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第9話 王城

 ガタガタガタ


「…」


 俺は今、馬車に揺られながら窓から街の風景を眺めていた。

 何故俺が馬車に揺られているのか、これには訳がある。


『おー、来たかライト』


 俺は村に早くお金を送ろうと朝1番にギルドに向かい、ギルドマスターのガンツさんに出迎えられた。


 そして、


『これが報酬金だ。あと、これもな』

『…何ですか、これ?』

『何って、カッコいい服だろ?』


 渡されたのは貴族が着る様な綺麗なスーツ。何故これを渡されたのか分からなかった。しかし、ギルドから出た瞬間に…


『ライト様ですね。こちらの馬車にお乗り下さい』


 豪華絢爛な馬車に乗る事を勧められた。

 何故、馬車に乗る? しかもこんな豪華な馬車に…そう思っているのも束の間。


『目的地に着くまでに着とけよ』


 そんな事をガンツさんに言われ、俺は馬車に乗せられた。




 そしてこの状況だ。


 そこは門を潜り抜けた先にある王城の中の1室。


「さて、君がライト君で良かったのかな?」


 高級そうなソファに座りながら質問してくる何処にでもいる様な青年。


 その人は此方を見ながら微笑みを浮かべている。部屋の中にいるのは、その青年と後ろに佇む壮年であろう男。


 見覚えがある…確か…


「はい。お初にお目にかかります。アルベイル王よ」


 俺は何とか床に膝を着き、こうべを垂れる。


「ほう? 私が何故アルベイル王だと分かった?」


 アルベイル王は訝しむ様に此方を見る。


 何故そんな訝しむ様な視線で此方を見るんだ? まず俺は何で王城に呼ばれた? 色々な疑問が浮かんだが、とりあえずは王からの質問に答えよう。


 そう思ったゼルは正直に答える。


「調べました」

「ほう。アルベイル国にいるのに私の顔を調べたのか」


 したり顔でこちらを見るアルベイル王。


 何だ…この反応は。何かを…疑ってる?


 ゼルは少し眉を顰める。


「王よ…そろそろ本題の方に行かれた方が良いかと…」


 後ろの線が細い壮年の男が俺の表情を読み取ったかの様に言う。


「そうだな。そうしよう」


 俺を此処に呼び出した理由…公爵家から追放された事を知って、この国にはいて欲しくないとか…そうなったら最悪だな。


 アルベイル王はテーブルの上に置いてあるカップに静かに口をつけた後、言った。


「お前の事が少し気になったのだ!」

「は…?」

「ハハハッ! 良い顔をするなぁ!! 王と会うなんて何かあると思ったか? すまなかったな! 何もない!!」


 アルベイル王は快活に笑っている。

 …どうやら俺は少し、警戒し過ぎてたのかもしれない。まだ正確には分からないが、今は此方に何かする事はない様だ。


「そうだったのですね」

「まぁ、強いて言うなら世間話だな。ゼルよ、お前がスターキャットの捕獲をしてくれたと聞いたが本当か?」

「はい」

「ほぅ? どうやってだ?」

「はい。偶々なのですが…」




 *


「ふむ。なるほどな…」

「ですから偶々スターキャットの体調が悪かったと予想しております」


 ゼルは無表情で淡々と答える。


 だが本当にそうだろうか? これまで多くの冒険者の手を焼いた、希少な魔物。星が流れるかの様な速さで移動することからスターキャットと言われる魔物が、そんな偶々捕獲出来る物なのだろうか。


「…ゼルよ、少し頼み事をしても良いだろうか?」


 私は、綺麗な姿勢のまま此方を見つめるゼルに問いかける。


「何でしょうか?」


 何を考えているのか分からない…王族と話しているのだ。無下にはしないと思うが…。


「実は最近、王都周辺でサイレントカメレオンが大量発生しているのだ…」

「サイレントカメレオンですか…厄介ですね」


 サイレントカメレオンは、そこらに居る魔物とは一線を画す。その要因は完璧とまでも言われる隠密能力。うちの国の熟練Bパーティーでも手を焼く相手だ。


 しかもこれが複数ともなると…Aランク案件だろう。


「それを出来れば討伐して欲しいのだ。勿論報酬は出す」

「分かりました。それでは失礼します」


 …何だと?


 ゼルはそのまま一礼すると部屋から出て行った。



「…凄い少年でしたね、王よ」


 後ろにいる文官のユランが呟く。


「うむ、まさかサイレントカメレオンの依頼を簡単に受けるとはな…それと、あの少年、ゼルと言ったか。あれ程になるにはどれだけ死線を潜り抜ければいいのか分からん」


 此処は冒険者の国アルベイル。王族であるからと言って護衛に全てを任せる訳ではない。子供の頃から戦闘訓練を受け、自分の身を守れる実力は身につける。その過程で戦争にも参加した事がある。


 夜寝てる隙に敵国に襲われた、味方だと思っていた者が裏切り、攻撃を仕掛けてきた。


 私も数回は死線を乗り越えてきた戦士だ。


 だから分かる。


 アイツは化け物だ。


 隙のない自然体、いつでも動ける様な姿勢。最後は少し警戒が解けたのか、雰囲気が柔らかくなったが隙はなかった…。


「ずっと戦場にでもいたのですかね…」

「どうだろうな…だが悪い奴ではないだろう」

「何故ですか?」

「…王の勘だ」


 額から流れる汗を拭うと、ユランにメイドにお茶を持ってくる様に頼んで、部屋に1人になる。


「ゼル……少し調べてみる必要があるな」

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