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空っぽ少年と色深き者たち ~世界を彩る物語~  作者: 和吉
終わりと出会い
12/87

変化と名前

「え!?」


今までどれだけ話しかけても、どんな状況になっても無反応だった少年が返事したことに驚きシオンは、手を放し使用年の正面に立つと戸惑った様子で話しかけた。


「いま、うんって言ったわよね!?喋るようになったの!?今の状況理化してる?」


少年は無表情のまま


「うん」


と言った。



え?え?何がきっかけで話すようになったの?状況から考えるとさっきの光景が原因?


いきなり返事をし始めた少年に驚きながらも少年に笑顔を向け


「話せるようになって良かったわ どこまで覚えているか聞いてもいい?」

「うん」

「ありがとう それじゃあ私と出会った時の事覚えてるかしら?」

「知らない」

「そうなのね。それじゃあ改めて自己紹介するわね私はシオン魔女をやってるわ。君が村で一人で座り込んでるのを見つけて保護したのだけどそれも覚えてないかしら?」

「知らない」

「じゃあ、辛いかもしれないけど村の事覚えてる?」

「知らない」

「そう・・・じゃあ花園のことは覚えてるかしら」

「うん」


無表情だがシオンの問いかけに少年は淡々と返事をした。


なるほどね・・・あまりにも辛い出来事だったからこの子は全てを忘れてしまったのね。でも、意識が戻ったのは良いことだわ。記憶を取り戻す薬や魔法はないし、時間が解決するしかないわね・・・もしかしたら、忘れていた方が良いのかもしれない。でも、それはこの子が決める事ね。


シオンが少年の様子と質問から少年の状態を推測していると、少年がシオンを見て


「青」


と呟いた。


「青?」

「君と初めて会った時も私の事を青って言ってたけど・・・どういう意味かしら?」

「青」


少年と初めて会った時と同じように青と言われたことに驚き聞き返す。しかし少年はシオンを見て青としか答えない。


私がアオっていう人に似ているのかな?それとも、何か見えてるのかしら?魔力や精霊が見える目をもつ人も居るからそういうたぐいかしら?聞いてみるか・・・


「私の魔力が見えてるのかしら?それとも、精霊が付いているとか?」

「知らない」

「違うみたいね・・・色を認識できない人もいるみたいだけど君には私が青く見えるのかしら?」

「うん」

「そうなのね・・・それじゃあ、あそこにある木の葉っぱの色は何色かしら?」

「白」

「白?君には葉っぱが白に見えるのね?」

「うん」


青という謎を解くために少年に質問をしていき、葉っぱが白と答えた少年に疑問を持ち様々なものを指さして名に色か少年に質問をしてみた。オーレの実 メーロの実 地面 花 空 色々な物の色を聞いてみたが少年はシオン以外白と答えた。


なるほどね・・・色を認識することが出来なくなってるのかしら?そういえば、昔どっかの学者が書いた本で人は世界を心で見ており、その人の心の状態によって見える世界が違うって読んだわね。・・・記憶を無くし、色も失い心も失ってしまったのねこの子は・・・


あまりにも残酷な少年の状態に胸を痛めながら、ふと思った。でも、さっきみたいに言葉を取り戻したように少しずつ取り戻していくもしくは、新たな記憶を作ることは可能よね。それじゃあ私は、この子が心を取り戻す手伝いをしましょう。きっとあの子も同じようにこの子を助ける手伝いをするだろうから・・・


「そっか・・・君には私以外白く見えてしまうのね。世界はね美しい色で彩られてるいるのよ。君は昔はその素敵な世界を見ていたわ、それを取り戻す手伝いを私にさせて?赤の他人が何言ってるんだろ思うだろうけど、君をほっておけないわ」


少年の前に立ち目を合わせ優しく語りかけるシオンを少年は無表情で見ていたが


「うん」


と少年は答えた。返事を聞いたシオンは笑顔で


「ありがとう 大事な質問を忘れていたわ。君の名前を教えてくれないかしら?」

「知らない」

「そう・・・それじゃあ私が新しい名前を付けてもいいかしら?」

「うん」

「ありがとう・・・ グレスなんてどうかしら?君の綺麗な若葉色の瞳とさっきの花園で見た水泡を見てある植物が思いついたのよ。そして君に世界の恩恵があるようにと考えたんだけど」

「うん」

「良かった!私のことはシオンって呼んでね?とても大事な名前なの」

「青」

「シオンよ」

「シオン」

「そうよ!グレスこれからよろしくね!」


弾けるような笑顔でグレスの手を引き村へと歩き始めた。

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#空っぽと色

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