムだから紙が濡れるのかと」


「指先をスキルで固めてるんです!」


「え?」

疑問に思ったのか、山月はスィの指をおもむろに触る。


「うわ、ガチだ!すげぇ!」


ウーさんは急に得意げに、鼻をこすりながら話に入ってくる。

まるで自分が育てた、という風な様子だ。

実際、僕とスィはウーさんとセリナさんと餓鬼さんに育てたられたと言っても過言ではないから…あながち間違いではないのだが。


「ふふん!すげぇだろ!料理以外は…」


料理以外は…と、ウーさんが言いかけた途端に餓鬼さんがウーさんのことを睨む。


「…ウー?」


「…す、すまん」


「?」

スィは、この二人の会話について、何を話しているのだろう?、といった表情をしている。


スィ、気付かなくていい


ーーーーーー

「取り敢えず…公平にくじ引きするためにライト様がクジを持っていてください」


スィにクジを押し付けられるような形で、クジを渡される。


「クジには数字が書いてあるので、偶数の人は右のドア、奇数の人は左のドアに入りましょう」

「じゃあ、ウーさんから順に時計回りで引いてください」


スィの言う通り、ウーさんから順に引いていく。


最後に、山月と僕が残り山月がクジを引く前に僕に話しかけてくる。


「…そういや、ライトは余り物でも良かったのか?」


「ん?まぁ、僕はどっちのドアに入っても良いからどっちだって良いんだが…」


ーーーーーー


(ふふっ、生物の心理的にクジ引きなどで奥側は選ばれにくいというのを、以前セリナさんが持っていた本に書いてありました!これでライト様と同じグループに行っちゃいます!奥は7番のハズです!)


(冷静に考えれば…ライト様のクジを操作したところで…私のクジが偶数であれば無意味なのでは?)


(…ま、まぁ、そんな7分の4を外すようなことは無いでしょうし…いや…まぁまぁの確率ですね)


(ど、どうしましょうか……取り敢えず見ましょう!そうしましょう!)


結果 2


(…)


ーーーーーー


「ふーん、じゃあ俺は奥の方取るわ」

「おぉ!7番!」


「ハッ!!」


「ん?どうしたスィちゃん」


「い、いえ!今何番って言いました?」


「7番だけど?スィちゃんは?」


「あー…私は2番でした」


「へぇ、じゃあ別々か…ライトは?」


「僕は6番だったぞ」


ーーーーーー

(魔神の加護です!絶対そうです!魔神の加護がありました!嬉しいです!…あぁ、運が良すぎます!私は…勝ったんです!)

ーーーーーー


「じゃあ、スィの言っていたとおりに、各々クジの番号でドアの前に集まろうか」


ーーーーーーーーーー


「いやぁ、よぉ?クジなわけだし…文句はねぇだけどよぉ?」

「そっち…」


山月は僕らの方を指差す


「ハーレム過ぎね?」


左 ウー 山月 餓鬼 モカ


右 ライト ミール(何かに気づいている) スィ


「こっち…むさ苦しすぎ…」

と、山月がいつもの軽口を言い掛けた途端、山月のウーさんと餓鬼さんが山月の首に腕を回す



「一緒に頑張ろうやぁ、山月ぃ?」


「そうだぜぇ?山月ぃ?」


「はい、分かりました…もう…頑張ります…」


何か諦めているような、そんな表情をしている山月を気にもせず、ミールはスィに話している。


「スィさん?まさかとは思いますが…クジに仕掛け等はしていませんよね?」


「え…い、いやしてないですよ?」


「何で私の方向いてくれないんですか?」


「ミールちゃん…餓鬼さんのお話を家に帰ったらしませんか?」


「昔話ですか?」


「はい、餓鬼さんの魔王軍時代のかっこいい話をしましょう」


何かこそこそと話していたスィとミールだったが、ミールはどこか満足そうな顔をする。


「…はい!じゃあさっさと、こんなとこクリアしちゃいましょ!」


満足そうな表情と共に元気な声で言うミール。


「それもそうだな、じゃあ行くか」


「ライト様!俺頑張ってくるな!」


「おう!頑張れよモカ!」


「モカ、良い?くれぐれも餓鬼さん達の迷惑になるようなことはしないように」


「うん!任せといて姉ちゃん!」


姉弟の会話をしているモカとミールを見ながら扉へと入っていく。


ーーーーーーーーー ライトチーム視点



「…ここは、元の世界か?」


「私達の居た世界にそっくりですね」


「まぁ、先程の件もあるので…一丸にそうとも言えないですけど…まんま私達が居た世界ですね」


そこに広がっていたのは僕らが、ここに来るときまでに来た森と似たような景色。

つまり、山月の言っていた異世界のようなジャングル?ではなく、僕らの世界にあるジャングル…森林ということだ。


「まぁ、さっきも歩いてゴールがあったわけだ」


「そうですね、一度歩き続けるのはありだと思います」


僕らは先程のステージ同様に歩き始める。


暫く歩くと、草の音が聞こえる。

最初こそ風かと思ったが、そうではないようだ。


「何でしょうか?」


何かがおかしい、草の音がした方向から何やら殺気が感じ取れる。



「スィ、ミール…戦える準備をしておいてくれ」


「…はい」


………来るッ!


「…伏せろ!」



全員が一斉に伏せた途端、周りの木々が一刀両断されていく。

一瞬の出来事だ。

伏せた瞬間に確認したが、明らかに剣で切られているような切り口だった。


「…おや?外しましたか…」


「行くか?」


「いえいえ、今回の任務はす·べ·て、メルクさんに一任されています」


「あまり勝手な事をすると…あの方に叱られる」


草の向こうから、わざとらしく大声で“何か”と会話する人物に大声で返す。


「誰だ!」


「おやぁ?気付かれましたか…まぁ、わざとなんですけどね」


「出てこい!」


「あ〜、それは出来ませんねぇ…今回は私が出る幕は無いので…ただ、我々の部下が出るのでそれで我慢してください」



「…?」


ブゥオン、という怪奇な音と同時に多方面に転移魔法が生成されていく。

そちらに目を奪われていると、草むらのむこうの人物が笑いながら話す。


「それでは…せいぜい強くなって来てくださいね」


そう言うと、草むらのむこうにいたであろう人物の殺気が消える。


僕達が困惑していたと同時に、生成された転移魔法が展開されてゆき、テレポーターとなり、そこから…


魔物の群れが現れる。


「囲まれちゃいましたね…」


「…スィは味方のサポートを、ミールは中距離から魔法で援護してくれ、僕が先陣を切る」


「…分かりました」


緊迫した空気の中、僕は指示を出し、この山を越えようとする。


「行くぞ!」




(いやぁ、予定をミスりました。先に言っておくと投稿日は来週8月27日の日曜日、午前1時の予定です。次回の予告は山月達サイドの話です。実を言うとこっちを書きたかった…これを含めると思ったよりも長くなるというのを書いている途中に気付いたんですよね。本当にすみません。さてそんな次回の山月サイドの話は、僕がこの章で書きたかった、いくつかの部分の一つです。楽しみしといてください!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ