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74.はぁあぁ…楽しいです…。

少し落ち着いたサイラスを引き連れたゼラと合流し、昼食休憩になった。



アレックス以外にも食べ物を持ち寄った為豪勢な昼食だ。

ルークも私が作ったものを出してくれたのでそれも加えて皆で食べる。


こんなにわいわいと仲良く食事をしたのはいつぶりだろうか。特訓に来たはずなのに思いもよらない楽しさに和んだ。


その間サイラスがルークに興奮気味に私の様子を話してくれ、予想以上の成果にルークも驚いていた。


「本当なら3日程で魔力制御、2日で感情制御を覚えてもらおうかと思ってましたが、もっと詰めますね…。」


サイラスは語尾のハートマークが付きそうな程嬉しそうに言った。

ルークは困った表情ながらもサイラスに話す。


「出来れば、でいいのだが。攻撃魔法も少し教えてあげてくれ。出来ないならそれでもいい。」

「わかりました。今日は魔力を使って色々しましょう!はぁあぁ…楽しい…。」


サイラスが浮かれるたびにチェドは顔を引き攣らせているのを私にはしっかりと見えてしまってかなり気になった。



◇◇◇



「今日はここまでにしましょうか。ロティさん。」

「あ、ありがとうございました!」


サイラスは満面の笑みを浮かべて満足そうに終了を告げた。

私は今日一日で昨日とは出来る事が大幅に増えたのだ。

こんな事ならもっと早く、きちんと魔法を教わる機会があれば良かった。


ほんの少しそのことを悔いているとゼラがおずおずと私の前に来て頭を下げる。


頭を上げ、私をしっかりと見つめて話し始めた。


「一日見ていましたが、凄かったです。勉強になりました。改めて、一昨日は本当に失礼な事を言ってしまい、申し訳ありませんでした。」


「いえいえ!そんな!謝らないでくださいっ!」


謝られるとは思っておらず、慌てて手をパタつかせた。

一昨日の棘たっぷりの発言が嘘のようだ。

ルークとの対人もした訳だし、私自身怒っていないので謝らないで欲しい。



落ち込むゼラを尻目にサイラスは何事もなかったかのように話を切り出す。


「明日はゼラを含めて訓練しましょう。

今日の特訓ではっきりしましたが、ロティさんは光属性の魔法のみ扱えるようですね。

しかし、攻撃、防御魔法は使えず回復系魔法のみみたいですね。


でも浄化魔法や異常状態回復魔法を会得出来てよかったです。これで治癒師と名乗っても良いでしょう!


ロティさんは古代魔法を使っていた為か、現代の魔法は覚えられるものに関しては簡単に覚える事が出来るみたいですね。明日、時間があれば能力強化魔法も教えたいですね!」


「よろしくお願い致します。サイラス先生。」

「ああ…はぁい…。」


今日この一日でサイラスの印象ががらりと変わってしまった。

この恍惚とした表情のサイラスが頭から離れない。

ゼラがどこから取り出したのかサイラスの眼鏡を持って手渡そうとしている。


「サイラス様…眼鏡かけましょう…。」

「えぇ…そうですね…。よっ、と。

じゃあ、また明日頑張りましょうね。」


掛けた瞬間に恍惚とした表情が消え、優しい表情で微笑むサイラスに戻った。

眼鏡は魔導具なのだろうかと気になる。



魔力制御が出来るようになったから私もきっと魔導具を使う事ができるのだろうか。

それもサイラスに確認しながらできれば嬉しいところだ。


「ロティ。」

「あ、ルーク。」


後ろから名前を呼ばれ肩を抱かれた。

私を優しい表情で見つめるルークはまた対人をしていたのだろう。顔に大きめの傷が出来ていた。血は乾いていて、流れてはいない。



「ロティさん、無詠唱で回復をかけられるかきちんと試して下さいね。」

「無詠唱までできるようになったのか?」


ルークが驚いた顔になる。

私はルークの頬に手を当て心の中で回復魔法を唱えた。

頬にあてた手が光ると緑の光の玉がぽわっと浮かぶ。


「素晴らしいですね!」


手を離すと頬にあった傷はすっかり消えていた。


「サイラス先生の教え方が良かったみたい。私もう治癒師でもやっていけるみたいだよ。」

「ありがとう、サイラス。心配だったが、任せて良かった。ところで攻撃魔法はどうだった?」

「結果を報告すると、攻撃、防御魔法は使えないみたいですね。光属性で回復系魔法はほぼ全て使えるようになりましたよ。

ただ聖女さんではないので蘇生は無理だと思いますが、そこまでは試していません。


後は魔力制御は完璧ですので、明日は感情制御ですね!」


「なら、悪いが魔導具で攻撃魔法と防御魔法が使えるようにしてほしい。魔導具はこれを。」


そう言うとルークは魔法鞄から2つの腕輪型魔導具を取り出し、サイラスに渡した。


「ええ、わかりました。明日試しましょう。今日は終わりですのでゆっくり休んで下さいね。」

「はい、ありがとうございます。」


アレックス達にも挨拶をしようかと思ったが、ノニア以外は闘技場の床に寝そべっていて動かないようだ。


ノニアだけ此方を見て手を振っていた為大きく手を振り返した。


「悪いがやり過ぎた。後でアレックス達にも回復を頼む。俺達は帰る。また明日よろしく頼む、サイラス。」


「ええ、また明日。」

「明日もよろしくお願い致します。ロティさん。」


サイラスとゼラが私達に手を振った。

私も頭を下げ、手を振り返すとすぐにルークの転移魔法の光に包まれた。

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