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第29話 収集所

 ゼルは階段を降りて行く。


 階段は人1人だけが入れる幅しかなく、壁には苔の様な物が生えている。そして、その上には何メートルか置きに松明が1つだけ置いてある。


 此処で挟み撃ちなんてされたら終わり。早く降りようとゼルは急いで足を動かした。



「…って、やば!」


 俺は突然立ち止まって、逆に少し階段を上る。


「早く! 早くしろ!!」

「わ、分かってるって!」


 そこには架空の俺を追っているであろう男達。

 あっちは武器持ちで防具もつけている。此処は足場が悪いし、1人を相手してるうちにもう1人が連絡されたら終わりだ。


(ここは大人しく着いて行くか…)


 俺は音を頼りに男達を着いて行く事に決め、もう少し足を止めてから先程よりも遅いスピードで下りる。



 そして数分後、男達の階段の下りる音が聞こえなくなった。


「やっと着いたか。随分長い階段だったな…」


 ゼルは辺りを見渡す。


 そこは暗く、ひどい臭いを発していた。壁も地肌が丸出しで、両脇には檻の様な鉄格子がずっと続いていた。


「これは…酷いな」


 その中には、何体もの魔物や動物が存在した。ガリガリに痩せこけている者や傷だらけの者、それ以上の《《物》》様なのもあった。


 可哀想だとは思うが、この階段が王都へと繋がっていると考えると危険過ぎる。


 そう思って俺は、そこを駆け抜けて行く。


 すると、ある所で目が止まった。



「これは…」



 そして眉を顰める。


「う…」

「うぁ……」

「………」


 そこには魔物や動物以外にも、生物が存在した。


 人間。


 牢屋の中でまばらに居て、倒れている者や鉄格子に捕まりながら呻いている者、壁に寄りかかって膝を抱え何も声を発していない者が居た。


 此処にどれくらいの時間入っていたのだろうか。


 服は廃れに廃れ、浮浪者以上。


 頬も酷く痩せこけていた。


 同じ人間である事で、とてつもない実感が湧いた。


 此処は最悪な場所だと。




「直ぐ出してやりたい…けど、此処の仲間が何人なのか分からない今は…助けるべきじゃ…」


 建物に入ってきた男2人以外にも仲間がいるんじゃないか? もし外から来られたら今度は捕まえるだけじゃ済まないかもしれない。


 それに俺が此処に来れたのは、ギルド近くで浮浪者に絡まれたから…。


 仲間は居ると見て良い。

 そう考えたゼルは檻に居る者達を横目に駆け出す。


「…助けるのは、此処に居る奴をやってからだな」


 ゼルがそう口に出すと、


「ピィ…?」


 走っている途中、リゼがバックの中から顔を出して声を上げる。


「ん? どうかしたのかリゼ?」

「…ピィピ」


 リゼは首を横に振って、またバックへと戻って行った。


 昔からリゼは頭が良い。こちらの言葉を理解している事は良い事ではあるが、頭が良過ぎる為か、それとも勘か、何かそれ以上の物がある様に思えるのだ。


 今だって何かを悟るかの様な表情を浮かべていた様だった。


(意思疎通出来ればな…)


 ゼルはカバンを撫でると、奥へと進んだ。




 *


「森の中に巨大なキメラの死体、か…」


 椅子に深く座り込みながらガンツは呟く。


「あぁ、しかもアレをやったのは相当な手練れだな」


 私がそれに呼応する様に言うと、ガンツは大きく溜息を吐いて目を閉じた。


「しかも相当な魔力量の持ち主です」

「あそこら辺一帯氷漬けだったもんな」


 ユウとセンがそれに補足すると、


「…そうか。今すぐに職員を向かわせる」


 ガンツはそう言い、エリナを呼んだ。

 そしてガンツがあらかた要件を伝え終わると、エリナは目が飛び出てしまうかと思うぐらいに目を見開いた。


「え…キ、キメラ、ですか?」

「信じられないかもしれんが…」

「え、てことはゼル君の言っていた事は…!」

「待て…ゼル? 何の話だ?」


 エリナはしどろもどろとしながら、ガンツに問い詰められる。


「そいつはゼルに、キメラはどういう存在なのか教えてたんだよ」

「はぁ、お前はまた…軽率に…」

「すみません…」


 頭を抱えたガンツに対して、エリナは頭を深く下げて平謝りする。


「それよりもアマンダ、お前が人の名前を覚えてるなんて珍しいな…」

「まぁ…ちょっと色々印象に残ってだんだ」


 アマンダにとってゼルとは謎の人物だった。一見すると普通の子供の様に思えるが、ふとした瞬間に見せるあの目は、普通の子供ではないと、勘が言っていた。


 自分でも言うのもなんだが、仮にもSランク。


 それなりの自信がある。


 アマンダが少し言いづらそうに頭を掻くと、突然執務室の扉がノックされた。


「入れ」


 ガンツが返事をすると同時に扉が開かれる。入ってきたのはショートカット、童顔で可愛いと言う言葉が良く似合う、センのドタイプのミラとか言う受付嬢だ。


 街中でよく彼氏とデートをしてて、センが泣いてて印象が強い。


「ギ、ギルドマスター、い、今、」

「落ち着いて話せ」


 何故か焦っているミラに対して落ち着く様に促す。


 ミラはガンツに言われ少し戸惑ったもののゆっくりと深呼吸を行い、顔を上げた。


「ギ、ギラス侯爵様がお越しになりました!!」

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