19話:国王という人
城下町を歩いていると、周りらたくさんの声がかけられた。
「ナタリア様、よくお戻りになられました!今日は葡萄酒が安いですよ!」
「そうか、あとで使いの者を送ろう」
「ナタリア様、新鮮な魚を城に届けたから、今日はきっとおいしい魚料理でさぁ!うちの坊主が大物を釣り上げたんですよ!」
「もう城に魚を下ろせるような腕になったか、その魚、楽しみにしておこう」
ナタリアは城下町の人々に好かれているようで、まるでアイドルのようだ。
「すまないみんな、今日は私の伴侶となるかもしれない御人を連れているのだ、城に急がせてくれ。また近いうちにみんなに会いに来るから」
そう言いながらナタリーは俺を抱き寄せた。周りからヤジが飛んでくる。
「そりゃめでたい!今夜は宴だ!」
「ナタリア様の結婚前祝いだ!」
その日の夜は遅くまで酒場の明かりが灯り、笑い声が絶えなかったという。
「待たせたな、ハヤト。では王座の間へ向かおうか」
城につくとナタリーは着替えると言って自分の部屋にこもり、数分して部屋から出てきた。その間通りすがりの使用人にちらちらと見られていたが、客人が珍しいのだろうか。
「きっとそなたの髪の毛が黒かったからだろう」
「この国じゃ黒髪は珍しいのか?」
「珍しいどころではない、この世界には黒髪は異世界人以外にはいないのだ」
「なるほどね」
ナタリーはカジュアルながらもその長身が映えるような黒のドレスだった。なんかこう、いいね!
謁見は王座の間という場所で行われるらしい。国外から来た重要人物は公式な場で謁見するのがしきたりらしく、友好国からの使者や予見者のような特別な客人は王座の間で国王と顔を合わせるのだ。
「そなたが予見者か。ようこそレーヴェタリアン王国へ、儂がレーヴェタリアン国王のアルベルトじゃ。面を上げるがよい」
「予見者の隼人です。本日は国王陛下にお目通りいただき、光栄の極みであります。どうかお見知りおきを」
ナタリーと馬車で練習した挨拶だが、問題ないだろうか?こういう場では言葉一つで相手の機嫌を損ねたりするらしいからな。
国王の顔を見る。ナタリーのように金髪碧眼で、50代と聞いていたがそうとは思えないほど若々しい力にあふれている。そのうえ年相応の美中年という感じで、一言で表すならダンディ。ああいう歳の取り方をしたいものだ。
厳格な表情でこちらを見据える国王。ナタリーもだけど、顔の整っている人の真剣な顔はとても迫力がある。国王のそれはまさに俺の心を見透かしているようで背筋が凍ってしまうほどだ。
「………ご……だ……?」
ん?何か言っているけど聞き取れないな。
「孫はまだか?」
…………は?
「何を言う父上、まだ婚儀も済ませておらぬというのに」
「いやでも儂そろそろ定年じゃし、早く孫の顔を見たいのじゃ」
「姉様がおるではないか。姉さまの方が私より年上だし、早く結婚すべきではないか?」
「だってあいつと釣り合う男がおらんのじゃよ……いっそ友好国の王族を婿に……」
「どこの国にもこの前半成人を迎えたような子供しかおりませぬ。年齢が一回りも違うのですよ?」
「外見は相性ばっちりじゃろ?」
「………たしかに」
大丈夫かよこの国……。
しばらく投稿が不定期になると思いますが、年内に一区切りつけられるよう頑張りたいと思うので応援よろしくお願いします。




