15話:ほんのり希望
9話、14話誤植があったので訂正しました。
太陽が頭の上に昇ってきたころ、俺らは駐屯地に帰ってきた。といってもテントはすでに片づけられ馬車に積まれており、今すぐにでも帰れそうな雰囲気だが。
「帰ってきて早々また移動というのも疲れるだろう、昼食にして、少し休憩してから王都に戻ろう」
ナタリーは侍女に声をかけ、シートを敷かせて食事の準備に取り掛かった。
「すまないハヤト、あまりゆっくりしている余裕がないようだ。豪華な食事はまた今度にしよう」
「いやいいよ、俺もそこまでお腹すいてないから、いっぱいあっても食べきれないし」
理科の実験器具みたいな簡易かまどでスープを温めるナタリー。それを少しだけ離れて見つめる俺。なんかこれって
「新婚みたいでなんだかドキドキだな、ハヤト」
「俺もそう思ってたよ……」
ウキウキな顔で調理するナタリーを見ているとほんとに和む。ちなみに侍女の方々は机や皿、パンの準備をしている。
「ふぅ、こう前線だと簡単な食事を用意するのも一苦労だ。おかげで料理はできるようになったがな。ハヤトは料理ができる女は好きか?」
「そうだねー、家に帰ったら奥さんがご飯の準備して待っていてくれるって言うのは男のロマンだからね、やっぱり料理ができる奥さんだとうれしいな」
「そ、そうか。なら私のこの経験も無駄ではないということか」
顔を赤らめてまた作業に戻るナタリー。よく赤面するけど、意外と恥ずかしがり屋なのだろうか。
「というか火をおこしたりするのって魔法でぱぱっとできそうだけど、しないの?」
「は?」
「「「は?」」」
ナタリーだけでなく侍女のみなさんもこちらを振り向いた。
「ハヤト、疲れてるのか?魔法なんてあるわけないだろう」
ここで衝撃の事実。魔法なんてなかった!
異世界といったら魔法でしょう!って思ったけどそんなことはなかった。
ということは、ナタリーの身体能力は魔法とかの補正があるわけじゃなかった!?
「え、ナタリーの強さって純度100%?」
「ん?私の強さは幼いことからの鍛錬の賜物だぞ。魔法みたいにぱぱっと超えられてしまっては立つ瀬がないわ」
えー、まじかー。てっきり魔力を身にまとい云々かんぬん的なやつだと思ってたのに。ちょっぴり残念。
「ハヤトは魔法が使えるのか?」
「いや、使えないよ。俺の世界には魔法なんて存在してないしね。はっきり断言はできないけど、俺は多分違う世界からきたからな。俺のいた世界では異世界と言えば魔法がある世界だってイメージなんだ」
「ふむ、ハヤトはたしかモルゾン山の麓の森から現れたな。もしかするとあの付近にはハヤトのいた世界とこちらの世界を結ぶ何かがあるのかもしれないな」
魔法はないけど異世界間の移動にはあんまり驚かないのね……。
「火を出したり凍らせたりなんてものはおとぎ話の世界の話だが、異世界に関する話は比較的新しい文献にも残っているからな。私の祖母も経験者で、小さい頃何度も遊びに行ったことがあるらしい」
魔法はないけど異世界間移動はあるって、ますます不思議な世界だな……。
まてよ、異世界間移動が比較的普通に行われているってことは、俺もしかして帰れる!?




