21話:うどん
更新遅れました、申し訳ありません。
30話までには区切りをつけるつもりです。
城で過ごし始めて2か月が過ぎた。
その間仮にもアードライアとの戦争状態だったのだが、そうとは思えないほど平和だった。
「ハヤト、この一冊で予見者に関する本は打ち止めだ。城の書庫にはもう寓話集くらいしか残っていないっぞ」
「わかった、ありがとうナタリー。そこに置いておいてくれ」
この期間、この国で最も多くの書物を貯蔵する城の書庫の中をあさってみたが、歴史書、専門書、学校の教科書まで様々な本を調べてみたが、予見者に関する記述は全くと言ってもいいほどなかった。
「残るはこの一冊だけ、どうやら昔の国王の手記のようだが」
「当時はあまり歴史書という概念がなくてな、当時の様子を記した書物がそれくらいしかなく、こうしてここで保管されている」
「その割にはきれいだな、これ」
「それは写生本だ。さすがに王族のプライバシーにかかわる内容もあったのでな、個人名を伏せたりショッキングな内容を削るなどの処理をしている」
なるほど、と感心しながらページをめくる。
「『今日は昼食に麺を使った料理が出た。最近来た異世界人の料理人が作ったというこの料理は、小麦を使った棒状の食材をゆでた料理なのだが、体調が悪い時でも食べられる実にいいものだ。体も温まるし柔らかくて食べやすい。今度から風邪をひいたときはこれを出してもらおう』
なんだろう、うどんかな?」
「うどん?あぁ、風邪の時によく出してもらったものだ。味付けや具にいろいろとバリエーションもあるしな。私はショウガを使ったものが好きだ」
「ショウガは体を温める作用があるからな、俺も冬にはよく食べた。
『ただこのうどんを作った異世界人、いかんせん私は苦手である。どうにも見透かされているような気がしてならない。うどんを食べる時ですら私が舌をやけどするのを見越してすぐに水を出してくれる。他にも予定外の客人が大勢来た時もまるで予見していたかのように料理を準備している』………予見?」
「どうしたハヤト、何か気になることでもあったか?」
「この日記の原本を持ってきてくれ!」
「あのハヤト、顔が近くてちょっとドキドキしちゃ……そ、そんなに顔を近づけると息が耳にかかってわたしどう二かなっちゃいそうぅ……」




