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空っぽ少年と色深き者たち ~世界を彩る物語~  作者: 和吉
オーレント王国 決断の街イエリ―
79/87

明日に備えて・・・・

熱かった体も十分に下がったので、明日に備え早めに寝るために湯屋を後にした4人は詰所に戻り眠りにつくための準備をしていた。リリナとは休憩室まで分かれシオンとラド、グレスは明日の打ち合わせをしている。シオンは2人をテーブルに集めると、


「明日冒険者が帰ってくる可能性が高いのは知ってるわよね。だから、今日が落ち着いて話せる最後の時かもしれないから、もしもの場合どうしたらいいのかを教えておくわね」

「おう、備えておいて損はないもんな」

「グレスもしっかり聞いておいてね」

「うん」


 グレスは今の状況が何が不味いのか何が危険なのか解っていないが、シオンとラドの言う事を素直に聞くためそれで良いとシオンは考えている。言う事を聞いてくれれば、何とかグレスの命は助かるだろうと。ラドは今の状況を理解できているためいつもよりも真剣な表情でシオンの話を聞いている。


「まず、最悪の場合から。今の状況で一番最悪なのが探索に出ていた冒険者が死亡すること、もしくは今すぐ魔物の蹂躙が始まる事ね。冒険者が死亡した場合打つ手が無いわ。死んだかどうか確認する術が無いし、また派遣したとしても手遅れの場合があるわ」

「じゃあどうするんだ?」

「もし明日の夜までに、冒険者の知らせが無かったら夜中にラドとグレスを逃がすわ。明日の朝までは持つだろうから朝の内にこの街を出て」

「シオンはどうするんだ」

「私はここに残る。冒険者としての責任があるし、責任放棄したら指名手配されかねないもの」

「・・・・分かった」


 指名手配をされたら、冒険者としての活動も出来なくなるしグレスとラドと一緒に行動することが出来なくなる。もし一緒に居るところ見つかったらグレスとラドも罪に問われ可能性もあるそれだけは避けたいと、シオンは覚悟決めていた。ラドは一緒にシオンも逃げて欲しかったが、シオンの真剣な表情から覚悟を読み取れたので自分の意見を押し込むことにした。


「次は、魔物の蹂躙が対処可能だった場合ね。まだ魔物の蹂躙が起きる予兆段階で抑え込むことが出来るという報告だったら、グレスとラドはこの街に留まって」

「移動しなくていいのか?」

「本当は移動した方が安全だけど、移動するには護衛が必要でしょ?冒険者はほぼ全員駆り出されてしまうだろうから、護衛が無い移動は危険よ」

「分かった」


 ラドは護衛が居ない移動が、どれだけ危険なのかを身をもって知っている。そのため、ラドは素直に頷く


「一番良いのは杞憂であったという報告ね。その場合、衛兵隊と冒険者組合からの印象は悪くなるどうけど魔物の蹂躙が起きるよりよっぽど良いわね」

「そうだな・・・・起きなければいいが」

「そうね、それが一番良いのだけど、その確率は低いと思うわ。だから、準備としてこれを渡しておく」


 シオンは腰からダガー取り出すとラドに渡し、薬箱から各薬を2個づつ取り出し魔除けの香をすべて渡すと


「これで少しは自衛が出来るはず、魔除けの香は数が少ないから慎重に使ってね。薬の効能は、袋に書いてあるからしっかり読んでね」

「あぁありがとう」

「今出来るのはこれぐらいしかないからね」


 ラドはダガーは腰に差し、薬は自分の荷物に入れると深くシオンに頭を下げた。シオンは笑いながら、ラドに気にしないでと言うと、真剣な表情に変わりグレスと目線を合わせると、


「グレス、ラドの言う事をしっかりと聞くのよ」

「うん」


 いつも通りの返事を聞き安心したシオンは緊張の糸がほどけたのかふーと息を吐くと


「それじゃあ、明日に備えて寝ましょうか」

読んで頂きありがとうございます!

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