魔法は想像力
「勿論魔法に対する理解力は必要だけど、本当に重要なのは想像力なのよ」
ラドは魔法に関して詳しくないため、シオンの説明を聞き頭を傾げグレスに質問をしてみる。
「グレスは知ってたか?」
「知らない」
「だよな~魔法と想像力何の関係性があるんだ?」
想像力と魔法がどう結びつくのかが解らず魔法を使っている者達は、何かしら特別なことをしていると思っていたラドは首を傾げる。
「魔法は魔力放出さえ出来てしまえば、後はどんな魔法を発動したいのかを強く想像するだけで発動するのよ」
「は?」
「より詳しく言うのであれば、放出した魔力に想像力を載せ具現化させるってことです」
「???」
シオンとリリナが説明してくれたが、ラドは魔法を使ったことが無いため想像がつかず首の傾げが深くなりラドの表情は理解が出来ないと、眉間にしわが寄っているのを見たシオンはどう説明しようかと悩むとリリナは少し待っててくださいと立ち上がり、部屋を出ていった。数分後リリナは部屋に戻ってくると手には粘土を持っていた。
「その粘土どうしたんだ?」
「言葉で説明するより目で見た方が理解できるかと思いまして持ってきました」
ラドはリリナが持ってきた粘土を見ながら尋ねると、粘土をテーブルの上に置き答えるリリナになるほどとシオンは理解したようだがラドは頭に?を浮かべたままだった。リリナは粘土をいじりながら
「それでは、さっきの説明を粘土で再現しますね。ラドさんとグレスさんしっかり見ててくださいね」
「分かった」
「うん」
「まず、この粘土が放出された魔力だとします。この放出された魔力はただ放出されただけなので形を持っていませんが自由に形を変えることが出来ます」
「例えば、放出した魔力を火に成れと想像しながら形を変えると火の魔法が発動します」
リリナは粘土に向かって土魔法を発動させると、粘土は空中に浮かびあっという間に形が変わり炎の形になり空中を漂う。粘土の色をしているが、まるで炎のように形が変わり空中を漂う粘土にラドは凄いなと目を輝かせシオンは器用ねとリリナの技術を称賛した。リリナは褒められたことに恥ずかしそうにしたが、説明を続けていく。
「このように形を持っていない物を、自分の想像力で形を作ることで魔法が発動するので想像力が必要なんです。想像力が足りないと、威力が弱くなってしまったり思った通りの魔法が発動しないんですよ」
こんな風にねとリリナが言うと粘土は長方形の形に戻り、次は剣の形に変わろうとしたが剣の半分が出来た所で崩れ落ち粘土はテーブルの上に落ちてしまった。
「このように、魔力に想像力を載せて魔法を作っているので人によって魔法は少しずつ違ってくるんですよ」
「そうね。人によってファイヤボールの大きさや速さ威力が異なってくるのは、想像力が原因なのよ」
リリナはシオンの説明を、分かりやすくするため少し異なった2つの球体を作り出したり形が違う矢を作り出したりして見せるとラドは理解が出来たのかなるほどと頷く。
「魔法を使ってるところを見たことが有るが、想像するだけで魔法が発動するなら詠唱は要らなくないか?」
ラドは魔法を使う所を見たことが有るため、想像するだけで魔法が発動するなら何故みんな詠唱をしているのかと疑問に思い質問をすると2人はいい質問ですと、そのことについて説明を始めた。
「確かに詠唱をしなくても魔法を発動することは出来るけど、魔法を安定して発動するためには詠唱が有った方が良いのよ」
「どういうことだ?」
「魔法を発動するためには確かな想像力が必要なのはさっき説明したわよね?瞬時に魔法を使おうとするとどうしてもその時その時に想像力にぶれが出てきてしまって常に同じ効果の魔法を発動させることは難しいのよ」
「シオンさんの言う通り、危機的状況とそうではない状況では人の想像力がぶれが生じてしまいます。常に同じ魔法を使うためには、想像力を固定させる詠唱が必要なのです」
「想像力を固定?・・・・成程な」
ラドは想像力を固定させると聞き、少し考え込んだが今までの説明から理解できたのか自分の考えが有っているかシオンとリリナに質問する。
「ある詠唱の時は、どれくらいの大きさなのかどんな形なのかを決めておくんだな?」
「その通り!詠唱によって形、威力、効果を決めておけば何時でも同じ魔法が使えるようになるのよ」
「でも、詠唱を覚えたからと言ってすぐに魔法が使える訳では無いんです。繰り返しこの詠唱の時はこの魔法っていうのを感覚的に覚える必要があるんですよ」
「繰り返し練習が必要なのはどの分野でも同じか・・・」
「それに、魔法学校では同じ詠唱を生徒全員に教えているけど自分の想像と詠唱を結び付けれなくて魔法を発動できない人も居るから、独自の詠唱を作った方が良いのよ」
自分は魔法が使えないからグレスの知識になればいいと説明してもらったが、2人の分かりやすく面白い説明で楽しんで学ぶことが出来た。
「例えば、私が聞いたことがある詠唱だと、大地よ我に従え!とかお花さん助けて~とかね」
「なんだその詠唱は、面白過ぎないか?」
「珍しい詠唱ですと・・・我が手に集まりし炎よ燃えたぎれっとかは聞いたことがあります」
あまりにも個性的な詠唱に思わず3人は笑ってしまい部屋には笑い声が響いていた。
読んで頂きありがとうございます!
コメント・感想・評価・ブックマークお願いします。
基本毎日投稿しており、時間は決まってません。
twitterで更新状況を発信しているので、宜しければフォローお願いします。
#空っぽと色




