打開策3
「詳しく聞こう」
大規模戦では個としての戦闘力より集団としての力が必要となるため、普段小規模な戦闘で行っている手段が必ずとも有効とは限らない。手段によっては集団の邪魔をし、かえって不利な状況を作り出してしまうことがあるためエリガンは問い詰めた。シオンが大規模な討伐だと想定して意見をしているのだと理解したエリガンは詳しく聞くことにした。
「グリーンマンティスに限らず虫系の魔物に効く毒薬で、長時間晒されれば簡単に倒すことが出来ますが上位種となるとこの薬だけで倒しきることは出来ませんが弱らせることは出来ます。香の煙を風魔法を使って送り込めば、風向き関係なく弱らせることが出来ますが、あくまで弱らせるだけです。最後はしっかりととどめを刺してもらう必要があります」
「ふむ・・・・風魔法なら使えるものが多いからなんとかなるな。材料は?」
「ハクギクとクチカ、浄化水にタブノキの粉末が必要となります。掃討戦に使うのであれば大量に必要となりますがイエリ―の街なら用意できますよね?」
「恐らくだが用意できると思う」
イエリ―の街は花の街としても知られており豊富な水に多くの花が街に咲いている。種類も豊富でじかによって花が変わるため綺麗で華やかな街として有名なのだ。花が多くある街という事は、様々な植物を取り扱う植物点も多いハクギクとクチカは魔法植物ではなく普通の植物であるため必要分を集めることは可能だろう。
「どれくらい必要だ?」
「ハクギクとクチカが3つで一組、これで1個香を作ることが出来ます。香は3時間ほど持ち、香が届く範囲は前方に30m程ですね」
「ふむ・・・・流石にそこまで範囲はないか」
「香を持ち歩きながら、風魔法で送り出し進行すれば範囲は何とかなります」
「どれくらいで効き目が出る?」
「そうですね・・・・通常のマンティスにしか使ったことがありませんが10秒程で動けなくなります」
「意外と早いのだな」
今回の掃討戦では広大な森を進みながら戦っていくため、広範囲に効く対策が必要となる。エリガンは射程の短さに少し難色を示したがシオンは持ち歩きする事によって射程の短さをカバーできるという案を出した。
「今回は上位種相手ですので、濃縮して効果を高める調合にしますがどれくらいで効くかは分かりません。申し訳ないです」
「いや、十分だ。その程度の材料で効き目があるのであれば用意しておくに越した事は無い。他にも策は必要だが、薬師と材料はこちらに運ぶので用意してほしい」
「分かりました」
この毒薬だけに頼るわけにはいかないが、準備しておくに越したことはないと考えた。エリガンは他にも策を出していく
「マンティスであれば、火が有効だが森で使うのは難しいな・・・・一部森を燃やすのも覚悟しておく必要があるな」
「森を燃やすのか!?」
森を燃やすという過激な意見にヴァルクは驚いたがエリガンは気にすることなく
「もしもの場合だ。魔物の蹂躙を抑えるためにはやむを得ない」
「だが・・・・」
「本当は俺もしたくはないが街の為だ」
森はイエリ―の街に魔物や植物などで大きな恩恵を与えている。その森を焼くという事は、街に対しても大きな打撃となってしまうが魔物の蹂躙が起きるよりは良いとエリガンは判断したのだ。魔物の蹂躙という大きな脅威の前には、犠牲を覚悟しなくてはならないのだ。
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