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空っぽ少年と色深き者たち ~世界を彩る物語~  作者: 和吉
終わりと出会い
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一方そのころsideラド

ラドは衛兵に案内され、衛兵詰所の二階にある5個のベットが並んだ休憩に来ていた。


「この部屋にあるものは全部好きに使って構わない。ベットの隣にある棚には水が入っているから好きに飲むと良い、便所はこの部屋を出て右隣にあるから好きに出入りして構わない。何か用が有ったら下誰かしらいるだろうから、声をかけてくれ」


案内してもらった衛兵に部屋についてと、便所についてを教えてもらうと一番右端にあるベットに抱えていたグレスを寝かせた。グレスはラドに抱かれ移動している際も一切起きる事無くスヤスヤと寝ているのを見ると自然と笑みがこぼれてしまう。


マナもよくソファーで寝てしまうから、こうやってベットに運んでたな・・・


グレスに自分の子どもであるマナの面影を感じ、魔物の蹂躙の話を聞き恐怖と焦りで語かせていたさみしさと悲しさが一気に来る。


もう二度と2人には会えないのか・・・・どうしてなんだ何で俺達なんだ


まだ2人の死を受け止められていないラドは、寝ているグレスの頭を撫でながら2人との思い出が蘇っていく。


誕生日は毎回マナの好きなところで祝ってたんだよな・・・お気に入りの公園や花屋、マリナの職場の飯屋とかいろんなところで祝って最高の思い出だ。初めてマナがパパって呼んでくれた時は、喜びすぎて家の中を走ったら転んで怪我しちゃったんだよな・・・マリナに父親なんだから落ち着きを持ちなさいって怒られたっけ


楽しい事ばかりじゃなかったけれど2人が居たから乗り越えられたし、それを超える楽しい思い出も作ることが出来たのにその2人はもう居ない。俺が守り切れず死なせてしまった・・・会いたいな・・・2人に


んん~


静かに寝ていたグレスが寝返りをうったことで、ハッとしたラドはずれた布団をかけ直すとグレスの顔を見ながら、


「おやすみグレス、慰めてくれてありがとうな少しは楽になったよ」


グレスが居なかったら絶望していたかもしれないし、動く気力も湧かなかったからもしれないな・・・身勝手で悪いと思ってるし最低だと思うが少しだけ代わりにさせてくれ。立ち直ったらしっかりと謝るから・・・


家族を失い独りぼっちのグレスと同じく家族を失い独りになってしまったラド、心を失ったらグレスとは違い全てを覚え、分かっているラドはグレスを自分の子どもの身代わりにすることで自分の心を保とうとするが、それはより一層苦しむことになる行為だと、家族に対しての裏切りだと分かっているが・・・


どうしても、2人が居ない世界は辛すぎるんだ・・・グレスの優しさや生い立ちに付け込むのは、最低だって分かってる。だけど、少しの間だけ少しだけだから・・・


グレスを自分の子ども扱いするのをどうしても止められないかった、2人が居ない世界にどうしても耐えられなかった。悪い事だと思っても止めることは出来なかった。


グレスの寝顔を見ながら頭を撫でていると、体力の限界を迎えたのか瞼が重くなり眠くなってきたラドは襲い掛かる眠気に耐えることが出来無かった。


「あら?ラドも寝ちゃったのね」


シオンが休憩室に入ると、そこにはグレスが寝ているベットにもたれ掛かり、静かに寝ているラドの姿があった。


「こうして見てると本当の親子みたいね。でもこの体勢じゃ辛いでしょうから移動させなきゃね」


もたれ掛かって寝ているラドを抱きかかえるとグレスの隣にあるベットに寝かせると、シオンもベットに入り疲れを癒すのだった。

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#空っぽと色

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