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空っぽ少年と色深き者たち ~世界を彩る物語~  作者: 和吉
終わりと出会い
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ギルドマスター

2人でグレスの事を可愛がっていると応接室のドアがノックされた。グレスに癒され緩んだ顔を引き締めドアを見ると、衛兵隊長ヴァルクが恰幅の良い短髪の男と一緒に入ってくる。


「待たせたな。こちらはギルドマスターのエリガンだ」

「紹介されたエリガンだ。この街の冒険者組合のギルドマスターをやっている君達が魔物の蹂躙の知らせを届けた者だね?」

「そうです」


2人は部屋に入ってくると、ソファーに座るとヴァルクはもう1人の男を手で指しシオン達に紹介した。紹介されたギルドマスターエリガンは、シオン達を品定めするかのように全身を見るとやや低い声で自己紹介をする。シオンはこの街のギルドには寄ったことがあるがギルドマスターを直接見たことが無いため、シオンもギルドマスターを観察するように見ると、問いに答えた。


この人が昔2等級だった冒険者大岩のエリガンなのね。確かに隙は無いし、威圧感も十分ね。


シオンは直接ギルドマスターの事を見たことは無いが噂でエリガンの事を知っていた。土魔法を得意とした重戦士であり、高い防御力によって攻撃を受け止め強力な一撃で敵を潰すことから、大岩という二つ名がエリガンに付けられた。冒険者は2等級以上になると、二つ名が付けられることがある。二つ名が付けられた冒険者は総じて何かしらの偉業を成し遂げたか、何かしらの特筆した技能を持っていることになる。エリガンは60を超える魔物からたった1人で街を守り切ったことから二つ名が付けられたが、実際に目の当たりするとその強さが伝わってくる。


「冒険者という事はギルドカードを持っているな?」

「はい」


シオンはグレスに被せたコートのポケットから縦13cm横7cmのカードを出すと、ギルドマスターに渡した。ギルドカードとシオンを見比べると、顎に手を当てうーんと唸りギルドカードをシオンへと返す。


「確かに4等級の冒険者で間違いないね、ソロで4等級まで上がるとは中々だな。評価も高いし君の話を信じよう」

「ありがとうございます」

「衛兵隊長から話は聞いたが、もう一度君から話を聞かせて貰えるかい?」

「勿論です」

「話の途中に割り込んですまない」

「どうしたんだ?」


シオンがエリガンにヴァルクに話した同じ内容を話そうとすると、ヴァルクが話の途中ですまなそうに割り込んできた。ヴァルクが割り込んでくるとは思っていなかったためエリガンとシオンはヴァルクの方を見るがヴァルクの視線はグレスに向けられていた。


「すまない、話が長くなるだろうからその子を上の階にある休憩室で寝かせた方が良いだろう。ソファーで寝かせては、疲れが取れないだろ?」

「えっそれは大変ありがたいですが宜しいのですか?」

「勿論だ。子供1人にしておくのが心配なら彼もいっしょに休憩室に行くと良い顔に疲れが出ているぞ」


ヴァルクは子供がソファーで寝ているのは可哀想だと、話が始まる前にペットに移動せることを提案してきた。シオンもこのまま寝かせるのは辛いだろうと思っていたがまさかの提案に驚いた顔でヴァルクを見るが、エリガンは溜息を付き、


「相変わらずの子供好きだなヴァルク」

「別にそういう意味ではない、ただ子供がソファーで寝るのは健康上宜しくないと思っただけだ」


ヴァルクは表情を変えずエリガンに反論するが、エリガンはやれやれとヴァルクの提案を肯定した。どうやら2人は気が許せる仲のようだ


「確かにそこで寝かせるのは良くないな」

「ご厚意に甘えさせて頂きますね。7日間も野宿と移動、2日間街道を走っていたので休ませてあげたいのでラドも一緒に休んできなさい疲れが限界でしょ?」


シオンはヴァルクの提案に甘えさせてもらうと、疲れが顔に出ているラドに休むことを勧める。ラドは一瞬迷った様子を見せたが、疲れが限界に来ていたのも事実であり、街という安全な場所に入ったことによって気が緩み疲れが一気に来ていたためその提案を呑みヴァルクに頭を下げる。


「申し訳ないですが、そのご厚意に甘えさせてもらいます」

「うむ」


ヴァルクは頷くと部屋の外にいる衛兵を呼び、ラドとグレスを休憩室に連れて行くように命令し部屋から出ていくのを見送ると真剣な表情に変わり、話の続きを始めた。

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#空っぽと色

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