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第24話 フルーツ屋

「よし、着いたな」

「ピィ」


 俺達は王都に着くと、王都の大通りを進んでいた。


「リゼ、一先ずは王都を散策するか? 此処に来るの初めてだよな?」

「ピッ!? ピピィ!!」


 ゼルは今回初めて此処に来たリゼの為、此処を散策する事に決め、歩き出す。


「ピピッ!!」

「お、何だ? アレ食べたいのか?」


 リゼの羽が指している先には、フルーツが売ってあるお店があった。


「いらっしゃい。あら! 凄〜い! 何この子? 凄い綺麗な子ね!!」

「ピィッ!」


 お店の40代ぐらいの女性がリゼを見て、驚きの声を上げる。それにリゼは元気に返事をして、羽を上げ反応する。


「リゼって言うんです」

「リゼちゃんかい! 可愛いねぇ〜!」


 そう言われ、リゼは頭を撫でられる。


「ピィ♪」


 機嫌良さそうに返事をするリゼ。


「うっ…可愛い…」


 その反応を見た店員さんは、頬を赤らめ胸を抑えている。


 分かる。リゼは可愛いからな。


 ゼルは1人で頷く。


「リ、リゼちゃんは何を食べたいんだい?」


 店員にどもりながらも言われたリゼは、店のフルーツの入っているカゴの縁に立つと、店のフルーツを見て回る。


「…ピィッ!」


 そして1つのフルーツへと羽を指した。


「モモックかい! リゼちゃんいい目してるねぇ!!」

「ピィッ!!」


 胸を張って偉そうにするリゼ。


 モモックの見た目は、薄いピンク色でいい色彩をしている。見た目が食べ物にしては華やかで目を惹く。形も独特で、中心には鋭い切れ込みが入っている。

 美味しそうだ。俺も1個買うかと思っていると、


「モモックは王都の人じゃ一度は食べた事があるフルーツさ! 1個500ゴールドだよ!」


(うっ…500ゴールドか。中々痛い出費だな…)


 俺は一瞬、顔を顰める。


「ピィ…」


 すると、それを見てたリゼが上目遣いで此方を見つめる。


 可愛い。


「買います」

「毎度あり! これは可愛いリゼちゃんにオマケだよ!」


 そう言って、店員さんは袋に何個か色んなフルーツを入れると此方に渡してきた。


「え、こんなに良いんですか?」

「良いの良いの! 随分無理して買ってくれたみたいだからね!」


 店員さんはウインクして、笑顔で此方を見た。


 どうやらバレていた様だ。ゼルは引き攣らせながら笑うと、礼をして立ち去った。




「美味しい? リゼ」

「ピィ!!」


 しばらくしてベンチを見つけると、俺はベンチへと座り、リゼに果物を上げる。


 思ってた以上に喜んでくれている様で、リゼはルンルンとフルーツを頬張る。


 村ではフルーツの種類が少ないからな。嬉しいのかもしれない。それに村にあるフルーツはあまり美味しくないし。元気は出るけど…。


「ピュ〜ッ」


 食べ終わった様で、俺の膝の上に座るリゼ。


 まぁ、これだけ食べれば満足だろう。


 俺は久しぶりのリゼとの再会に、気分良くリゼの頭を撫でる。


 その時、リゼが鳴く。


「…ピィ」

「……はぁ、物騒だなぁ」


 俺は小さく呟きリゼを抱えると、裏路地へと入って行った。



 *


「んー…はっ!」


 サーラは勢いよく飛び起きる。


 急いで周りを見渡すと、そこは暗く、ジメジメとした牢屋の中だった。


(…攫われてしまいましたか)


 サーラは冷静に、最後にあった記憶を思い出し、自分がどんな状況なのか大体把握する。


 周りにはただの石造りの壁と、鉄柵のみ。何も置かれていない。鉄柵の先は暗くてよく見えないが、どうやらそちらも石造りで整備されており、何処かの建物内だと予想が出来た。


 しかし、攫われたのは王都の中ではない。


 つまり、森の何処かに建物を作っていたとしたら、トマスが此処を見つけるのはほぼ不可能に近いという事だ。


「…どうしますかね」

「どうもする事は出来ないから、大人しくそこにいろよ」


 サーラが1人で呟いていると、暗闇の中から1人男の声をした者が現れる。全貌は黒いローブを頭まで被っていて見えない。


「…貴方は?」

「…もう少しそこに居たら外に出してやるさ」


 男はそう言って、サーラから離れて行った。


 私の質問には頑なに答えないって言う訳ですか。


 サーラは牢屋の隅で膝を抱え、座り込む。


 一瞬見えた口元は、口が裂けているのではないかという程に口角が上がっていた。


「私の悪運も遂に無くなったって訳ですかね…」


 サーラは1人真っ暗闇の中、石造りな天井を見上げながら呟いた。

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