始まりの物語
次の話から物語が動き始めます
とある国の小さな村に13歳の少年がおりました。
小さな村は国の端に在り裕福とは言えませんが土地に恵まれ農業をしながら素朴な生活していた。
少年は両親と暮らし、のどかで充実した生活を暮らしておりました。自然が豊かな村で優しい父親と厳しいが優しい母親に育てられすくすくと育っていく少年。村民は全員仲良く村の中で、数の少ない子供である少年は皆に可愛がられていました。娯楽や、変わったことがない日常でしたが、この何気ない日常を楽しみいつまでも続くと疑うことはなかった。
少年は幸せでした。
雲一つない青く澄み渡った晴れの日
少年が両親と一緒に畑で昼食をとっている時でした。
村のすぐ隣の森から ドーン と大きな音が鳴り慌てて両親と一緒に見に行くと家を壊し バリッバリッッと音を立てながら頭から人を食べている3mほどの人型の化け物がそこにいた。
「オーガ・・・」
父親が恐怖で震えてかすれるような声を出す。
世界には魔法が存在しておりそして魔物が存在しておりました。
魔物が少年が住んでいる村を襲ってきたのです。
父親は少年と妻と手を繋ぎ走った。
オーガが火を吹き 村が燃え 煙が立ち込めるなか
走って
走って
燃えた家屋の近くを通ると熱く焼かれかけながら、悲鳴が聞こえるなか走り続けた。平凡な村はあっという間に地獄へと豹変をする。
人はあまりにも魔物と比べると弱かった
オーガは、簡単に親子に追いつきその大きな腕で母親を捕まえ握りしめた。
母親は痛みに叫び父親は母親を助けようとオーガに挑もうとしたが、
母親は痛みに苦しみながら叫んだ「逃げて!貴方たちだけで逃げるのよ" "」
父親は唇をかみしめ「逃げるぞッ」「母さんがっ!やだ母さんを置いてけない」
暴れる少年の手を引っ張り、振り返らず走った。
燃え盛る家々を抜け、村の出口を向け走っていると燃えた家が家が親子に向かって崩れ落ちてくる。
父親は崩れてくる家を見て、咄嗟に少年を押す。
押された少年は痛む体を起こし、父親を見ると燃えた瓦礫に下敷きになっていた。
「父さんっ!」少年は父親を助けようと手を引っ張るが子供の力では瓦礫は動かない。
迫る火の手 村民たちの悲鳴 魔物の笑い声
父親は少年の手を掴み、しっかりと手を握り締めると
「" "逃げるんだ お前だけでも生き残るんだ」
「やだ!父さんを助けるんだ!」
「" "お前は強い母さんも俺もいつもお前の心の中にいる。だから、悲しむな生き延びろ」
いつも優しい父親から初めて聞く強く厳しい声と言葉
「やだよ!!!」
「大丈夫だ。お前は、俺と母さんの子なんだ。強くて優しい子なんだ。だから、生き延びなさい」
いつものと同じ優しい笑顔で泣きじゃくる" "を諭す。優しい表情とは裏腹に言葉には強い意志が宿っていた。少年は泣きながら、力強く父親に背を向け振り返らず走った。
村から逃げようと村の出口に走ったが、出口にはもう魔物がおり村人を襲っていた。
少年は生き延びるために、逃げようと村中を走ったが何処からも悲鳴が聞こえ血の匂いがする。
村人の数が減り、魔物達が村の中心部まで来ようとしていることを悲鳴と笑い声から感じた少年は崩れた家の下に隙間を発見しもぐりこみ声を殺して隠れた。
近づいてくる魔物達の足音 魔物達の叫び声 村人の悲鳴 血の匂い
気が狂いそうな程の緊張感の中 少年は微かな音でも立てないよう息を殺していた。
足音がする
#いる__・__# 目の間に魔物がいる
少しでも音を立てたら死ぬ
瞬きすらせず 瞳孔が開き 外を 足音がする方向を見ていた
悲鳴がした
近くに隠れていた村人が魔物に捕まったんだろう
「やめてくれ!!助けてくれっ嫌だ嫌だいやだぁあああああああ」
グシャ
何かが潰れる音共に目の前に血の匂いがする村人が倒れてきた
目が離せない
俺もこうなるんだろうか
生き延びろと言われたのに
あんなに煩かった悲鳴と笑い声が聞こえなくなった
どれだけ時間がたったんだろう
足音も笑い声も聞こえない
感じるのは血の匂いと森の音
まだあいつらがいるのかもしれない
出られない 怖い
何日たった?
血の匂いは無くなった
喉が渇いた 腹が減った
みんなを探さなくては
誰もいない
あるのは家の瓦礫と白い何か
叫んだ 誰かいないのか 生き残ってないのか
ボロボロの体で村を駆けずり回った
いない
誰もいない
厳しい母親も優しい父親も
いつも挨拶をしてくれる村のみんなも
誰もいない
村の中心部で立ち尽くし
泣け叫んだ
アアァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛
血が混じった叫びが誰も居ない村に響き渡る
少年は故郷と家族を失った。
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#空っぽと色