街へ6
街に向かい歩き始めた3日目の朝
グレスより早く起きたシオンは、周囲の安全確認が終わると土小屋の入り口を空けると湖を見ながら体を伸ばし息を大きく吸った。
「ん~いい朝ね!雨が降らなくてありがたいわ、雨の森を歩くのは大変だもの」
雄大に広がる湖が日の光を反射しキラキラと光る姿をしばらく眺め振り返ると、グレスが丁度起きる所だった。シオンはグレスのもとに歩いていき、寝癖が付いている様子に笑いながら
「おはようグレス、良い天気よ。ちょうどいいから湖で寝癖見ようか」
シオンはグレスの手を引き、湖まで連れてくるとグレスの姿を湖に映した。白い髪が左右に跳ねている様子にシオンは声を上げて笑うと、湖の水でシオンの髪を直してあげ朝食にしようと声をかけた。
「さあ、髪も直ったことだし朝食にしましょう。水もしっかり飲まなきゃだめよ?」
グレスに声をかけると水を飲むという言葉に反応し、グレスは湖の水を飲もうと口を湖に付けようとした。
「ちょっ!?」
シオンは驚き急いでグレスに駆け寄り肩を掴むと、グレスを起き上がらせた。
「湖の水をそのまま飲んじゃ駄目よ!お腹を壊すし危険なのよ!」
グレスを自分と正面に向かうあうように、体を回すと眉間にしわを寄せて叱った。グレスは反応しなかったが聞こえていることは分かっているため、ふーとため息つくと、
「次からはやっちゃ駄目よ? それじゃあ、ご飯にして出発しましょう!」
グレスの手を引き土小屋まで戻ると、パンとジャーキーを出し分け合い食べ終わると土小屋を壊し出発した。2人は湖の縁を歩きながら、左に見える森を警戒しながら昨日の話の続きを始めた。
「昨日は、精霊と妖精まで話したのよね?じゃあ、今日は天使と悪魔の話にしましょうか。」
「まず、天使と悪魔の話をする前にこの世界の成り立ちを教えなきゃいけなわね。この世界は女神グローネイアが世界の種を育て、実となったものがこの大地だと言われているわ。そして、女神グローネイアは海空風を作り、動物と魔物を作り今に至るわ。神様は他にも居るのだけど、今回は説明は無しね。グレスは何か信仰してる神様は居るかしら?」
「知らない」
「一番信仰されてるのは、やっぱり女神グローネイアね。そこは置いておいて、神の使いが天使と呼ばれるの。天使が姿を見せる時は、神が動いた時だから滅多に見る機会は無いわね。悪魔は、ヘルと呼ばれるこの世界の裏側に住んでいて、基本的にはこっちの世界に来ることはことは無いのだけど何かを対価に力をくれることがあるのよ。対価はとても高い物となるから契約を結ぶ際は慎重に考えなきゃ駄目よ?」
「これで種族についての説明は以上ね。何か質問はあるかしら?」
「・・・」
「何時でも私に答えられる質問なら答えるからいつでも聞いてね」
グレスに話を聞かせながら湖の縁を歩いていると、湖の奥まで到達し森に入る場所まで来た。日はまだ2人の上まで来ていないが、シオンは昼食を取りだした。
「ちょっと早いけど昼食にしましょう。森の中で昼食を取るのは少し危険だからね。」
グレスにオーレの実とメーロの実を渡し、シオンも食べ始めるとあることに気付く。グレスの食べる速さがメーロの実よりオーレの実の方が早いのだ。
オーレの実の方が好きなのかしら?好きなものを聞いたとき返事は無かったけど無意識に好きな物に反応してるのかしら?
グレスがオーレの実を早く食べる様子に微笑みながら、自分も食べ終わるのだった。
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#空っぽと色