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魔王討伐  作者: 甘党辛好
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地図とジャガイモ

最後に冒険者が来てから一週間ほど経過した、ある日の朝。

僕とウーさんは、早朝からの農作業をしていた。

それをボーッと見つめてたセリナさんが口を開く。

「地図の件だが...」

「どうしました?」

「いや、どこまで完成したのかと思ってな」

地図とは、現魔王の住む魔界に通じる狭間までのルートを示したものだ。

そのため、地図の話をする前に狭間について話さなくてはならない。

魔界は人間世界にある、狭間から行くことができる。

先代魔王....僕の祖父が倒された後、僕らは狭間から逃げるようにして人間世界に来た。

その後、狭間の位置は大きく変わっており、おそらく現魔王が変えたのだろう。

狭間には多少の魔力が漏れ出しており、魔王の血筋であれば、魔界に通じる狭間をうっすら感じ取れるのだ。

そのため僕らは、週に3日程、僕を含めた二人組で狭間を探しに行っている。

さて、地図の話に戻ろう。

地図は、その狭間までのルートを、前日までに幾つか予測し、どのルートが正しいかを確認。

確認したら人間界の地図に書いていく。

その、書かれた地図が....

僕らの言っている「地図」なのだ。


「ようやく、最初の方が完成しました、ただ、この最初が本当にあっているのかも怪しく....今度、また誰かと最終確認してきます」

もう先代魔王が倒され、数十年程経っているが、余りに予測する道が多いため数十年経った今も、最初の方しか出来ていない。

「そうか....先はまだまだ長いな....」

それを聞いたウーさんが、農作業の手を止め、育ってたジャガイモを手に取り、話し始める。

「まぁ、しょうがないですよ、地図もジャガイモも同じです」

「....?」

僕とラミアさんはポカンとした表情を互いにする。

「どういう意味だ?」

ラミアさんが問う。

「いやぁ、地図もジャガイモと同じように、ゆっくり時間を掛けてやっていけば良いってことですよ」

ウーさん....それは励ましになっているんだろうか?

少し疑問であったが、ウーさんなりの思いやりだと思い、嬉しく思う。

「励ましのつもりかも知れないが、伝わりにくいぞ」

あぁ、ラミアさん、それは言っちゃ駄目なやつ!

「そうか?まぁ、いつもの事だな!」

豪快に笑いながら言う、ウーさん。

僕は正直、こういうウーさんの、常に明るく、前向きなところを尊敬している。

「皆さーん!ご飯出来ましたよ~!」

スイの声で皆、家に戻り、食事場所に向かう。

「今日の朝御飯は大丈夫ですかね?」

「私は別に美味しいと思うがな」

「え!?おい、裏切るのか!セリナ!」

「僕も別に不味いとは...」

「ライト様まで!?」

そんな他愛もない話をしながら、今日も束の間の日常が過ぎていく。



(次話は明日の2月19日に投稿します。次話も、この世界の説明を兼ねた日常会です。3話からようやく、ちゃんとした物語の始まりです。やったね!ご意見、ご感想の程お待ちしております)

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