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第17話 Sランクとの交流

 俺は訓練場から出た後、またギルドに戻っていた。


 ギルドマスターに話せないとは言え、受付嬢には話していた方が良いとゼルは判断していた。


 ギィ


 ゼルはギルドの扉を開け、エリナの下へ一直線へ向かう。


「すみません、エリナさん。今大丈夫ですか?」


 俺が話しかけると、エリナさんは目を見開いて此方を見る。


「ゼル君? 君大丈夫だったの?」

「何がですか?」


 首を傾げ、エリナさんを見ていると眉を寄せてジッと此方を見つめてくる。

 何を心配していたのだろうか? よく分からないがそれよりも今は言う事がある。


「俺、報告したい事があるんですけど」

「報告したい事?」

「はい、実は王都から出て直ぐに巨大なサイレントカメレオンが居たんです」

「それは昨日冒険者ギルドでも確認されています。だから危険性を考え今は、下級冒険者のD、E、F冒険者は王都から出ることは禁じられているの」

「そうなんですね…でもそれだけじゃないんです」


 そんな大事になっていたのか…なら尚更早く伝えないと…でもあまり大事にはしたくはない。


 ゼルはカウンターに身を乗り出して、口に手を添える。


「そのサイレントカメレオンの血が紫色だったんです」


 そう伝え、エリナさんは一瞬呆けた表情を浮かべる。そして大きく溜息を吐くと、呆れたように呟いた。


「ゼル君、そういう事は冗談でも言っちゃダメなんですよ」

「え」

「紫色の血が流れる生物なんて、歴史上でも数体居るかぐらいなんですよ?」


 エリナさんは俺に諭す様な口調で話して来る。


「紫色の血を流すのは、絵本に出てくるような悪魔や魔界に住む生物と言われています。その他には世界のルールを無視した生物。これらは

「おい」


 そこで、エリナさんの後ろから野太いような力強い声が響く。


(あの人は…)


「って、お前はさっきの…」


 そこに居たのはSランクパーティーの3人の1人、俺と目が合っていた大剣を背負っている女の人だった。


 その女の人は俺を見るなり、首根っこを捕まえてギルドに備えられている酒場のテーブルまで持っていかれた。


「えっと、何の御用でしょうか?」


 椅子に置かれ、周りにはSランクパーティーの面々が各々に注文している。


「あぁ? まぁ、お前も何か食うか? 奢るぞ?」

「い、いえ。大丈夫です」


(この人達はSランクパーティーの人達だ。こんなランクの人が俺に何の用なんだ?)


 疑問を口に出さずに、相手の様子を伺う。


「くぅ〜、この時間から飲む酒は美味いなぁ!!」

「程々にしなさいよ?」

「こんな時間から絡まれる俺達の身にもなってくれよなぁ」


 お酒を飲んでいると言ってもSランクパーティー。今の俺では歯も立たないだろうな。


「アイツ何者だ? 天上の宴と飲んでるぞ?」

「こうやって同じ空間にいるだけでもすげぇ事なのによ。羨ましい奴だ」

「Sランクパーティーは世界でも5パーティーしかいないのに。冒険者の時のセン様と一緒に飲めるなんて〜!!」


 周りでは小さな声でだが、悲痛な叫びが聞こえて来る。


 アルベイルに居るSランクパーティーと言えば、1つしか存在しない。


 Sランクパーティー、天上の宴。世界にある5つのSランクパーティーの中でも最も依頼達成率が高く、なんとその達成率98%。


 そんなパーティーと同じ席に座れるなんて、運が良いかもしれない。これを機にこの人達の戦闘技術を盗めたら僥倖だ。


「お前、名前は何て言うんだ?」


 このパーティーの中でも唯一の男性。切れ長の目に、整った鼻。そして黄金色に輝く金髪。身体の線は細いと言わざるを得ない体形をしており、テーブルには自分の身長と変わらないぐらいの長刀が立てかけられている。


「ゼルと言います」

「ゼルか、俺はセンだ。よろしくなー」


 センさんは慣れた様子で気さくに話しかけて来る。

 その後、テーブルの上にあるご飯を頬張り、完食すると懐からキセルを取り出して火をつけて吸い始めた。


「ちょっとセン、此処で吸わない約束でしょう?」

「あー、はいはい。じゃあ外行ってくらぁ」


 それを戒めるのは茶色のローブを身に纏っている、この中では1番歳が若いだろう女性。ピンク色の髪をたなびかせ、テーブルの上にあるティーカップに口をつけている。こちらは目立った武器は存在しない。

 しかし、何処からか強い気配を感じる。強いて言うなら、身体の中に何か化け物を飼っているのかと錯覚するような気配だ。


「まったく…お見苦しい所をお見せしました。私はユウと言います。ゼルさんは、あのような大人にはなってはダメですよ?」


「ははっ、努力します」


 俺の口から乾いた笑いが出る。見た目と気配の違いにギャップがありすぎて変に笑ってしまった。もしかしたら気を悪くさせてしまったかもしれないと、様子を伺う。


「え、えぇ」


 どうやら、思っていた事が的中してしまったらしい。俺は誤解を解く為に発言しようとすると、いきなりものすごい力で左に引き寄せられる。


「はっはっは!! 私はアマンダだ!! よろしくなゼル!!」


 凄い力で胸へと引き寄せられ、アマンダさんの巨大な胸の谷間に顔をうずめてしまう。


「はぁ、もう酔ったんですか。これは早々に本題に入らないといけませんね」

「ほぉんらい?」


 俺がかろうじて返事を返すと、ユウさんが小さく頷く。


「はい、先程の話…なぜ知っているのか教えて貰っても良いですか?」


 ユウさんが神妙な顔で言った後、今の今まで陽気で騒いでいたアマンダさんも動きを止める。


「先程の話?」

「ゼル…お前サイレントカメレオンの何を知ってる?」


 アマンダは、ゼルを逃がさないとでも言うかの様に、腕の力を強めた。

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