第四話 いざパリへ
今回は相当短いです。第三話も投稿してますので、まだ前話を読んでいない方はそちらを先にお読みください。
楽しい旅行から帰り、土産話をしようと浮き足立っていた莉乃だったが、その思いは打ち砕かれた。
「······え? フランス?」
――――そういえば来亜が言ってた気がする。確か、癌の治療だったっけ。
来亜から事前に伝えられていたにも関わらず、かの旅行で完全に忘れていたらしい。
「そうよ。フランスに、すごく腕のいい医者がいるらしくてね。莉乃、貴女の癌が治るかもしれないのよ」
母が、生きられる可能性を提示する。
命あっての楽しみであり、命あっての苦しみだ。断る道理は無い。
「ん、行くよ。フランスに」
「そう言ってくれると思ってたわ」
母が謎に上機嫌だ。
無意識的に違和感を感じながらも、淡々と出立の準備をしていった―――。
翌日、朝一で飛行機に乗った。
昨日は莉乃だったので今日は来亜が出てくるかと思っていたのだが、何故か彼女は出てこなかった。
一昨日の来亜の日記には、《ごめんなさい。ありがとう。》とだけ書いてあった。
それを眺めながら、分かるはずもないそのメッセージについて考えていた。
そして何時間か後、ついにフランスに到着したのだった。
次回最終話です!最終話は前後編分ける予定です。お楽しみに!!