セクハラメール
昨晩のことをお詫びしたく、メールを書いています。
がっつく僕を、あなたは大人の余裕で微笑んでいて、それを思い出すと僕は恥ずかしさでいっぱいになってしまいます。
飢えていたのでしょうか? 捲った下にちらりと覗けた胸部の白さ、それに僕は取り乱してしまったのです。やはり飢えていたのかもしれません。夢中で、引きちぎるように乱暴に剥ぐ僕をあなたは嗜めませんでした。あのとき、咎められていたら、僕は少し冷静になれたと思うのです。いえ、あなたを批難しているのではありません。ただ自らの卑しさに辟易するばかりです。
柔らかく弾む、指先に残った、まるで拒むかのようなその感触に僕は上気してしまって、躊躇いもなく強く、まさぐるように――ああ、どうして、もっと上品に振る舞うことはできなかったのかと後悔の念に駆られます。滲み出た汁は、塩気に混じって独特の生臭さがあって、でもそれが堪らなく甘美で、脳髄に電気が走ったような気分に僕はなりました。
半開きの口に虚ろな目で横たわる様に本能を刺激されて、僕は生唾を呑み下してから突き立てたのです。遠慮をする余裕などありませんでした。何度も何度も執拗にえぐって、内臓さえをもくすぐるように、さらに向きを変えて、僕はあさましく、言葉を交わすことも忘れて、欲を満たしてしまいました。
昨晩、ご馳走になったヤマメの塩焼きは、本当に美味しかったのです。お礼を申し上げるとともに、自らの無作法をただひたすらにお詫びいたします。