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魔王討伐  作者: 甘党辛好
14/45

月桂樹と勇者

――――

「あ゛ー!死ぬかと思った!」


「本当に殺してやろうか?」

セリナさんに脅される山月。


「いえ、結構です遠慮しておきます」

流石にビビったようだ。


ウーさんが咳払いをし、僕にアイコンタクトをしてくる。

僕もアイコンタクトに気付き、話を戻す。


「....話に戻ろうか?なぜこんなところにいたんだ?」


「あぁ、そうだったな」

思い出したかのように、山月は話し始めようとする。


さっき分かってるって言ったじゃん(前話参照)


と思ったのではあるが、ここで言うべき事ではないなと感じたので、心にしまっておく。


「まぁ、その.....なんだ」

「依頼だよ、依頼」


「依頼?」


「あぁ、といっても身内の依頼だけどな」


「内容はなんだ?」


「まぁまぁ、そう焦るなって」

手で「落ち着け」という風なジェスチャーをする山月。

「処で真偽を確かめたい、セリナ....さんだっけか?」


「なんだ?」

セリナさんは、山月を睨む。


「いやぁ、安心しろって」

「もう侮辱したりしねぇからさ、あんた....研究者だろ?」


「あぁ」


「やっぱりな....俺に依頼してきた身内ってのも研究者なんだよ」

「研究者って独特なオーラがあるよな」


またセリナさんが、山月の事を睨む。


「いやぁ、侮辱じゃねぇって!」

「あんたも研究者なら分かると思うが、研究する内容にもよるが、研究には材料やデータが必要だろ?」


「あぁ」

セリナさんが同意する。


「俺は、研究者の身内のために材料を集めてたんだよ」


「材料?」


「あぁ、ライトって言ったか?」


同意のため頷く。


「材料に関しては、説明するよりも見てもらった方がはえぇだろ?」


山月はブレスレットを指差し、言う。


「それ、返してくれよ」


「何故だ?」


「それな、マジックアイテムなんだよ」


「成る程」

「だから先程から魔力が、このブレスレットから出ていたのか」

セリナさんは納得したようだった。


「お?やっぱり分かるか?流石魔人様方だな」

「それは好きなアイテムを、何でも収納できるアイテムでな....」

山月が言い終える前に、モカが割って入る。


「何でも!?」

目をキラキラさせ、山月を見ているモカ。


「あぁ、食い付きが良いな坊主」


「便利なんだな!」


「おう便利だぜ、重宝してる」

「収納限度は3個までだがな」


「え、3個までって少なくないか?」

キラキラしていたモカの目が「3個まで」と聞いた途端、いつものモカの目に戻る。


「は!?少ない!?」

「3ヶ月、ほぼ寝ずに色んな依頼、頑張ってようやく手に入れた代物なんだぞ!それを少ないだぁ?」


「いやぁ、3ヶ月ほぼ寝てなくてって....割に合ってなくないか?」


「あ!言った!今一番言っちゃいけないこと言った!正論言うな馬鹿野郎!」


「やっぱり自分では気付いてたんだな」

僕も思わず、思ったことをボソッと言い、モカと山月の話に入る。


「あぁ!はいはい、そうですよ!割にあってないですよ!でもな!頑張って手に入れた物なんだよ」


「“アモネネ”にも言われたが、確かに俺も依頼こなしてるときに思ったよ」

「あれぇ?これワシ騙されてるんじゃない?」

馬鹿みたいな声をあえてだす山月。


「アモネネ?」


「あっ、言っちゃった」見たいな顔をする山月であったが、その後観念したかのような表情をし話し始める。


「....アモネネっていうのはな、今回の材料調達の依頼を俺にした身内だ」

「俺が居候してる家主でもある」


「勇者なのに家主が必要なのか?」

またモカが、山月に質問する。


「“元”だからな....」

「・・・・なに言わせてんだ、このガキ」

山月は、モカのボケだと思ったのか、そのボケに乗り、ノリツッコミをする。


「ん?呼んだか?」

同時に餓鬼さんも、そのボケに乗る。


餓鬼さんも乗るだ....


と、心の中で思ったのは内緒だ。


「いらないって、そのジョーク」

山月が餓鬼さんに対してツッコミを入れた後話を元に戻そうと会話を続ける。

「・・・話を戻そうか?」


「まぁ、その家主であり、俺の依頼者であるアモネネって野郎に材料を集めてこいって依頼させられたんだ」

そう言うと、山月はブレスレットを指さし、「返してくれ」と頼んでいるようなジェスチャーをする。


山月にブレスレットを返す。


「ありがとうな」

ブレスレットを腕にはめ、机の上に手を翳す。

「依頼の品はこれだ」

突如、強烈な光が自分の視界を奪う。

強烈な光が終わると、机の目の前には籠が置かれていた。

籠には、何かの植物の花と葉っぱが籠一杯に、入っていた。


「この籠の中にあるのが、依頼の品である....月桂樹の葉と花だ」


これらの草と花が、“アモネネ?”の実験に使われる品だと山月は話す。


「月桂樹ってのがこの世界....まぁ、俺が元いた世界にもあるが、その草や花と、樹液を取ってきてくれって依頼でな」

「ま、この依頼が来た時は運命かと思ったけどな」


山月が言い終えると、セリナさんが山月に言う。

「成る程....しかし、ここにいる説明にはなっていないな」

「話によると....“月桂樹は何処のでも”良かった訳だ?」

「ここらの月桂樹を取るにしても、人間からの村からは、そこそこ離れている」

「仮に一番近い村から貴様が来たとしても、他の場所の月桂樹の方が近いだろう?」


「....確かにそうだな、ここにいる理由にはならない」


成る程、月桂樹は何処のでもいいのに、“ここら周辺にある、月光樹をわざわざ取りに来たのは何故だ?”ってことか?

そこに気付いたセリナさん....


凄いな


しかし、山月はそんな発言が来ても余裕そうに話す。

「...まぁ安心しろよ」

「なんでここの月桂樹にしたかの説明もするからよ」




(本格的な説明フェーズに入ります。次回は3月28日です。ご意見ご感想の程お待ちしております。)

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