16話:試練は突然に
王都に帰る馬車のなか、俺は今後のことを考えることにした。
まずは状況整理だ。
この世界は異世界であるということは間違いないだろう。聞いたこともないような地名に中世ヨーロッパのような世界観、そしてなによりなんでか通じている言語。これはもうネット小説の世界みたいに俺も異世界に飛ばされたと考えるべきだろう。というかそう考えるのが一番しっくりくる。
そして俺はなんでこの世界に来たかがわからない。神様から異世界を救うよう頼まれた覚えはないし、なにかお礼として優雅な異世界生活を過ごさせてもらうなんてこともない。そもそも現時点で優雅ではないし。
というか予見者とか呼ばれているが、それが何を示すのか俺には全然わからない。
未来を見通し予知する者、という意味のはずだが、あいにく俺はいままでそれっぽい能力とかに目覚めた自覚はない。
そしてなにより
「どうしたハヤト、難しい顔をして。腹痛か?腹痛に効く薬なら持っているぞ」
「いや、大丈夫だよ、うん」
このくっそ美人な女の人が俺の嫁さんになっているということだ。
「一つ聞きたいんだけどさ」
「何でも聞くがいい、異世界から来たのだから不安が多いのも仕方ないしな」
「予見者って何?」
「未来を見通し予知する者だ。」
うんそれはわかってるんだよ。
「じゃなくて、こう、なんで予見者が現れるのかとか、そういうのは?」
「うむ、私が読んだ文献には、大きな戦があるときに現れ、勝者を導くとしか書かれていなかったぞ」
情報が全く増えない……。しょうがない、この件は後回しだ。
「じゃあ王都につくまでレーヴェタリアンの話でも聞いておこうかな」
「わかった、答えられるものはなんでも答えよう」
「つまり、王族の結婚っていうのはものすごく重要な案件で、たとえ政治にかかわらない騎士団所属の、王位継承順位も低い次女でも、たとえ相手が予見者というVIP待遇な人物でも、結婚するにはいくつもの条件やら何やらをクリアしなければいけないってこと?」
「そうだ、結婚は誰が何と言おうと、たとえ国王がいいと言っても全国民が祝福したとしても、その条件に会っていない個所が一つでもあれば結婚はできない。これは国を背負っていく王族にふさわしくない血を入れ、国の崩壊を招くことを未然に防ぐためなのだ」
なるほどなるほど、よく理解したよ。
「で、その条件とは?」
「歴代国王とその妻しかそれを知る者はいない。条件に当てはまっているかどうかの審議は現国王と王妃が行い、またなぜ王族との結婚を許されたのかを国民に知らせ、全国民の9割が賛成し、かつ反対理由の中で改善出来うるところをすべて改善して初めて王族との結婚が許されるのだ」
「つまり完璧超人じゃなきゃ無理ってことじゃん!」
もしかして、ナタリーとの婚約解消の危機?




