6話:新しい朝が来た
さて朝である。
起きたら目の前には病院の天井……なんてことはなく相変わらずこの異世界にいるらしい。向こうの世界に未練はないが(しいていうなら年末メニューである年越しそばが食べたかったが)、それでも異世界にいるということ自体が不安要素だらけである。せめて生活さえ安定させられれば…。
俺が寝ているのはナタリアさんのいる大きなテントの中の一室である。いやテントの中に部屋ってのがよく考えればおかしいことなのだが、このテントはサイズがちょっとした一軒家くらいある。その中を屏風みたいな仕切りを使うことで疑似的に部屋としているのだ。
「さすがに(婚約したばかりで)同じベッドで寝るのはよしたほうがいいだろう」
とナタリアさんは言っていたが、それはそうである。恋人でもない男女が同衾することを良しとしない文化はどうやらこの世界にもあるらしい。いや異世界だから文化が違って性にオープンとかハーレムとか期待してないよ?俺ロリコンよ?
まぁ確かに俺のすぐ近くで美女が寝ているというこの状況は正直興奮した。……俺ロリコンじゃないのかな?あれ?不治の病だと思ってたのに。
ベッドから体を起こすと、何やらいいにおいがする。パンを焼いているかのような匂いだが、この世界にもパンがあるのだろうか。食べ物が似ているのなら食事の時に困ることはないだろう。
というか昨晩は酒しか飲まなかったからな。酔いにくい体質だという自覚はあるが、昨日は確実にキャパ超えてたからな…。何かの肉を焼いたものはみんな食べていたが、あれは何の肉だったの肉だったのだろうか。
ひとまずベッドから起き上がる。テントから出るとまぶしい朝日が見えた。目の前には何とエプロンを着たナタリアさん。
やっべナタリアさんマジ可愛くない?身長は俺より高いけどひらひらのエプロンとのギャップがイイネ!
「おぉ、起きたか。朝食の準備ができたから呼びに行こうかと思ってたのだ」
「おはようございます、ナタリアさん。エプロンしてるってことはナタリアさんが作ったのですが?」
「もちろん、(夫の食事を作ることは)私の責務だからな」
ちょっぴり赤ら顔で答えるナタリアさん。そうか、日々戦っている部下のために自ら食事を用意するなんてなんて立派な上司なんだ!
「広場でみんなが待っている。いつもは各々が勝手に食い始めるのだが、予見者様がいねえのに飯を始めるわけにはいかないと言い出してな」
「それなら早く行かないとですね」
歩き出す俺。しかしナタリアさんはなぜかもじもじとしている。手を出そうとしては引っ込めたり、引っ込めては出したり。
「どうしたんです?」
「いや、なんでもない……」




