男の目覚め
街へ向かい歩き始めてから6日目
昨日の出来事がなかったかのように澄み晴れた空 春の風が吹き爽やかな匂いを運んでくる。シオンは、起きると周囲の安全確保をするために土小屋から出ると、ぐっと背伸びをする。
「ん~晴れてよかった。彼は起きてくれるかしら・・・寝ている人を運ぶって結構大変なのよね」
男が起きてくれることを、期待しつつ焚火を焚き朝食の準備をしているとグレスが起きた。グレスの傍まで行くと焚火の傍までグレスを連れて座らせた。
「おはようグレス 今日は大変だから朝はいっぱい食べて体力付けておきましょう」
残り最後のオーク肉を焼きながらシオンは昨日の話の続きを始めた。
「昨日ポーションについて話したでしょ?ポーションには色々な種類があるのよ。昨日話した回復ポーションの他には魔力ポーションや身体強化ポーション、魔法強化ポーションとかね。魔力ポーションは魔力回復他は名前の通りの効果よ。」
シオンは腰に付けているポーションをグレスに見せながらポーションを説明していく
「私が今持ってるのは、回復ポーションが2つと魔力ポーションが2つ、魔法強化ポーションが1つよ。もう1つ回復ポーションを持っていたのだけど彼に使っちゃったから今は無いの。昨日も言ったけど冒険や旅に出るなら複数のポーションを持っていた方が良いわよ。少し高いけどね」
「有って困らない知識だから、人を治療する方法も教えておくわね。人を治療するためには大きく分けて3つの方法があるのよ。1つ目は私たち魔女や薬師、エルフなどが作る薬によって治療ね。薬による治療は、ポーションみたいな即効性は無いけれど魔力や体力を奪わないから体に対する負担が少ないわ。2つ目は昨日説明した回復ポーションによる治療ね。3つ目は光魔法の治療魔法を使って治療する方法ね。治療魔法は、魔法を掛けた方の魔力を使って治療するから治療される側の負担は少ないけど治療する側のの技量によって大きく左右されるわ。治療魔法を使える人は少なくて、光属性の魔力を持っている人全員が使える訳じゃないの。治療魔法を使える人は才能が元からある人ね」
「もしかしたら、グレス治療魔法使えるかもしれないわよ?」
まだ魔力の測定と属性の測定をしていないグレスに対して、もしかしたら珍しい属性を持っているかもしれないと期待させるように笑いながら言うと、土小屋から呻き声が聞こえてきた。男が起きたのだろうかと様子を見るためにシオンが土小屋を覗くと男が目を覚ましていた。
「目が覚めて良かったわ。痛い所はある?ここが何処か今の状況を理解してるかしら?」
シオンは体を起こしていた男まで近づくと、しゃがみ込み安心させるようにゆっくりと話しかけると呆然とした様子で
「あぁ」
軽く返答するが、呆然とした気が抜けてしまっているような様子は変わらない。
まだ起きた出来事を整理できていないのね・・・
「朝食を用意してあるのだけど、食べられるかしら?」
「あぁ」
「良かった・・・じゃあ朝食を持ってくるわね」
シオンは一旦土小屋から出ると、グレスの元に行き
「彼が目を覚ましたわ。でも、まだ回復しきってないから挨拶はまた後でね」
「うん」
グレスに男が起きたことを伝えると、焼いたオーク肉をパンの上に乗せ男の元へ戻った。
「どうぞ、もっと欲しいなら持ってくるわ」
男は受け取ると、ゆっくり少しずつ食べ始めていく、その様子を見て
まるで、グレスみたいね・・・
男の様子に少し既視感を覚えるのだった。
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