表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王討伐  作者: 甘党辛好
23/45

王と王

「と、言うことで前回までのあらすじ」

「スィです!最近暑いですね、いやぁ、本当に…えぇ…」

「山月さん、これ本当に読まなくちゃだめですか?」


「うん」


「…でも」


「恥ずかしい?」


「はい…」


「じゃあ、見本見せるわ」


「スィです〜、最近暑いですよね♡まぁ?私はスライムなのでそんなの知らないんですけど、さてあらすじでしたよね♡」

「あっ、ここまではセクシーな声でね」


「はい」


「私達、ライト様と〜♡その御一行は〜♡罠かもと思った依頼と、ライト様の狭間探しにて、偶然場所が被ったので、依頼をクリアする事と同時にぃ〜、狭間探しの邪魔を〜されてるらしくて〜♡その場所に行けば罠だとしても一石二鳥だってなって♡ここまで来たんですけどぉ〜」


「あっ、なるべくマイクから近い方がいい、そうそう」 

「で、腰をくねくねしながらのほうがセクシー感でるから…そう!完璧!」


「んで、え〜…と?」

「その場所には〜♡木でできたテーブルと♡イス♡それとお皿の中に豆ンがぁ♡」

「入ってて、豆を土に入れたらあら!あらあら!とってもおっきいじゃないの♡」

「天にも昇るビックサイズ!」

「豆から生えた芽が♡雲の上まで到達よ!♡」

「その上が〜♡真の目的地だってことに〜♡ライトちゃんが気付いて♡皆で一生懸命登ったわ!♡」

「そして、雲の上には....♡黄金で出来た!♡おっきなお城♡」

「いや、もう!♡お城の主抱いて〜!って感じ?♡」


「前回のあらすじはここまで!♡」

「今回からはあたし達頑張っちゃうから♡私のセクシー!ボデー見ながら!豆の木大きくして待っててね♡」

「あっ、ここでポイントなのがボディーではなく、ボデーって言うところね」


「成る程、為になります!」


「いやぁ、スィちゃんメモ取ってくれるからいいわぁ〜、伸びるよ君」


「はい!ありがとうございます!」


「まぁ、こんな変な脚本だけど、これはしょうがないからある程度は許容範囲だね」


「はい!」


「大変だと思うけど頑張って」


「はい!」


「じゃあ、次の事教える…」


「山月!」


「ん?なんだよ〜!ライト!」

スィと何かを話していた山月が、僕の方に来る。

「今、スィちゃんと声優さんごっこしてたのに」


「声優さんごっこ?」


「そう、案外盛り上がるんだぜ?」


「…そ、そうか」


「…ごめん、そんな引くと思わなかった…いや、まじごめん」


「…話してもいいか?」


山月は、相変わらずのオーバーリアクションをして僕を肯定する。


「い、いやそりゃ勿論!もうね!なんでも…!言ってくださいよ!そりゃ!ライトさんのね!言う通りにしますんで!」


「…まぁ、その…なんだ?」

「あれ…見えるか?」

僕は、雲の上にあった黄金の城を指差す。


「あぁ、あの黄金の城ね」

山月は、指さした方向にある黄金の城をもう一度確認する。


「お前の話が聞きたい」


「え、俺の?」


「そうだ」


「…まぁ、まず一旦帰って立て直したい、ってのが本音だな」


「でも…」


「あぁ、分かってるよ…でも、豆の木が無くなったから帰れねぇ…だろ?」


「あぁ」


「となると…魔法は使えねぇのか?」


「残念ながら」

「魔法は対象を見て定めなくちゃいけないのと…どんな魔法でも最大の対象指定範囲は、1600メートルだ」

「ここは、雲の上で…確か地面から雲までだと10kmはある」



「すなわち無理ってわけかい?」


「あぁ、どんな魔法使い…たとえ魔王や伝説の賢者であっても無理だ」

「でも、例外はある」


「どんな?」


「転移魔法だ」

山月は驚いたような顔をする。 


「成る程…?」


「転移魔法だけは、この条件を無視できる」 

「でも、僕らは転移魔法を使えない…」


「じゃあ、なんで言っ…あ〜ぁ!」


「そう!僕らには転移石がある」


「成る程、となると…俺等が転移魔法を使えないにしても、転移石で戻れば…」


「あぁ、正解だ」

「皆ー!」


僕は、皆に集合をかける。


「どうしたんですか?」


「ライトさまー!今行きます!」


ウーさんと、スィが返事をし、一緒に喋っていたメンツも含めて僕の元にやってくる。


「どうした、ライト?」


「実は山月と話していて、この転移石を使って一旦立て直す、ということになった」

「皆の意見も聞いておきたい」

そう伝えると、ウーさんが真っ先に言う。


「…俺は反対です」


「なんでですか?ウーさん」

ぼくが聞く前に、スィがウーさんに聞く。

「…理由は一つしかないんだかな…」

「端的に言ってしまえば、あの豆の木がもう一度作られる可能性がないかもしれないってことだ」


「俺等がここに戻るためには、それ相応の魔法を覚えなくちゃなんねぇが、今は覚えてねぇ」

「つまり、ここに戻って来れない可能性のほうが高い」


「…成る程」

スィは納得した様子で頷く。


「いや、ウーさんそれは…」

僕が言い掛けた所を山月が割って入る。


「ウーさん…未来の事は分かんねぇけど…まぁ、それはねぇんじゃねぇか?」


「なぜだ?」


「そもそもよ?ウーさん」

「これはトラップだぜ?」

「理由はどうであれ、トラップを作るってことはそれなりに、俺等を脅威に感じているってことだ」


「成る程?」


「…説明できないので、後は…」

僕の背中を掴んでくる山月。

「ライト!君に決めた!」


「いや、そこまで説明してかよ」


「つまり、わざわざここまでおびき寄せたのには理由があって」

「恐らく、脅威である僕らを排除したいのでは?」

「というわけだ」

「その上、これは話したと思うが…狭間の位置が無効化されている」

「狭間の無効化は、魔力の異常現象程度では起きないんだ」


「つまり?意図的に無効化してると?」


「あぁ、そうだ」


「…てことは、わざわざ狭間を無効化して、俺等を脅威と思ってる…魔王側の奴が今回の敵ってことかい?」


「あぁ」

「恐らくだが狭間の無効化だけでは”駄目だ“と、判断したんだろう」

「だからこそ完全に排除したい」

「それにウーさんも言っていたが、帰ってこれないわけではない時間は掛かるがな」

「もうここまで時間を掛けてきたんだ、今更時間を掛けたって変わらないと、僕は考えている」

「それよりも、全滅の方が恐ろしいからな」


「確かに、それなら…」


「でもよ?この依頼書をギルドに申請したのは国だぜ?」


「あぁ、その件に関しても、セリナさんやアモネネさんの意見も聞きたい」

「だからこそ一旦帰りたいところではある」


「成る程、であるならば!ライト様に賛成です!」


「他のメンツはどうなん?」


「私も賛成です!」


「私もです」


「俺は元より賛成だ」


「良く分かんないけど俺もいいぞ」


「わぁ!軽い!」


「じゃあ、早速…」


手をスリスリしながら、何故かニヤッと笑っている山月。

まぁ、いつものことだろうと、そんな事には気にも止めず…。

僕は、転移石を手の平の上に乗せ、魔力を貯める。


「転移!」


転移石にセリナさんの魔力が、予め入っており、簡単に転移まで移れた。


辺りが光に包まれる。


「……」


ーーーーー


「…変わってるか?」


「…いや…」


「だよ…な?」

「もしかして…失敗作なんじゃ?」

「てか!ここまで会議とかやって帰れないの、一般人ならキレてるって!」

皆困惑している中、ウーさんが僕に言う。


「…ライト様、その転移石を見せてもらっても?」


「あぁ」


ウーさんは魔力の無くなった転移石をつまみ太陽に照らす。


「失敗…作…ではないと思います、良くできている」

「それに…」

ウーさんは、転移石を見た後に僕の方を見る。


「あいつが偽物を、ライト様に渡すとも思えない」


「じゃあなんで…」


「考えられる可能性は一つ」

「転移魔法も無効化されているという事、です」


「おいおい、嘘だろ?」

「じゃあ、なに?」

「俺等帰れねぇのか?」


「そうなるな」

餓鬼さんが、ウーさんの代わりに山月に答えを返す。


「えぇ」


ーーーーーー


「ふー、はぁ」


山月が仕切り直しと言わんばかりに深呼吸をする。


「山月、そして皆」

「帰れなくなった以上、あの城に行くしかないというわけだ」

皆の顔を見ながら僕は言う。

「…行こうか」


「待て待て待て待て、まだ心の準備が…」


「心の準備も何もそれ以外選択肢がないだろ?」


「いやぁ、だってよ?」

「雲の上に、こんな少し沈む地面作れるし、城まで作れる」

「そんな奴…もしくは奴らがいるってなったらよ?」


「じゃあ、どうするんだ?」


「…そうだ!ライト!」

「あの城よく見てみろ」


「ん?」

僕は城をよく見る。


「わぁ!綺麗だ!行こう!」


僕が山月のジョークに乗り、城に向かおうとすると止められる。


「待て待て待て、魅了でもされてるのか?サキュバスでもいんの?」


「でも、これが欲しかったんだろ?」


「…ま、まぁ、少し…」


「山月…行くしかないぞ?」


「…分かったよ」

「行こう」


渋々承諾した山月と、僕らで、雲の上にあった黄金の城へと向かう。


ーーーーーーーー


門の前まで辿り着く。

とてつもなく門が大きく、ウーさんと餓鬼さんが協力して、両方の門を開ける。


開けると、正しく城の中であり、部屋の端と端は階段で、階段の上は反対の端の階段と通路で繋がっている。

その通路の真ん中に門があり、門の前には…


「誰だお前は?」


人がいる。


「少し…遅かったな」

「作戦会議は済んだのか?」


「あぁ、お陰様で」


「それは良かった…自己紹介をさせてもらおうか?」

「我輩は、メルク…とでも名乗ろうか?」

「魔王の幹部をしている者だ」


「貴様、人間だろ?」


「正解だ」


「なんで魔王の幹部になんかなれてるんだ?」

それを聞くとメルクと名乗る人物は少し頭を傾け悩む。


「…これは言ってもいいか…」

「簡単な話だよ、我輩は奴と契約したのだ」

「互いの利益の一致だ」

「我輩は、人間界の王になりたいのだ」

「貴様らを倒し、奴の願いが叶ったとき」

「その次は私の願いである、王になるという願いが叶えられる!」 

狂気に満ちた笑顔をするメルク。

「そして…余談だが…」

「我輩自身も、あやつの思考には賛同しているのだ」

「だからこそ、あやつの願いも叶えてやりたい」



「成る程…?そうか…」

「メルク…もう一ついいか?」


「何だ?」


「貴様の思う、王とは何だ?」


「民を従え、国を発展させるものだ」


「そうか…」

「違うな、王とは…」

「王とは!民を笑顔にし、民の生活を豊かにするための役割にしか過ぎない!」

僕は!目を見開き、メルクを睨む。


「そうか…」

「貴様のような意見を押し付ける奴が!国を腐らせ!民を腐らせる!」

「貴様のような奴は生きている価値もない」

メルクの表情は正しく怒りそのものだった。


「貴様のような王を、人は暴君と呼び、全てを壊す!」

僕もメルクを睨む。


「…」


「…」


互いが睨み合う。


「ふっ!はっはっは!面白い!」

いきなりメルクは笑いだし、真顔になる。

「今ここで貴様らを処してもいいが、それではつまらん」

「…ゲームをしよう」

不気味な笑顔をしながら言うメルク。

「兵よ…」


メルクがそう言うと、後ろから、ウーさんより大きい甲冑を着た兵が現れ、槍や剣といった武器を僕らに振り落として来る。


「…ッ!」


一斉に殺気に気付き、各々が上手く対抗する。

ただ、山月は兵の攻撃を避けてしまったらしく、上手く戦闘態勢に入れないでいた。


「山月!」


「やべぇ!」


兵の一体が山月を追いかける。


山月は壁際まで行き、壁を使ってバク転をする。


「ほぉ…」

確かにメルクのその声が聞こえた。


そのまま、バク転した山月は兵の後ろまでバク転し、空中で剣を取り出し…



ーーー着地と同時に兵を上から切った。


「一刀両断」


「…ってな!」



メルクは山月の一連の行動を見終えると、不気味にニヤリと笑う。



「そこそこ、やるみたいだな…」

二階から高みの見物をし、笑いながら話すメルクであったが、不気味に笑いながらも、目は睨みつけてくる。

「ふっ!面白い!そうでなくてはな!」

「貴様らのゲームの参加を認めよう」

「ルールは簡単だ」


「ゲーム?」


「あぁ、ゲームだ」


「この扉の向こう…先には様々なステージがある」

「それらのステージをすべてクリアしたとき、我との戦う権利をやろう」

そう言うと、後ろを向き扉の方へとメルクは向かう。


「そうだ、忘れていた」

「我輩を倒さなければ、狭間の位置は分からんぞ」


分かっていはいたが、やはりそうか。

兵と拮抗しながら、頭で理解する。


「やっぱり、どの道…」

「お前を倒さなくちゃ、魔王の居所は掴めねぇってことだ」


「そういうことだ」

「…貴様と話していても楽しいが、貴様のお仲間が疲れてきているぞ?」


それを聞いた途端、全員が各々の戦い方を用いて兵を屠る。


「…誰が」

「疲れているって?」


「ふっ…ハッハッハ!」

「流石だ!…だがここで時間を消費していてはゲームはクリアできないぞ?」


「…?今ここでお前を倒せば関係ないだろ?」


「その通りだが…」

またニヤリと笑うメルク。

「出来ればな」

そう言うと、メルクは真顔になりながら両手を上に挙げる。


「それではゲーム…」


「…ッ!」


ゲームを始めようとする気だ。

そうはさせない。


「山月!」


「わぁってるよ!」


僕らはジャンプをし、メルクの背後まで飛ぶ。


「ここでお前を倒せば…」


「…しまいだろ?」


そう二人で言い、それぞれの武器を奴に振り下ろす。


それを聞いた、メルクは一瞬にして僕と山月の方を振り返り…。


「…若いな」


とだけ言い、後ろに倒れ、流れに身を任せながら、後ろの扉の先へと行く。


ガタンッ!


僕らは倒しそこねてしまい、扉の前で二人でぶつかってしまう。


メルクは…跡形もなく消えていた。

と思った矢先、いきなり消えたと思ったメルクの声が、どこからともなく聞こえてくる。


「スタート」

メルクの声と同時に、パチンッ!と手を叩く音が聞こえた。

ゲームをスタートさせたことを僕らに魔法で伝えてきたのだ。


「大丈夫ですか!?ライト様!山月!」


皆がすぐに駆け寄ってくれる。


「あぁ、大丈夫だ…」

「山月は…」


いち早く立ち上がり、山月は呆気にとられたような声で言う。


「はは…嘘だろ?」

「これじゃまるで」



「ジャングルだ」





(また締切に間に合いませんでした!すみません!本当に今日の午前1時に投稿したかったのに!最近締め切りを過ぎてしまうことが本当に多い!気を付けなくては!さて!次回は7月23日の午前1時に投稿します!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ