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空っぽ少年と色深き者たち ~世界を彩る物語~  作者: 和吉
終わりと出会い
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衛兵隊長

シオン達3人は開かれた門に入ると、門の前で待ち構えていた衛兵たちに囲まれ、正面には堂々とした立ち姿をした威圧感のある180cm年齢は40代に見える逞しい男が囲んでいた衛兵の中から出てくる。



「詳しくは、詰所にて聞こう。付いてこい」


男は、堂々とした様子で威圧するようにシオン達に向けて声を発すると背中を向け門の近くにある衛兵の詰所へ歩き出した。囲んでいた衛兵たちが詰所までの道を開きながら、こちらへの経過を緩めることなく強い眼差しを3人に向けていた。緊急の知らせで来た3人だがまだ、賊である疑いが晴れていないため街の中に入ったからにはより一層警戒をしなければならい。衛兵たちに睨まれながらも、堂々とした様子でシオンは衛兵隊長と思われる男の後ろをついていき、グレスもシオンに続き無表情で何も気にしてないようで歩いていくが、ラドは大勢の衛兵たちに囲まれ睨まれている状況に顔を青くし怯えながら堂々と歩いていく2人に付いていく。


怖ぇ~イエリ―の街は治安が良いとは聞いてたけどこんなに怖い衛兵が居るのなら納得だなぁ・・・


この人が衛兵隊長さんかしら?体つきや歩き方からとても優秀な剣士ね・・・衛兵達の乱れもないし相当訓練がされているのね。さすが治安の良い街だと言われるだけあるわね。


ラドとシオンは衛兵たちの熟練度や様子を見ながら、イエリ―の街の治安の良さを実感を詰所へと歩いていく。詰所は石レンガと鉄でできた武骨な2階建ての大きな建物だった。詰所の前には衛兵が2人立っており歩いて来た男に敬礼をし、中へと通す。3人も男に続き中に入ると、そこは部屋を横に分断する大きなカウンターが置かれておりカウンターの奥には机が置かれており騎士が書類など書くスペースとなっていた。男はカウンターの横にあるカウンター扉から中に入り、右奥の扉へと歩いていく。詰所内にいた衛兵に注目されながらも部屋に入ると応接間のようだ。


良かった・・・まだ、悪い印象を持たれてるわけじゃないみたいね。


ラドは、シオンに小声で


「これは・・・大丈夫なのか?」

「えぇ、もし怪しいと思われてたら尋問室に通されるはずだから応接間に通されたってことは話を聞く気があるってことよ」

「そうなのか・・・」


入った応接間は机を挟んで2つのソファーがあり部屋の手前側に男が座ると手で奥に座るよう3人に示す。3人は奥に座ると入り口には2人の衛兵が立ち、逃走させないように警戒していた。


完全に信じて貰えてるみたいじゃないけど話せるだけマシね


男は3人が座ると、威圧を出しながら厳しい表情しながら話しだす。男の真剣な表情から決して嘘偽りは許さないという考えが伝わってくる。ここで、目を逸らし怪しい行動したらすぐにシオン達は捕られてしまうだろう。


「それでがもう一回訊くが、魔物の蹂躙に関する報告で間違いはないんだな?」

「はい、魔物の蹂躙の可能性についての報告です」

「ふむ・・・」


シオンは男の目を見ながら、威圧に臆さず堂々とした様子で答えると男は手を顎に当て考える素振りを見せたが、堂々としたシオンの態度に信用できると感じ丹のだろう、威圧を緩め話し出した。


「私はこのイエリ―の街の衛兵隊長であるヴォルクだ。ここの街を守る責任者として君の話を聞かせてもらおう」

「ありがとうございます。まず、要点からお話しますとさっきも述べたようにビットの森で魔物が大量発生している可能性があります」

「根拠は?」

「私はフォルトの街を結ぶ街道の半ばからイエリ―の街まで歩いて来たのですが、それまで私の隣にいる彼以外人と出会っていません」

「ふむ・・・冒険者や商人などが森へ入っていないと言いたいのか。それでは、根拠が弱すぎる」

「もちろんそれだけではありません。街道を通ってる途中に彼、名前はラドと言いますがラドは上位種のゴブリン4体に襲われていました。そして、救出後街道沿いで休憩していると変異種のオーガに襲われました。街道沿いにここまでの魔物が現れるのは異常ではないでしょうか?」

「なるほどな・・・しかし、そこまで強い魔物と遭遇したのは偶然ではないのか?」

「偶然の可能性はありますが、フォルトの街の現状を考えると森へ10日程一切魔物狩りが行われていない可能性が有ります。そして、フォルトの街ではリンテン病が大量発生しモスやバタフライなどの魔物が大量発生している可能性もあります」

「10日もか・・・・」


その情報をヴォルクは初めて知ったようで驚きながらも、シオンの話から確かに魔物が大量発生している可能性を理解した。しかし、1つ気になる点があった。


「フォルトの街の現状とはどういうことだ?」

「現在フォルトは、街を閉鎖している状態にありフォルト側の森でも冒険者の手が入っておらず衛兵による手も入っていません。どちらの街もビットの森で魔物狩りを行っていないのです」

「ふむ・・・」


フォルトの街の情勢が悪いことは耳にしていたが閉鎖状態になってるとは知らなかったヴァルクだが、もしそれが事実だとしたら不味い状態にある。街道は人の行き来が活発だったからこそ森の魔物は狩られ、人と魔物の均衡がとれていたがたった10日で上位種のゴブリンや変異種のオーガが現れたのなら森で魔物が大量発生している可能性がある。ヴァルクは嫌な予感が当たりそうであることに、苦虫を嚙み潰したような顔をしながらシオンに問う。


「どれくらいの可能性だ?」


言葉は少なかったが、シオンは何の可能性かを理解し堂々と答えた。


「魔物の蹂躙が起こる際は、上位種や変異種の魔物が表れやすくなると言われています。そのため、可能性は高いかと・・・しかし、街道を通ってる際にオーガ以降襲われなかったので今は少しずつ増えて行ってるか段階だと思います。早目に対処すれば防げるかともしくは、ゴブリンが大きな巣を作っている可能性が有ります」

「そうか・・・・ゴブリンの巣が出来ている可能性の根拠は何だ?」

「ゴブリンは狩りに出る際に隊を作りますが、その構成メンバーがすべて上位種であったことです。通常なら上位種1体に通常のゴブリン複数ですが、今回は全員が上位種であり巣を守るために上位種を残すのではなく狩に出させてることから、ナイトやソーサラーもしくはキングやクイーンが生まれてる可能性が有ります」

「なんということだ・・・・」


ヴァルクはシオンの報告を聞き、嘘だと否定し信じたくなかったが堂々と話すシオンの様子からすべてが事実だと理解し早急に対処しなければならない事案だという事を理解した。最悪だという気持ちを抑え込み、すぐに衛兵隊長としての行動に移した。ソファーからたちがると扉を守っていた2人の衛兵に体を向けると命令を出す。


「今すぐ冒険者組合に行き、ギルドマスターを連れてこい。そして領主様にも連絡をするんだ!すぐにだ!!!」

「はい!!!」


扉を守っていた2人の衛兵は、シオンの報告を聞き顔が青ざめていたがヴァルクの鋭い命令に活を入れられ立ち直るとすぐに行動した。


「君達には、ギルドマスターにも報告をしてもらいたい。しばらくここで待機していてくれ」

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