街へ7
昼食を終えると、森に入るため肌を守るためにグレスにローブを着せるとシオンはグレスに話しかけた。
「今から森に入るけど、魔物が襲ってくる可能性も高くなるから私の傍から離れちゃ駄目よ?平原と違って視界が限られるし、迷ったらすぐに見つけられるわけじゃないから」
「うん」
「よろしい」
シオンは、リュックから地図とコンパスを取り出すと西に向かって歩き始めた。
「この森を西に抜けると、イエリ―の街とフォルトの街を繋ぐ街道に出るわ。それじゃあ行きましょう」
シオンはグレスとはぐれないように、グレスの右手と手を繋ぎ森の中へ入っていった。
「この森はキイの森と言って、イエリ―の街とフォルトの街までの間にある大きな森でどちらの街にも恩恵を与えているわ。まあ、その代わり魔物も多いのだけどね」
警戒しながら歩いていると、左からガサガサと音が鳴った。
シオンは音が鳴った方向を睨み、グレスを自分の後ろに隠すと土魔法でグレスを覆った。
ガサッ ガサッ
ゆっくりと音が近づいてくる。
近づいて来るにつれて、豚の顔をした2mくらいの右手に棍棒を持った巨体が2体姿を現した。
「オークね。」
姿を現した2体のオークに動揺することなく、シオンは杖を構え真剣な表情となるが内心では、「やったわ!久々のお肉が確保できるわ!」とテンションが上がっていた。オークはシオンを視界に捉えると、ブヒッブヒッと鼻を鳴らしながら雄たけびを上げシオンに向かって走った。
お肉を食べれるように倒さなきゃ駄目よね・・・それじゃあ!
「闇よ 彼の者の目を奪え」
シオンは魔力を杖に集中させ闇魔法によって視界を奪うと、視界を奪われたオークは混乱しそのままシオン目掛け突っ込んでくる。シオンはまた魔力を集中させ、次は土魔法を発動させる。
「土よ 盛り上がれ」
土魔法によって盛り上がった段差に突っ込んできたオークは勢いよく転び、倒れてくるオークをシオンは右にずれ避けると転がった来たオークに向かってとどめを刺すために土魔法を発動させた。
「岩よ 彼の者を潰せ」
空中に出来た岩は、転がり暴れまわっているオークの頭を潰し絶命させた。
オークが動かなくったことを確認し、周囲の安全を確認するとシオンはグレスを土壁から出し
「いきなり囲ってごめんね。次魔物が出てきたときも同じように囲っちゃうから、準備しててね」
グレスに謝罪をすると、シオンはリュックからナイフを取り出し手際よくオークを解体し始めた。
「オークのお肉ってとても美味しいのよ。程よく脂がのっていて豚肉の美味しさを2段階くらい上げた美味しさなの」
シオンは、久々のお肉にうきうきしながら笑顔でオークの解体を続ける。喉を切り開き土魔法でオークを逆さに吊るすと血を抜き、内臓の処理に取り掛かった。胸を切り開くと、人間と同じような位置に心臓がありそこには固い石のようなものが有った。それを取り出しグレスに見せる。
「これが魔物が持っている魔石よ。オークだと小さいサイズだけど、これを売るとお金になったり魔道具の燃料に使ったりするのよ。オークは土属性の魔力を持っているから、黄色の魔石ね」
「本当は内臓も食べれる部分があるのだけど、時間が無いし全部捨てるわね」
土魔法で、地面に穴を空けるとそこに血と内臓を捨て骨などを解体する時間が無いため、簡単にとれる肉だけを取り新しい袋に入れると血に濡れてしまったシオンは自分に浄化をかけ綺麗にした。土魔法でオーク2体が入る穴を作るとそこにオークを入れ埋めた。
「本当は燃やした方が良いのだけど、森の中だし他の魔物が血の匂いを嗅いで寄ってくるかもしれないから早く移動しましょう」
冷静な表情でシオンが言い、グレスの手を引いて歩き出したがシオンは内心早くお肉が食べたいという気持ちで高まっていた。
しばらく歩いていると、日が暮れ始めたため薪を集め火をつけ野営の準備を始めた。いつも通り土小屋を作ると、素早くリュックから鍋を取り出すと火にかけ袋から肉を取り出し浄化を掛けるとジューといい音と臭いを立てながら肉を焼き始めた。シオンは笑顔で焼ける肉を眺め、リュックから塩を取り出し掛けるとパンの上に乗せグレスに渡した。
「熱いから気を付けてね」
受け取ったグレスは、いつも通り無表情で食べ進めシオンは笑顔を浮かべながら美味しそうに肉とパンを食べ進めていった。
「久々のお肉最高だわ!これで卵と野菜があれば文句なしなのだけど仕方ないわね」
次々と肉を焼いていき、グレスが渡すが途中でグレスが食べるのを止めた。
「どうしたの?もうお腹いっぱいかしら」
「うん」
「そうなの?それじゃあ、ちょっと待ってね。食べ終わったらすぐ寝る準備をするから」
シオンは食べ進めていき、グレスの二倍の量を食べると口直しにラネの実を食べるとローブを敷き寝る準備を始めた。その様子をグレスが見ていることに気付くと照れたように、
「魔法をたくさん使って魔力を消費したからお腹すいたのよ!」
今日は多めに魔力を使ってしまったから、何かあったら対処できないかもしれないから魔除けの香を焚いておきましょう。
特に何も言っていないグレスに言い訳するように言うと、グレスの手を引き寝かせた。リュックから薬草棚を取り出すと魔除けの香を取り出し、丸い香炉を取り出すと香を焚き始めた。そして焚火を消し土小屋の中に入ると入り口を閉め眠りに入った。
「おやすみなさい グレス」
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#空っぽと色