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空っぽ少年と色深き者たち ~世界を彩る物語~  作者: 和吉
オーレント王国 決断の街イエリ―
78/87

湯屋7

 グレスとラドは、女性グループより早く上がったので大広間で暇を潰すことにした。長い間湯船に浸かったことによって、喉の渇きを感じたラドは飲み物を買おうと、売店へとグレスと一緒に向かう。


「へ~色んな飲み物が置いてあるんだな」


 ラドは種類豊富に売れている商品を見ながら悩んでいると、隣にいるグレスがある商品を見つめていることに気付く。


ん?珍しくグレスが何か見てるな・・・・あぁあれか


 グレスが見つめていたのは、オーレの実がたくさん入った容器だった。旅の間何度も食べてきたオーレの実だがグレスは口には出さないがオーレの実が気に入っている様子だった。たぶん、飲みたいのだろうとラドは思い店員に声を掛け


「レーモ水とオーレ水1つずつ」

「はいよ、銅貨2枚ね」


 ラドは代金を払うと、空いているテーブルに座りグレスの前にオーレ水を置くとレーモ水を飲み始めた。飲んだレーモ水は、レーモのさっぱりとした味がしっかりと感じられすっぱ過ぎず水分補給にうってつけの飲み物だった。グレスはオーレ水を受け取ると、あっという間に飲み干してしまった。


「勢い良いな。そんなに喉が渇いてたのか?そうだ、オーレが好きならレーモもいけるかもな飲んでみるか?」

「うん」


 ラドはレーモ水をグレスに渡すと一口飲んだグレスがレーモ水を飲み干してしまった。その様子にラドは笑いながら、


「そんなに気に入ったのか。まだ飲むか?」

「いらない」

「そうか」


 飲み干してしまったグレスにラドは怒ることなく、もう1つ買ってこようかと提案するがグレスは断った。ラドはもう十分に水分補給が出来たので、女性グループが出てくるまでゆっくりしようとテーブルに体を預け


「グレスもゆっくりして待ってようぜ」

「うん」


 グレスもラドの真似をして、テーブルにぐったりと体を預け10分ほど待っていると後ろから声を掛けられた。


「あら、2人ともそっくりね」

「そうですね。親子みたいです」


 振り返ると、そこにはリリナとシオンが言た。2人は湯船から上がり大広間に戻ってくるとテーブルで休む2人を見つけ近づき声を掛けたのだ。ラドは姿勢を正すと


「おう、いい湯だったな。あっちに飲み物が売ってあるから水分補給忘れずにな」

「ええ、いい湯だったわ。確かに喉も乾いたし、何か買ってくるわねリリナさんも一緒に行く?」

「お供させて頂きます」


 リリナとシオンは一緒に売店に行き、どの飲み物にしようかとシオンが迷っているとリリナは


「どれにしようかしら」

「私のおすすめはベリー水ですよ。甘酸っぱくて美味しいんです。甘い物が飲みたいのであればベリー牛乳をおすすめします」

「そうなのね。じゃあベリー水にしようかしら」

「私はベリー牛乳で」


 会計を済ませ、シオンとリリナはテーブルに戻ると飲み始めた。シオンはベリー水を気に入ったようで、驚きながら


「あら美味しい。色々なベリーが入ってて甘酸っぱくて美味しいわ」

「それは良かったです。ベリー牛乳飲んでみますか?」

「あら、少しだけ頂くわ」


 ベリー牛乳わベリーの甘酸っぱさと牛乳のまろやかさが混ざって甘く飲みやすい物となっていた。これなら、子供でも飲みやすいわねと思いながら


「甘くて美味しいわ。グレスはもう何か飲んだのかしら?」

「あぁオーレ水とレーモ水を飲ませておいた」

「レーモ水?あれって結構好み分かれると思うけど、大丈夫だった?」

「どうやら気に入ったみたいだぜ。少し飲ませてみたら、全部一気にぐいっていったぐらいだしな」


 レーモは酸っぱく人によって好みが分かれると、シオンは心配したがグレスが気に入ったと聞き笑顔で


「気に入ったものが増えて良かったわねグレス」

「うん」


 温まった体が落ち着くまで4人は話しながら時間を過ごしていくのであった。


読んで頂きありがとうございます!

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#空っぽと色

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