2話:俺が死ぬまでの諸々のこと
「余命1年です」
社会人1年目にして親が亡くなり天涯孤独の身となった俺は、さみしさを紛らわせるため死に物狂いで働いた。親が亡くなってから俺は実家の一戸建てを親戚に譲った。俺のような若者に持ち家があってもろくに管理もできずもてあますだろうと思ったので、今度東京からUターンしてくる叔父に話したら喜んで引き受けてくれて、しかも俺が家族を持つようになったら返してくれるというのだ。
叔父の好意に報いるためにも、俺は必死に働いた。大学時代機械工学を専攻していた俺はロボットで有名な企業に入り、そこで脇目も振らず働いた。その結果27の若さでロボット研究所の所長補佐に抜擢されたのだが、その年の年末にひどい高熱がでた。
最初は風邪だと思い、病院で診察を受けたところなんともっと深刻な状況になっていた。診察が終わったのち簡易ベッドで1時間待たされた挙句医者から言われたのが冒頭の一言である。
最初はショックだった。なんで俺なんだよ、もっと他に死んでもいいやつはいるだろ!とか思ったが、不思議と翌日にはすっきりした気分でいた。
この27年の人生に幕を下ろすと考えると、これといった未練がないのだ。俺の死を悲しむ家族はいないし、つい先日長年の研究の成果が商品化されたし、親友の結婚式で司会もできた。いとこの七五三も見れた。
気分が落ち着いた俺は早速親戚連中と会社に連絡し、俺が死ぬまでの計画を立てることにした。
そして今月の初め、俺は病院の一室で人生に終止符を打つため入院した。もう体があまり動かない俺は、本を読みながら穏やかに死ぬことを待つのみである。
「この本も面白かった」
時刻は11時、病人としては遅い就寝である。本をわきのテーブルに置いた俺は今日もまた穏やかな気持ちで布団をかぶる。
しかし、ふと俺は思った。
なにかやり残したことはなかったか。
目をつぶりまどろみの中思考を頭の中でめぐらせる。
もう意識も落ちそうなくらいの眠気に襲われているとき、俺は思い出した。
「小さくて可愛い癒し系ロり嫁が欲しい!」
その夜、俺は死んだ。




