襲撃
次の日の朝
いつも通り清々しい朝を迎えるはずが今回は違った。3人は早朝ドンッという鈍い音で目が覚めることになった。3人は飛び起きると、シオンとラドは驚いた顔で目を合わせ、シオンはすぐに状況把握に動いた。断続的に鳴り続けるドンッという鈍い音、土壁を何者かが強く叩いてる振動が3人へ伝わる。幸いまだ土壁が壊れる様子はないシオンは周りの状況を確認するために、音が鳴る方へと寄り覗き穴を作り外を見ると土壁を叩いている者がそこにはいた。3mを軽く超える巨体、その手には棍棒を持ちその表情は鬼のようオーガだ。オーガが土壁を発見し、人の匂いを嗅ぎつけたのだろう中にいる人間を食べようと棍棒で土壁を殴っていたのだ。
不味いわね・・・そう簡単にはこの壁は壊れないけど魔除けの香を無視して近づくことが出来るってことは変異種ね。しかも、よりによってオーガこれは見逃してはくれなさそうね。倒すしかないわね
「グレス、ラド落ち着いて聞いて、この壁の外にオーガが居るわ。まだ壁は持つけれど出られないからオーガを倒すしかない。私がここから出て倒すから2人はこのままここに居て」
「危険すぎないか?やり過ごすことは出来ないのか?」
「無理ね。オーガは獲物に対して執念深いのよ。ここから逃げても何処までも追ってくるし、壁が壊れるまでずっといると思うわ。流石に腹が減れば獲物を探しに行くだろうけど、それだと私たちが持たないわ」
「倒すしかないのか・・・」
「ラド、グレスをお願いね」
「すまない、俺に戦える力が有れば・・・」
「仕方ないわ。それにあの程度の奴に私は負けないから安心して待ってて。グレス、いい子でラドと一緒に待っててね」
「うん」
まったく動揺していないグレスにシオンは落ち着いた声で言うと、ラドの震えた手を掴み耳元で小さな声で伝える。
「イエリ―の街から逆方向にオーガを引き付けるわ。もしも私に何かあったら土壁が壊れるからもし、そうなったら全力で間に向かって走って」
ラドはシオンを引き留めようとしたが、シオンの覚悟を決めた表情を見て自分も覚悟を決め頷いた。
さて、覚悟を決めましょう私なら出来るわ!
リュックの薬棚シオンは土壁に自分が通れる程度の穴を空けると、身体強化をかけ飛び出した。
「炎よ!」
オーガが居る反対から飛び出すと同時に土壁を直し、後ろを向き炎のローブを纏いこぶし大の火球を4つ作り出し、オーガに向かって放った。オーガは飛び出してきたシオンを視認すると向かってくる火球を無視し土小屋を乗り越え向かってくる。火球は全部オーガに当たるが全くの無傷だった。土小屋を乗り越えたオーガはシオンを捕らえようと、棍棒でシオンを殴ろうとする歩いてきた方向に向かって避け距離を取ろうとする。
丈夫ね。でも、意識はこっちに向いたわね。距離を取りながら削ってっ!!!??
オーガ巨体で筋肉隆々だが動きは遅いため、距離を取りながら戦えば安全に勝利できるとシオンは考えていたがこのオーガは違っていた。変異種、魔物に時折現れる種族には無い特徴を有した存在、魔除けが効かず脅威となる存在それがこのオーガだったのだ。本来動きが遅いはずのオーガが、驚愕の速さでシオンに近づき棍棒で横腹を殴りつけた。不意を突かれたシオンは吹き飛ぶが何とか空中で姿勢を直し地面に着地し、オーガが近づけないよう魔法を発動させた。
「炎よ、彼の者を妨げる壁となれ!」
炎の壁がオーガとシオンの間に3つ現れ、オーガの視界と近づく道を奪う。
これで近寄れないでしょ、最悪油断したわ。変異種だって分かっていたのに・・・
シオンは咄嗟に炎のローブの炎を横腹に集中させ威力を抑えると同時に、受け身の体制を取ったためそこまでダメージは無かったが、相性が最悪だという事に焦りを感じ、額に汗が浮かぶ。
まだ、遅ければ何とでもなるけど早いと魔法を使う暇が無いし攻撃が当たらないかもしれないわね。何とかしなきゃ・・・・!!!??
オークが炎の壁を無視して突っ込んできたのだ。3枚の炎の壁を無理やり突破したのにオーガは火傷1つを負うことはなく、平然とシオンを食べようと棍棒を振り下ろすがシオンは右に転がり回避する。すかさず魔法をオーガに打ち込む
「炎よ、彼の者を射抜け」
5本の炎の矢がオーガに打ち込まれるが聞いてる様子はない。シオンはその様子を見て冷静に分析をするが、心は焦りが出てくる。
炎が効かないか魔法が効かないかね。相性最悪じゃない・・・
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#空っぽと色




