3話:俺が死んでからの諸々のこと
目を覚ました俺はそこが病院の一室でないことに驚いた。
なんかここ森の中なんですが……俺には夢遊病の気でもあったんですかね。
見渡す限りの木、木、木である。地面には雑草が生い茂り木々の葉は青とし、陽はさんさんと照りつけている。というか熱い。熱くね?
確か今は冬だったはず、昨日の晩病院ではクリスマスメニューとしてささやかながらもチキンとケーキが出てきて寝るときには暖かい毛布をかぶって寝たはずだ。今の服装はジャージ、寝るときはこれが楽なのだ。しかし今の気温では上着は熱い。
とりあえず半袖のシャツとジャージパンツ、手には脱いだジャージジャケットという格好で森の中を歩く。
つかなんで俺歩けるんだ?トイレに行くのにも看護師の介助が必要だったはずなのに、なんでか悠々と歩けている。一晩のうちに治ってしまったのかね、病気。
不思議に思いながらも、ともかく歩く。するとどこからか人の声が聞こえた。歓声のような、叫び声のような声である。この摩訶不思議な状況を抜け出すためには人に会うのが一番であると判断し、そのほうに歩いて行った。
しばらくすると開けた場所に出た。しかし足元は崖である。危うく落ちるところだった。
……めっちゃうるせーなここ!金属と金属がぶつかり合うような音が聞こえる。キーン、キーンと鳴り響くそれはここにたどり着くまでずっと聞こえてきたが、ここにきてめちゃくちゃ大きくなっていた。
崖の下を見下ろすと、なんとそこには屈強な男たちが剣を取って戦っていた。
え、なにこの状況。
戦?IKUSA?Wars?
なんか矢とか飛び交ってるんですが……映画の撮影かなんかですかね。
映画の撮影ならきっと近くに人がいるだろうと思い、下に下りることにした。撮影の邪魔になっちゃうけど仕方ないね、早く病室に戻りたいし。
あたりを見回して降りれるところを探していると、下から声が聞こえた。
「崖の上に敵兵がいるぞ!撃ち落とせ!」
その瞬間矢が飛んできて俺の横の木に刺さった。
ちょっとまってなんで矢が飛んできてるの?スタッフさん気が付いたらふつう撮影中止じゃね?
そうこうしているうちに二本目が飛んでくる。今度は足元。俺はあわてて逃げ出そうとしたが、誤って足を滑らせてしまい崖の下へ滑り落ちてしまった。
擦ってしまい痛くなった尻をさすっていると目の前に屈強な男たちが現れた。
「貴様、見たこともない服装をしているな」
「怪しいやつめ、この剣で斬ってくれる」
「いや待て、ここは捕虜として仲間と交換をだな」
「いやいや拷問して敵の作戦を聞き出すのだ」
なんかめっちゃ怖い話してません?この人達…。
ここは逃げなきゃ死ぬ!
そう思い全力で走る。
しかし回り込まれてしまった!
「逃げるとはいい度胸だな」
「足は切り落としてしまうか」
あ、やばいわこれ。
そう思った瞬間、頭上から声が聞こえた。
「そこの者たち、そやつに手出しはならぬ!」
そして颯爽と目の前に美人が降り立ち、言い放った。
「この者は我らレーヴェリタンを勝利へと導く御人ぞ、剣を下げろ」
これが俺、立花隼人と、のちに俺の嫁となるレーヴェリタン王国騎士団長ナタリア・ヘルガ・シュバイツァーの出会いである。




