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産廃水滸伝 ~産廃Gメン伝説~ 8 残党狩り  作者: 石渡正佳
ファイル8 残党狩り
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戦いは続く

 戦力が似通っている場合、ガタイが大きいほうが強い。しかし、大きさが何千倍も違う場合、大きいほうが強いとは限らない。武道の達人も蟻の大群に勝てない。長い間、医者は細菌やウィルスに勝てなかった。ベトナム戦争でアメリカ軍はベトコンのゲリラに負けた。今また先進国はイスラム過激派やIS(イスラム国)のテロに悩まされている。

 伊刈たちに迎撃された不法投棄ダンプは組織の統率を失って散り散りに分散した。その結果事件数が激増した。不法投棄がゲリラ化したのだ。事件数は十倍になったが、投棄量は十分の一に激減した。ゲリラ化は末期症状である。ここで追撃の手を緩めなければ不法投棄問題は完全解決するだろう。伊刈たちはそこまで不法投棄軍団を追い込んでいた。

 もう一つの問題が起こった。放棄された不法投棄現場や木くずの堆積場が次々と火災を起こしたのだ。伊刈たちは火災対策に追われた。廃棄物が自然発火する理由は一通りではない。木くずが腐朽菌や麹菌で好気性発酵して温度が上がり、油脂やメタンに着火するという説が有力だ。大規模現場の底では有機物がメタン菌で嫌気性発酵してメタンガスが発生している。ワックス、セルロイド(写真フィルム)、マイクロプラスチックが自然発火する事もある。農業ビニールやビニール袋に水が溜まり、レンズ効果で引火することもある。金属スクラップの中のマグネシウムが自然発火すると指摘する人もいる。スクラップ船の火災の原因はこれだという。

 東日本大震災でもガレキの仮置場が次々と炎上した。発火のメカニズムは不法投棄現場と全く同じだった。発酵熱による自然発火である。教訓を生かして火災を防止できた仮置場は少なかった。

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